第25話:お願い
本日に2話投稿して完結予定です。20時ごろに最終話を投稿する予定です。
近くのファミレスに入ってお互いにドリンクバーを注文した。
「あのバス停で待っているということは、市立女子高に通っているの?」
「そうだよ、向井は?」
「俺は西高だな。川岡は水泳部を続けているの?」
「市立にはプールがないから別の部にしたよ。向井は続けているの?」
「西高にはプールがあるけど、俺も別の部にしたよ」
「あんなにがんばっていたのにもったいない」
「あれ以上は無理だったからね」
こうしていろいろと雑談していると、あの中学生二学期の隣の席だったころを思い出す。残念ながらうまく行かなかったけど、それでも前回よりはかなり充実した中学時代をおくることができた。
「そういえば、向井は彼女できた?」
「全然だな。二年生になってからは男子クラスになったし。そういう川岡は彼氏できたの?」
「私もまだ」
西高は共学なんだが、二年生からは文系・理系コースに分かれるようになっている。俺が選択した理系コースには女の子が少なく男女共学のクラスは一つしかなかったのだ。
「市立女子高だと近くの北高の生徒と付き合う感じ?」
「いろいろかな。中学の知り合い伝手とか」
「なかなかいい人が見つからないってこと?」
「というか、あんまり誘ってくれないんだよね。友達には声がかかるんだけど。私ってモテないのかなぁ?」
「中学のときに少なくとも一回は告白されたことがあるんだからモテないということはないだろ?」
「えー。中学のはノーカンじゃない?」
「そんなわけあるか。俺は真剣だったよ。」
「でも今はあんまり誘われないし」
「ちょっと話をしただけだと川岡の良さが伝わらないんだろ。俺は部活が同じだったから水泳やっている川岡がかっこいいことは知っているし、隣の席だったからイタズラ好きなところとか、実は意外と器用なところとか、話をしているととても楽しいとかいろいろといいところを知っているよ。そういういいところに気づいてくれる人がきっと誘ってくれるよ」
「うん、ありがとう」
なんか言っていてすごく恥ずかしくなってきた。ちょっと心を落ち着かせるために席を少し外すことにした。
「ドリンクのおかわりもらってこようか?」
「じゃぁ、レモンサワーでよろしく」
川岡さんのコップを持って立ち上がろうとすると、
「ねぇ、せっかくだから連絡先を交換しない。ケータイを貸してくれれば交換しておくよ」
と言われたのでケータイのロックを解除して手渡した。
川岡さんのレモンサワーと、自分の分のコーラを注いで席に戻る。
「はい、レモンサワー」
「ケータイの連絡先交換しておいたよ。ケータイ返すね」
「ありがとう」
お礼を言いながらケータイを受け取ろうとするが、川岡さんの手には俺のケータイはなかった。テーブルの上にもない。どこにあるんだ?と思って川岡さんを見てみると、川岡さんの手は胸ポケットを指していた。
「ちょっと、そこから取れるわけないでしょ」
「普通にとればいいじゃん」
俺のケータイは二つ折りタイプのもので凄くコンパクトになるのが気に入っているのだが、そのために完全に川岡さんの胸ポケットに入ってしまっている。
「向井、こうやって返してもらうの好きでしょ?あの時もうれし涙ながしていたし」
「げっ、お前覚えているのかよ。というかあのときは目にゴミが入っただけだし」
「本当かなー凄く嬉しそうだったよ」
あのときはボールペンだったから、まだなんとかなったと思うけど、今回は絶対に無理だ。
「わかったよ。降参するよ。何か一つ川岡の言う事聞くから、とりあえずケータイを返してよ」
「しょうがないなー」
川岡さんは俺のケータイを手渡しで返してくれた。
「あのときと同じでドリンクバーを奢ればいいか?」
「ううん。連絡先を交換したんだから、ちゃんと連絡してきて」
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