第9話:冷やかし
二学期にもなるとクラスで仲の良いグループができてくるのだが、その中で男女のカップルもできていた。その二人とは小谷さんと長谷川だ。長谷川はかなりのイケメンでかわいい小谷さんとはお似合いとも言える。ある日ちょうど二人が仲良くじゃれ合っているところで、どこからともなく冷やかしの声がでてきた。
「ヒューヒュー」
「お似合いだねー」
「もう付き合っているのー」
「いつ結婚するのー」
「結婚式には呼んでねー」
いきなり結婚式まで持ち出しているところが子供っぽいと言えるが、それにしても容赦ない。まぁ俺も前回はヒューヒューぐらいは言っていたような気がするが、今回はやめておいた。二人は真っ赤になってじゃれ合うのをやめていたが、確か前回の記憶ではこの後に二人が仲良くしているところは見なかったと思う。俺の二年生二学期のあのときと同じで、二人とも冷やかされて距離を置くようになってしまったのだろうか?そうすると長谷川も将来に俺と同じように後悔することになるかもしれないな。後悔のあまり奴もいつかタイムリープするのだろうか?いや長谷川はイケメンだから、そんなことにはならないか。
それにしても中学生の恋というのは成就するには相当なハードルがあるんだな。ちょっと仲良くなるとクラスから冷やかされてしまうのだ。これに抗うだけの精神力を中学の頃に持つなんて無理ゲーもいいところのような気がする。
中学生の恋については大人になってから甘酸っぱい青春の思い出として語られることが良くあったが、俺にとっては後悔しか残っていなく、とてもそんな甘酸っぱいなんて言葉で片付けられるものではなかった。誰だって上手くいってほしいに決まっている。クラスメイトの冷やかしは別に悪意があってやっているわけではないだろうけど、それにしてもこれで恋が消えてしまうとするなら、なんて残酷なんだろうと思ってしまう。まぁそんな辛い体験をしたからこそ、大人になってうまくいくようになるのかもしれない。
ちなみに小谷さんに気があった大川はかなりのショックを受けていたので励ましておいた。40歳まで独身だった俺の周りには、同じくモテない友人がたくさんいて、振られたときに励ます機会はたくさんあったのだ。俺もそんなスキルは身につけたくなかったが。
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