第24話:ラストチャンス
この話を含めて残り3話で完結予定です。
高校では水泳部ではなく別の部活に入ることにした。県大会まで行ったんだからと水泳部から勧誘されたが、スイミングスクールに通っているようなガチ勢には勝てるような気もしなかったし、別の部活に入ったほうが新しく得るものがあるのでは?と思ったからだ。
高校もニ年生になってしばらく経ったある日、部活が臨時で休みになり仕方がないのでそのまま帰宅することになった。高校までは自転車で通っていたのだが、あるバス停で女子学生が一人で待っていることに気づいた。近づいて見ると、その女の子はあの川岡さんだった。そうだ、思い出した!前回のときも今と同じようにもう一度だけ話をするチャンスがあったのだ。その時にも話しかけるかどうか凄い迷ったのだが、結局はやめてしまった。あれから三年も経って、いまさら覚えていますか?と話しかけても誰?と聞かれるのがオチなのでは?と思ってしまったのだった。あのときにはその判断が正しいと信じていたが、結局は話しかけて失敗するのが怖かっただけで、それを強引に正しいと思い込もうとしていただけなのではないかと思う。そうじゃなければ、その後にあんなに後悔することなんてなかったはずなのだ。そして、その後は二度と再会することはなかった、これが正真正銘のラストチャンスだったのに。
それなら今回はどうするのか?一度振られているのにまた話しかけるのか?もし川岡さんから、自分のことを覚えていないと言われたら、相当なショックで立ち直れないような気がするが、それでも少しの可能性にかけて話しかけなければ絶対に後悔するに違いない。
「すいません、川岡さんですよね?」
「えっ、はい?」
「僕は北五中で同じ水泳部だった向井です。中学二年では同じクラスで隣の席にもなったことがありますけど、覚えていますか?」
「えーと、はい覚えていますよ」
よかったー。覚えていてくれた。
「その後は元気でやっていますか?」
「はい、まぁまぁ」
「...」
やばい、その後に何を話すのかが全く思いつかない。ここで天気の話をしても仕方ないし。もうこれがラストチャンスなのに、ここから話を盛り上げて再び仲良くなるようにできるようにするのは、はるか遠くの目標に感じられた。もうすでに少し間があいてしまっている。このままだと更に気まずい雰囲気になりそうだったので、話を切り上げて去ることにした。
「いきなり話しかけてごめんね。それじゃ」
「あっ」
去ろうとしたのだが、川岡さんからの声が聞こえたので自転車を止めて振り返る。すると川岡さんの方から提案してくれた。
「少し時間あるかな?立ち話もなんだし、近くのファミレスに行かない?」
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