家庭教師と妹
魔術の練習を中心に生活してたら時間はあっという間に流れてしまった、カルラのお腹はいつの間にか大きくなり俺もだいぶ魔術を使えるようになったが結局無詠唱は出来てない。
「はぁ…あの時の状況振り返るか」
あの時は確か魔力な流れについて考えていたところだった、手に集まる感覚についての仮説を立てているところだった。
「ん~…」
リビングで頭を抱えているとカルラが心配そうに話しかけてきた
「大丈夫?何か悩み事?」
「実は魔術について困ってて…」
「魔術?何について?」
「前に一度だけ無詠唱魔術を使えたんですがそれ以降全くで」
「…え?」
そりゃ驚くだろうな、前に自分でもできないし見たこともないと言っていたからな
「えっと…本の話?」
「僕の話です」
「ごめんねフーラ、それお母さんには解決できないかも」
「母さんは悪くないですよ!もう少し自分で考えてみます」
カルラは窓際でお腹を撫でている、そろそろ生まれてくる頃合いだろうか
そういえば父さんはこの世界では珍しく剣で戦うらしい、どうやら母さんを信頼して前衛を務めていたそうだ
そんな父さんは今庭で剣を振っている
「父さん」
「どうしたフーラ?」
「無詠唱魔術について何か知ってることはありますか?」
「あ~お前もついに憧れたか!わかるぞ父さんも練習したからな!」
「じゃあ何かを!?」
「知らん!俺も出来なかったからな!」
「えぇ…」
何か知ってそうな雰囲気出しといて何もないんかい…危うくウォーターボールを撃つところだったぞ
結局部屋に戻ってきてベットに飛び込んだ
「…初級も全部マスターした…一度だけ無詠唱も出来た、俺にしては頑張ってるしな」
もういいんじゃないか、この世界を楽しむために頑張ってるんだしな…
水、水、水…難しいこと考えてたら喉が渇いた
まただ、魔力が体を流れる感覚!
手からこぶし大の水が出てベットと俺を濡らした
「…出来た?いや言ってる場合じゃないか」
言ってる場合か?シーツと服びしょ濡れだぞ?でも出来たしな
どうせ濡れたならもう一回やっても同じか
何考えてたっけ?確か水ってずっと考えてて…
服がさらに濡れたけど出来た!
「まじか、メモ書かないと」
ひとまずメモに「魔力の流れるイメージと魔術の想像が必要」と書いてクロエのところに行った
「あの…」
「どうされ…え!?なんで濡れて!」
「魔術を使いまして」
「すぐに脱いでください、新しい着替えを用意します」
「実はベットもなんですよ」
「えっと…漏らしました?」
「断じて違います」
危ないとんでもない誤解が生まれるところだった
「フーラ!?なんでびしょ濡れなのよ!?」
「母さん…実は魔術の練習をしていたらこうなってしまいました」
こういう時は目をそらさないで全力で謝った方がいい、前世の知識だ。隠してもいいことがないのは知ってる。
「ごめんなさい、庭でやれと言われたのに」
「そうね、でも隠さずに正直に謝れたから許す。次は気を付けてね」
「はい…」
さて着替えながらおさらいだ、まず二連続で成功したということはコツは掴んだってことでいい。要するに望めば出てくるのか?水が欲しいと思えば出るなら火も同じか
ひとまず庭に移動して火も出してみたが出来た、こんなに簡単なのになんで詠唱をするのだろうか。
もしかして俺が天才なのか?
「そろそろ中級も試すか」
その頃カルラとクロエはフーラの独り言を聞いて顔を見合わせていた
「中級?あの子今日で二歳よね?」
「そうですね…フーラ様は確かに二歳です」
「やっぱり天才なのようちの子は!」
「正直そうとしか思えませんね、二歳にしては妙に落ち着いてますし言葉もはっきり喋ってますし」
そういえば本を部屋に置いてきたままだったな、取りに行くか
そう思って本を取りに行ったのは良かったのだがさっきの水のせいで本がダメになってた
「まじか…」
くれると言ってたから怒られることはないだろうけど詰んだか?
とりあえずカルラに報告した
「あの本旅の途中で買ったからどうしようもないわね」
「そうですか…」
本の事はいったん諦めた、どこで買ったのか忘れたなら仕方ない
夜になると俺の誕生日会が開かれた
「おめでとうフーラ!もうすぐお兄ちゃんだからね」
「はい!頑張ります」
「フーラ、お前魔術の才能があるなら家庭教師を本格的に考えてみたらどうだ?」
「…あ」
そういえばそんな話あったな、本もダメになったし仕方ないか。
「そうですね、本がダメになってしまったのでお願いしたいです」
「おっしゃ任せとけ!でもこの辺に冒険者がいると思えないな、魔物の発生も少ないところだし」
「町のギルドに依頼を書くのなら私が行きますよ。」
「町?遠いんですか?」
「馬車で二日ほどかかりますね」
どうやら魔術ギルドとやらがあるらしい、そこに依頼を書くとクロエは言っていた。
それから一週間ほどで見つかったらしい
「どんな方なんですか?」
「容姿は分からないが超級魔術を使えるらしいぞ?大体引退した冒険者が受けるからな家庭教師は」
引退した魔術師か、髭の生えたザ・魔術師みたいなやつが来るのか
「明日には到着するらしいぞ、ちなみにこの辺宿は無いから泊まり込みだ」
「よく受けましたねその人」
その夜俺は眠れずにいた、めっちゃ厳しいやつだったら嫌だな的な考えがぐるぐるしてる
考えても仕方ない、寝よう。
どうせ明日分かるのだ、そう思って目を閉じた瞬間廊下が一気に騒がしくなった
「なんだ?」
慌てて様子を見に行くとベットで苦しむカルラと大慌てのガルダとお湯とタオルを用意してるクロエがいた
「何事ですか?」
「フーラ様、奥様の陣痛が始まりました!」
さっさと部屋から追い出された。
そりゃそうだ子供に見せる光景じゃない、実際俺も手が震えている。
大人しく部屋に戻ったが落ち着かない、落ち着けるわけないだってあんなに苦しそうだったのだ。
今までニコニコと穏やかなカルラが。
ガルダが言っていたが妹らしい
「無事で生まれてくれよ…」
何時間経っただろう精神的に疲れたせいで眠たい
「フーラ様」
「クロエさん…」
「無事産まれました、奥様も無事です」
「よかった…」
俺の意識は安心によって手放された。




