第26話:誕生日
「パパ、誕生日おめでとう」
今日は俺の40歳の誕生日だ。タイムリープしてもう一度中学生からやり直した俺は、今回は結婚することができて娘を授かることまでできた。
「パパとママって馴れ初めはどんな感じだったの?」
娘が妻との馴れ初めを聞いてきた。
「それはな、中学二年生のときに隣の席になって仲良くなったんだよ」
「じゃあ、中学から付き合って結婚したんだね!」
「それがその時にはママに振られちゃったんだよ」
「えー。ママ、ダメじゃない」
「あのときは、好きとか意識していなかったのよ」
「ママはまだ子供だったんだよ」
「しょうがないなー」
娘からダメだしを食らった妻はここで反論してきた。
「その代わり、高校になってバス停で偶然再会したときには私からファミレスに誘ったじゃない」
「パパとママが高校になってから偶然、再会するなんて運命だね」
「でしょ、でもパパったらちょっと話をして立ち去ろうとしたのよ。ひどくない?」
「パパはダメだなー。なにやっているのよ?」
今度は俺の方が娘からダメだしをくらってしまった。
「ところでママは、いつ頃からパパを好きになったの?」
高校で再会して、その後に付き合うようになったのだが、いつ頃から好意を持つようになってくれたのかこれまで聞いたことがなかった。
「それはねー。パパは中学のときに水泳で県大会3位になったんだよ。」
「へーパパって凄かったんだ」
「全校生徒の前で表彰までされて格好良かったの。その頃から好きになったのよ」
そうだったのか。あれ?
「ママ、それって俺が振られた少し後ぐらいじゃないの?」
「だってしょうがないじゃない、告白されてから意識するようになったんだから」
「言ってくれれば良かったのに」
「振ったあとに、やっぱり付き合ってなんて言えるわけないでしょ」
「パパがもう一回、告白すれば良かったんだよ」
「そうだよねー」
振られてすぐ後にまた告白なんて、そんなことできるか!このままだと、妻のおかげで結婚できたことになってしまいそうなので反論する。
「いやいや、大学になってからは俺の方から遠くから何度も駆けつけただろ」
「それはあなたが遠くの大学に行っちゃうからでしょ」
付き合ってからも大学が遠かったり就職して忙しかったり、数々のハードルがあった。ときには疎遠になりそうになったこともあったが、ここで諦めたら絶対後悔すると思い、なんとか繋ぎ止めてきた。その甲斐があって結婚することができた。後悔が残るようなこともあったけど、今は幸せでタイムリープを望む必要もなくなっていた。
馴れ初めや、プロポーズの言葉など結婚までの話をしばらくした後に、娘からプレゼントをもらった。
「はい、パパ。誕生日プレゼント」
「ありがとう」
「それでパパに一つお願いがあるんだけど」
「何かな?内容によっては聞いてあげるよ」
「ママと一緒のお願いだから、ママから聞いて」
ママと一緒のお願い?なんだろう?
「はいパパ、私からの誕生日プレゼントよ」
妻が誕生日プレゼントをくれるらしいのだが、手には何も持っていない。というか手は妻の胸ポケットを指している。そこには誕生日プレゼントらしいラッピングされた箱が入っていた。
「わかったよ。降参するよ。何か一つ言う事聞くから」
「それじゃー。家族をハワイに連れて行ってほしいなー」
妻は100%成功するお願いの方法を知っている。
これで完結です。ここまで読んで頂き本当にありがとうございました。よろしければ評価、感想などを頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。




