謎の遺跡とターニングポイント
その夜、俺は夢を見た。
相変わらず俺の部屋でやっぱり黒い人型がいる。
「なんだよまた出やがって」
「やあやあこんばんはフーラくん」
「要件は何だよ」
「君にアドバイスを上げよう」
「いらん。」
「本当に?なら用事はなくなったね。じゃあね」
「執着がないな、ほんと何がしたいんだお前」
「聞くかい?」
「一応な」
頭に映像が流れ始めた、その映像に映っているのは俺とリーナだ。
「なんだよ仲良さそうにしてるじゃん」
「そう、君は仲良くできてるよ?今はね」
「今は?」
場面は飛んで俺もリーナも成長してる、そして俺は地面に倒れてそれをリーナが絶望した顔で見てる
「おいなんだよこれ!俺…」
「これが君の運命だよ」
「嘘だろ…せっかく異世界に来て呆気なく死ぬのか?」
「そう!だからアドバイスだ」
「くそ…聞かせろ」
「君はこれからあの子を口説き落としなさい、未来でも勝手に好きになるけど早く落とすだけで未来は変わる、そしてもうすぐこの村の森の奥に古代遺跡が見つかる。そこにふたりで行きなさい」
そのアドバイスを聞いた瞬間に目が覚めた、朝だ。
そして部屋の椅子に目を向けるとそこにはリーナがいた
「え?なんでいるの」
「暇だから来たんだよね、あとルナちゃんも見たかったし」
「そっか」
助言を整理…するまでもないか。
リーナを恋に落とす。
シンプルで一番難しいな、非モテの引きこもりに恋愛を求められても困る
手寧なノックが聞こえた。
「フーラ、伝え忘れが…ごめん邪魔した」
「気にしないでください」
「そう?じゃあ話すけど。」
「どうぞ」
「中級は威力も高くなるから少し離れたところでやることにするから」
「分かりました」
「あとカルラさんがご飯食べろって言ってたよ」
「あー分かりました、ごめんリーナちょっと待ってて」
「うん」
リビングに行くと二歳になったルナがカルラの膝の上で楽しそうに喋ってる。
まだつたない言葉だ
「母さん」
「起きたのねフーラ」
「はい、起きたら椅子にリーナがいてびっくりしましたよ」
「朝から来てたからね、部屋で食べる?」
「いいんですか?」
「今日はリーナちゃんいるから特別にね」
食べるって言っても普通にパンだ
「お待たせ」
「ここで食べるんだ」
「母さんが部屋で食べてもいいって」
「そっか、こんな朝から来たけど何する?」
「また教えてもらった魔術の練習とか」
「最近ずっとそれじゃない?」
「他にやることある?」
まずい同年代の女子との遊びってなんだよ引きこもりだぞこっちは
おままごとか?いやリーナ七歳だしな…もう聞いた方が早いか
「何したい?」
「…外行く?」
「行くか」
てなわけで外に来たが走り回るのか?
「あそこの森行ってみない?」
「あそこは危険だって父さん言ってたんだけど…」
「だからこそじゃん!行こう?」
「危なくなったらすぐ逃げるからな」
結構歩いたけど想像以上に遠かったな、普通に二十分は歩いたぞ
「うわ~雰囲気しかないね」
「魔物とか出ないの?」
「出るんじゃないかな?でもフーラも私も魔術で倒せるじゃん」
「リーナはまだ初級しか使えないでしょ」
「じゃあ守ってね、男の子でしょ?」
「はいはい」
一応迷わないように木に目印つけとくか
「かなり奥まで来たな」
「そうだね」
「…あれ建物じゃない?」
「え?ほんとだ」
「行こうよ!!」
「ええ!?行かないよ絶対やばい」
「なんで!?冒険だよ!」
子供ってこんなものか?でも俺もワクワクしてる
「すこしだけな?」
「よし!」
俺たちは遺跡の中に歩みを進めた。
中は汚くて物が散乱しててまさに遺跡だ、所々壁が崩れて部屋と部屋が繋がってる。
お~これはずいぶんテンションの上がる遺跡だ、男子高校生にはたまらない!まあ五歳だが
さてさてしばらく探索してると面白いものがたくさんある。
壁画に読めない文字の本、持ち帰りたいところだがこういう所の物を持ち帰るとろくなことにならないのは怪談ではあるあるだ。
火の魔術で辺りを照らしながら進んでいると真っ暗な廊下の先に別の光と足音がする
「フーラ足音…?」
「一旦ここに隠れよう」
廊下のど真ん中で大人が三人…黒いローブを着てて顔が見えない
声が小さくて何を言ってるかも分からない
「おい魔力の気配だ」
「侵入者だ」
「バレてる…」
「どうするの」
「逃げるしかないだろ!」
相手は三人だ、俺の魔術じゃどうしようもないだろうし
俺たちは走り出した、遺跡の奥の方へ進むと行き止まりだ
「フーラ行き止まり!」
「やば!」
「追い詰めたぞ」
「お前ら村の子供だな、こっちに来い」
魔術師風の男たちの手が俺たちの腕を掴もうとした瞬間三人は消えた一瞬。
見えた。
「え…?」
俺はリーナの口を手で塞いだ。
何だあれは、黒いでかい早すぎる…生き物なのか?
辺りを警戒していると突然後ろから肩を掴まれた
「…リーナ?」
「なに?」
「俺の肩掴んでる?」
「掴んでないけど…」
「振り向くな!!」
ダメだダメだ…この後ろの気配は異常だ、おかしい
人間じゃないのが一瞬で理解できるくらい恐ろしい…いや恐ろしいなんて生ぬるい
「ここは俺の遺跡だ。何をしてる」
男なのは確定した、低い声におそらくしゃがんでいるから身長は分からない
「ここは儀式の間だ、子供が入り込んでいい場所じゃない」
「すぐに出ていくので…」
「ダメだ」
ダメ?俺たちは死ぬのか?リーナは俺の服を掴んで震えてるし…終わり?
次の瞬間肩に触れていた手が背中に移動した
「っ…」
あれ意識が…まだ死ねない…リーナ
俺の意識は途絶えた、死んだのか分からないけど異世界生活もこんな短い人生で終わりか




