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零ー29 地味にキャラ被りしている2光は目がない

 

 △▽△▽△▽



『ほぉ、ここが妾達が創った海とやらか……』


 青の【ウィニア】は巨大な魚……鯨となり、とある海を泳いでいた。


 全てを達観した感じのジト目(雰囲気が)であるが、この時ばかりは少しだけ目(鯨目)を見開き、その光景に魅入っていた。


『なるほどの、これは大変美しい。妾達が創ったものはこんなにも美しいものだったのじゃな』


 広がるのは右へ左へ、海の中で色とりどりの魚達がダンスをしている姿。


 ウィニアは創ったとしても何を創ったかは全く見ない、ただなんとなく感覚的に創っているのだから。故にこの幻想的な姿を自らが創り出したものなのかと感動していた。


『のう、其方達は何故その様に泳いで乗るのじゃ?』

『……』

『あぅ……』


 魚に聞いてどうする。


 ウィニアは心の中で顔に手を当てる。

 もしここに白の【ミーシア】がいれば魚の真似でもして返してくれただろう、けれど魚は自分達と同じ言葉は話さない、話せるのは何故か出来た人間という生物だけ。


 加えて、ウィニアがここで人間の姿をしていたら顔を赤くして悶えている頃だろう。


 それでも立ち直りは早いのかすぐに他の所も観てみようと泳ぎだした。



 そして暫く泳いだ後、何か大きな物体が見えて来た。


『あれは……』


 それは巨大な沈没船、けれど他の光達同様人間が造った物は基本的に知らないウィニアはそれが何か分からない。


『むむむ……気になるのぉ。妾の何かがあれには何かがあると言っておる……』


 その何かは分からない、というか何があろうと基本的には分からない。魚の事だって実際は動く色の付いた生物としか分かっていないのだから。


 基本光達は馬鹿である


 そして沈没船の中に今の姿では入れないと思ったウィニアは姿は鯨のまま、それでも1メートル位の大きさになるとそのまま中に入っていった。


『ふむ、中々に精巧な造りじゃな』



 それもそのはず


 この船は王侯貴族を乗せていた船。突如として到来した竜巻に雷に大荒れの海、様々な自然災害が運悪く、とても運悪ーく一同に集結してしまったせいで沈没してしまった船なのだ。

 そう、決して光達が喧嘩をして自然に自然災害を起こしてしまった訳では無い。……ないったら無い。




 ウィニアは船の内部へ入り込んで行くと、隅の方に何が動いているのを見つける。


『おっ、あれはなん――』



 ――シャアァァァッ!



『ひょわぁぁぁ!?』



 ――バシッ



『ぁぁあ? なんじゃ、何もおらんではないか……』


 ウィニアは気のせいだったかのぉ? と首を傾げながらも探索を再開した。


 ウィニアは気付かなかったが、しっかりとそこには小型のサメがいた。けれど驚いたウィニアが後ろに振り向いた瞬間、尾がサメの頭部にクリーンヒットしていたのだ。それに驚いたサメは尻尾を巻いて逃げていったのだった……。





 暫く船内を探索し終えたウィニアは他の扉とは様相が全く違うとても厳重そうな扉の前にいた。


『――ここじゃな、妾の何かが此処だと訴えておる。しかし……入れそうもないのぉ』


 ウィニアはこれまでも閉まっている部屋には入っていなかった。それは勿論扉という存在すら知らなかったからだ。


 無知とは恐ろしい……



『むむむむむ………………そうじゃ!』


 何かを思いついた様子のウィニア。

 扉からいくらか離れると何やら不思議な構えをした。


 近くにいた古参の魚達が『おいおい、あの嬢ちゃん大丈夫か?』と少々残念な目でウィニアを見ている中、その当()は尾をしならせ――





『ほわぁあぁあぁ!?』


 なんとも情けない声を上げながら扉に向かって体当たり?をした。



 ――ドガッ



 扉が破壊される――


 見ていた魚が逃げる逃げる――


『次は俺達が潰されるぞぉ!』と言わんばかりの見事な逃げ様。

 魚達は満員電車の如く我先にと階段に向かう、最早魚達は大パニック状態である。


 そんな諸悪の根源の鯨さんは――



『っつー、痛いのぉ……』



 涙目であった。



『ここ……はわぁ!?』


 困ったり泣いたり驚いたりの忙しい鯨さん。

 そこに見つけたのは――



『キラキラじゃーーーーー!!!』


 金銀財宝、様々なお宝が水中を浮かんでいた。


 ここは宝物庫、王侯貴族とはなんだかんだてお宝を持ち歩きたいものである、故にこの船には沢山のお宝が積まれていた。


『ふおぉお! ひょおお! はぁわぁああ!!』



 大! 興!! 奮!!!



 興奮のあまり謎の奇声を発すウィニア、ある意味これは壊れてしまったのかもしれない。


 それぞれ特徴のある光達、ウィニアはこれまで特徴という特徴が、口調くらいしか無かった。


 だがしかし


 ウィニアには他の光達よりもとても濃い特徴があった、それは光り物がとても好きだという事。


 素の性格の欠片も無くなっていた。



『にゃっはぁぁぁぁ!!!』



 まる1日興奮で騒ぎまくったウィニア。


 冷静になり暫く思考した後、持てるだけの金を()に持って、青の光粒となって消えてゆくのだった。




 なお、船に居た魚は皆何処かへ去った模様。


『ドンドン煩くていつ殺られるか怖いったらありゃしねぇ……』







 ▼▲▼▲▼▲





『綺麗な所ですね』


 緑の【エア】は蒼く澄み渡った大空を羽ばたいていた。


 下には森があり、かなり奥の方には村があるのも見受けられる。



 エアは綺麗なものが好きだった。

 綺麗、それはキラキラと輝いている物とかではない、キラキラと輝いて見える光景が好きなのだ。


 エアは光達の中では2番目に自分達の創った数多の惑星を眺めていた。


 そしてずっと近くで観てみたいと思っていたのがこの世界の森であった。


『しかしこれでは私達が何者なのかは分かりそうにもありませんね……』


 地の方には様々な動物が見受けられる。

 けれど、エアは他の光達同様動物と話せる訳では無い。それに聞けたところでその動物がしっかりと返答してくれるとは限らない。こちらと同じ知能を持っているのかすら分からないのだから。


 というより――


『そもそも聞いて回るなんて事……面倒ではないですか』


 そう、エアは面倒くさがりであった。


 基本的にやりたい事はしっかりとこなす、けれどやりたくない事は特にしようとしない。


 故に、エアは光達の中で1番扱いが面倒くさい光だった。


『なので私はここを探索することにしましょう』


 いつもは気だるめな(ないけど)をしているエアも、この時ばかりは目(鳥)が輝いていた。


『ほぁわ……おっと』


 面倒くさい光ことエアは思わず、といった様子で声を上げてしまった。


 エアの目に映っていたのは


 透明感のある小さな湖


 多種多様な動物達


 風が吹き


 木々から落ちた葉が水面に浮かぶ


 それは自然が魅せる数多ある姿の1つの姿であった


『素晴らしい、私達はこの様な光景を創り出していたのですね』


 これこそ自らが望んだ姿。

 綺麗でキラキラとしているこの光景こそ、自らが創り出したかったもの。


 うんうん、と(羽根)を組みながら頷いていた。

 すると――


 ――ピッ

 ――ピピピッ


 数匹の小鳥たちが嘴に小さな木の実を咥えて湖を眺めていたエアの元に集まって来た。


『おや、くれるのですか。ありがとうございます』


 小鳥たちは翡翠色の美しい鳥、エアを自分たちとボス的な者と思っているのか、それともこれは求愛の行動なのか。はたまた新しい仲間と思っているのか。

 いずれにしても小鳥たちがなにを言っているのか分からないエアは取り敢えず笑顔(?)で小鳥たちに礼を言う。



 その間にも、エアの周りには様々な動物達が寄ってくる。小鳥の他、リスや鹿、さらには熊なども寄ってきていた。


 普通では成し得るはずの無いこの現象、これこそが神秘的という言葉に最も相応しいこの光景。


『ふふ、自らとは違う生物でも争わない。仲がよろしいのですね、皆様は』


 エアは数多の生物が共存しているその光景に微笑みを浮かべる


 しかし――


 その光景は永くは続かない


 それは突如として聴こえた風切り音によって全てが壊される事になる――


『グ、ガアァァァァァッ!!』


『何事です!?』


 咆哮を上げる熊、逃げ出す動物達。


 エアは何が起きたか分からず辺りををキョロキョロとしながら右往左往する。


 そして熊は動き出す、その足取りは弱々しくも茂みの奥にいる何かから翡翠色の鳥を隠すかのように


 やがて熊が弱々しい鳴き声を上げながら倒れ伏すと、茂みの奥から弓をつがえた2人の男が出てきた


「はぁ〜、ちっせえ熊だってのに随分時がかかったなぁ。ちっせえけど」

「で、でもこれで一人前の猟師としては認めてくれますよね!?」

「毒矢使ったんだから当たり前つったら当たり前なんだがなぁ……まっ、合格にしといてやるか」

「ありがとうございます!」


 男達はエアが最初に見掛けた村の猟師、そして熊に当たっていたのは致死性の神経毒が付着した毒矢であった。


『何をしているのですか貴方達は!』


 エアは先程までの幻想的な光景を消し去った目の前の人間に激しい怒りを覚え激昂する。

 それと同時にエアの中に黒い何かが生まれた。しかし、エアはその存在に気付かない


「おっ、何だこの鳥随分と綺麗な羽を持ってやがるな」

「それにこっちを見ても逃げませんね。威嚇しているようにも見えますが」


『聞いているのですか!?』


 猟師達はエアの声は聞こえている、ただし聴こえているのはただの鳥の鳴き声であった。


「ですが近付いたら逃げそうですね」

「ま、近付かない限り逃げねえならこうやって――」


 男は小さい筒状の物を口に当て息を吹いた。


 先程よりもさらに小さな風切り音


 小さな針状何かがの当たり、エアは動けなくなった。




『(な、なんなのですかこれは……)』


 身体は動かなくなった。けれど意識はあった。目も開いているが動けはしない。感じたこともないこの状況にエアは恐怖に駆られた。それは黒い存在をより大きくすることになる。


『(ッ!?)』


「この鳥動いてませんか?」

「んなわけ……毒で痙攣してるだけだろ」

「そうですか。……?」


 毒で痙攣している?


 否


 この震えは恐怖からの震え、自らの存在をまるで上書きするかのように現れた黒い存在に対しての恐怖。


『(私の存在が消えてきている? 怒り、憎悪、恐怖、苦痛……どういう事なのでしょうか)』


 エアは冷静であった。

 いや、冷静になってしまった。そしてこの黒いのが具体的には何なのかは分からない、けれどこのまま放っておけば自分達が創った惑星が混沌の禍に呑み込まれてしまう、唯漠然とそんな気がしたのだ。

 この時ばかりはエアの面倒くさがりの面もなりを潜めていた。


『(私に残された時間は少ない、少しでも多くの情報を手に入れなければ……)』


 不気味なこの黒いものは何なのか、何故唐突に現れたのか、と。


『(これは私の感じた恐怖から……? いえ、確かに感じられるようにはなりましたがこれは私がこの者等に怒りという感情を抱いた時から現れていたはずです。という事は私の感情に起伏から起こった現象なはず、そして私が抱いた気持ちは”怒り”と”恐怖”、黒いものから感じる感情にも”怒り”と”恐怖”が含まれていて……)』


 エアは生まれて此方ここまで思考を巡らしたことはあっただろうか。

 そもそも考えなくてはいけない事が光達にはほとんど無かった、故にエアが持つ1つの才能に誰も気付かなかった。


『(――っ、なるほど……そういう事でしたか。皆さんに報告は……間に合いませんね。そうですね――私の力を託すのに1番適しているのはやはり【ミーシア】ですかね。黒いものが感情、精神に呼応する性質を見る限り私達の存在は精神体。それならば私の力を託した場合私の意識がミーシアに複合されるはず……)』


 自分達光の中で最も強く最も明るく何ものにも染まってしまいそうな不安定な光、それこそ消えてしまえば全てが無くなってしまいそうな気もする。果たしてあの光が自分と同じ状況になった場合どうなるのだろうか?


 答えは決まっている


 黒に、底の見えない深黒の存在に染まりきってしまう。それは絶対に阻止しなければならない、全てが崩壊してしまうはずだから。

 それに染まっていないが故に自らの複合も何の問題も無く行えるはずである。


『(――これで大丈夫ですね。もし他の皆さんも私と同じ状況になった場合考える事は同じはず)』


 エアは他の光達が自らと同じ状況になった場合は自らと同じくミーシアに全てを託そうとする、そう思い残った全てを希望の光に自らも全てを託した。


『(それでは皆さん、ご武運を――)』


 やがて緑の【エア】は黒くなり、空気に溶け込むかのように消えてゆくのだった――




 熊を解体し終わった猟師達


「あれ、あの鳥いなくなってますよ?」

「ああ? ……逃げたんだろうよ」

「いやいやいや、毒が回っていたはずなのに逃げるなんて――」

「う、うっせぇ! 失敗をぶり返すな!」

「えぇぇ……」


 失敗はしていない、本当に消えたのだから怒られた方も怒った方も訳が分からないことだろう。

 しかし、たかが鳥1匹。くまも仕留めていたこともあり今夜は熊鍋をして2人はこの話を笑い話として笑いあったという。


△青の【ウィニア】

キラキラした物を見て以来変な収集癖がついたが、別にあればいいと思っているだけなので、その物自体にあまり執着はない。ウィニアとは犬猿の仲だと思っているのだが、相手にされすぎなく泣いてしまい、大抵ミーシアに慰められている。ジト目がデフォルト。


▼緑の【エア】

偶に静かになったと思えば寝ている。ウィニアとは犬猿の仲ではあるのだが、エアの性格が性格だけに喧嘩はまず起きないが、偶に喧嘩する時は大抵文明が1つ崩壊する。綺麗な景色を観ながら寝るのが好き。なお、本気を出せれば光達の中で1番強いのでは疑惑がある。

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