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零ー20 ハイリスク・ハイリターン

 

「ど、どうしたルイ」

「そ、そうですよ。突然そんな大声を出して」

「お前らなぁ! そんな重鎮が何でミノア大陸に行こうとか思えるんだよ!?」


 シストルム大陸を回るならまだ分かるよ? でもミノア大陸はないわー。

 下手したら死ぬ所に王子と公爵行かせるってどんな神経した国だよ。


「闘技大会の優勝商品が、王国が出来ることなら何でもしますって感じだったからなぁ」

「魔法大会の優勝商品が、王国に出来ることなら何でもしますって感じでしたからね」

「……それでミノア大陸に行きたいって言ったのか?」

「いや、暫くの間の自由が欲しいって言った」

「いえ、暫くの間の自由が欲しいって言いました」

「はぁ……」


 アーイスト王国も馬鹿なんじゃないだろうか。いや、まさかミノア大陸に行くとは思ってなかったからの判断か。


「……行くの?」

「おう!」

「もちろんです」

「……」


 果たして俺はどの選択をするのが正しいのだろう。


 例えば、2人を無理にでも家に帰らせるとすると……





 ……ははは、1人でニーシャ様とやり合うなんて無理、絶対無理だから。


「分かった。なら条件付きなら俺も2人に家に帰れ何て言わない。これを見てくれ《ステイタス-観覧許可》」





「――えげつねぇな、おい……」

「私はそれよりも偶にいるはずなのに見失ってしまうユキさんが神獣だったという事に驚きです……」

「まあユキの事は、頭に乗せてる俺ですら偶に何処にいるか分からなくなるからな。それよりも、俺が言いたいのは”神の試練を受けし者”だ」

「”神の玩具”ではないのですか?」

「……それには触れないでくれ。……俺もさっき見たばかりだから詳しくは分からないけど試練というのは恐らくこういう事だ――――」


 俺は2人に俺が転生者だと言うこと、成り立ち、ニーシャ様という神がいることを伝え、そのニーシャ様から悪戯という名の死地に立たされる事を説明した。

 正直俺が転生者だと伝えてもさしたる問題は無いだろうという故の判断だ。


 それに、何も言わずに2人を巻き込むのも悪いと思ったからでもある。





「――ニーシャ様……。信仰されていないにも関わらずこの世界に干渉出来るのは統括神という存在だからなのですね」

「俺はルイが転生者って事には納得だな。妙に偏った知識だったし」

「2人とも妙に理解が早いな、もっと疑うかと思ったんだけど」


 というか疑って欲しかった……

 だって結構大きな事だし……日本でいうところの宇宙人的存在だぞ?


「えーと、それもそうですね。こほんっ……ナ、ナンダッテー、ソンナバカナー」

「アリエナイダロソンナノー」

「片言はやめてくれないか!?」


 何か俺がおかしいみたいじゃないか……


「冗談ですよ。ただ私達の様な公爵や王族は、転移者の事も転生者の事も先祖代々伝えられていますから」

「どういう風に?」

「”馬鹿な事はするな、するならばその日が命日と思え”と」

「何したんだよ!?」

「昔この国の王族が転移者を取り込もうとして1度全員殺されかけたらしいぞ? 今でこそルガリア帝国とは互角にやり合ってるが、そん時は何がなんでも力が欲しかったんだろ」

「そして転生者の存在はあまり確認されていませんでしたが、同じくらいの事はしてくるだろう、という話らしいです」


 何してんだよここの王族も転移者も……。

 というか先祖代々って余程身に染みたんだろうな、当時の王族は。別に同情はしないけど。


「ただ、これは他の国の重鎮も知っている事ですのであまり知られない方が得策かと。特にハスト神聖国には」

「ああ……あの異常な奴らな」

「確か、神が好きすぎて日々布教という名の戦争が起きてる、だったっけ?」


 数多の神がいる事を知られているこの世界。というより偶に降りてくるせいで。


 それ故にハスト神聖国は内部で数多の派閥が出来、『○○様が1番美しいに決まっている!』『いや! ○○様だ!』『お前ら! ○○様を忘れてないか!可愛さと美しさを両立している○○様を!』等と日々言い合っている。


 最早アイドルの親衛隊か何かだ。


「その通りです。それに加えて、いざ戦争になるとどの国よりも強くなりますから、それが厄介です。まあ”戦争よりも布教”のあの国は何処にも攻めませんけどね……」

「ルイも気をつけろよ? 何せ転生者は神に1番近しい者です! とか言って一気に祭り上げられるからな」

「あ、ああ……」



 聞いてないぞ、セティさん。


「んんっ、それで俺の条件は神の試練に巻き込まれてもいいか、という事なんだがいいか?」

「私は問題ありません。そちらの方が面白くなりそうですし」

「おう! 神の試練ってことは強え奴ともやり合えるって事だろ? ならむしろ好都合だしな!」

「そっか……。ありがとう、2人とも」


 まだ会って2日でも2人の人となりは何となく理解出来たから何となく断られる気もしなかったけど、こうして言葉にして聞くとなんだか安心するな。


「じゃあ行くか!」

「そうですね……あ、ユキさんのスキルも見た方が良いのではないでしょうか?」

「そういえばそうだったな。ユキ、いいか?」

『うん』





 ユキ(∞)

 種族:神獣「兎」

 総魔力-105000/105000(+5000)


 スキル

  護身術Ⅷ・隠密Ⅵ+Ⅰ・逃走術Ⅹ・魔力操作Ⅳ・魔力増強Ⅹ・危機察知能力〔大〕

 ユニーク

  危機察知能力上昇・隠密の理・脱兎


 称号

  帽子





「――え、何この偏り具合」

「魔力……要ります?」

「強え……のか?」







「「「ははははは……」」」



 笑うしかなった





 ~~~~~~~~~~



「――金貨3枚と銀貨6枚になります」

「……ルイ」

「……お金を貸してください」


「ははははは……」


 ワラウシカナカッタ


ユキがあまり触れられていない理由が出ましたね。


後、お金が無いのは喧嘩した時に色々と弁償する事になったからです。(総額金貨約500枚)

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