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第2話:一年生の始まり

40歳で童貞だったからタイムリープしたのか、冬の寒い夜に凍死したからタイムリープしたのか、2月なのにサンタさんにお願いしたからなのか理由はわからないが、どうやら望み通り中学生にタイムリープしたらしい。ただやり直したいのは二年生のときのクラスメイトに冷やかされた時なのだが、一年生の最初の日まで戻っていた。途中からではなくちゃんと最初からやり直しなさいということなのだろうか?

タイムリープして中学一年生に戻ったからといって、そのまま何も考えずに過ごしてしまったら二回目というアドバンテージはあるにしても、また同じような失敗を繰り返してしまうだろう。だから中学デビューならぬ、二回目デビューとして自分を変えなければいけない。

ではどうするか?まずは素直になる必要があるだろう。俺はちっぽけなプライドというか見栄をはって、素直に褒めたり謝ったりしようとしなかった。そんなことをやっているうちにひねくれた人間になってしまったのだ。

あとは自分からもっと話しかけていこうと思う。いきなり陽キャになろうとしても、そこまで性格を変えるというのはきっと無理だろうから、朝の挨拶とか、隣の席の女の子とかにはちょっとした一言をかけていくことを心がけるぐらいがいいような気がした。

そうやって違った自分に変えていきながら二年生二学期を迎えれば、きっとうまくいくに違いない。


□▲□


地元は人口50万人ぐらいの地方都市で、中心街から離れた北の方にある田舎の中学校に通っていた。その当時は市の北側に新興住宅街ができていて生徒数が多く、一学年に9クラスもあるマンモス中学校だった。その中学一年生に戻って一週間ぐらいが経った。


「向井は部活はどこにしたんだ?」

「水泳部だな。大川はどこにしたんだ?」

「陸上部だよ」


前の席から話しかけてきたのは一年生のときに同じクラスだった大川 春樹だ。どちらかというと痩せている体型をしていて陸上部では長距離の種目だったはず。こいつとは勉強の成績も同じぐらいでライバルとも言える奴だった。まぁお互いに女の子からはあまり相手にされていなかったのが悲しいところだが。

部活については前回つまりタイムリープする前の一回目の中学生のときと同じ水泳部にした。


「入学して一週間ぐらい経ったからそろそろ慣れてきたか?」

「いや相変わらずきついな。向井はどうなんだ?」

「水泳部はそこまででもないな」

「そうか、まぁお互いがんばろうぜ」

「おう」


水泳部の練習はその当時はかなりきつく感じたが、中学ということもあって、今から考えてみるとかなりゆるかった。例えば日曜日は練習がなかったし、学校にある屋外プールは冬の間は閉鎖されるので部活動もなかったのだ。まぁだからこそ、その当時の俺でもついていけたのだが。

この日も授業が終わったので部活に行くことにする。校舎は敷地の北側にあり、南側に田舎の中学校ならではの広い校庭がある。校庭の右側に手前から体育館、プールそしてテニスコートがあった。プールは少し高いところに造られていて、入口付近に更衣室があり、階段を登るとプールにでることができた。少し高いところにあるのでプールサイドからは校庭が見渡せた。

その水泳部の練習はまず最初にプールサイドで全員で準備体操をするのがルーチンになっていた。ひょっとして今回の二回目の人生は別の世界になっていて、前回といろいろと違っていたらどうしよう?と思っていたのだが、一年生のクラスメイトや水泳部に入部した部員のいずれも前回と全く同じだった。

そして前回と同じくニ年生のときに仲良くなるはずの女の子もそこにいた。実はこのことが前回と同じ部活にした大きな理由だ。名前は川岡 美佳でガッチリした体格をしていて、かわいいというよりは頼れる女の子といった感じだ。でも泳ぐ速度はとっても速く、プールで泳ぐ姿はかっこよかった。ただ一年生のときにはほとんど話をした記憶がない。前回の俺は水泳の練習についていくのがやっとで、全くと言っていいほど存在感を示すことができずにいた。当然、女子から声がかかるようなこともなかったのだ。前回のような遠い存在のままでいたら、何のために同じ部活にしたのかがわからなくなってしまう。どうしたらいいのか?考えつつ練習に励む俺であった。

 

□▲□


中学生の頃の日曜日に何をしていたのか実は覚えていない。たぶんテレビを見たり漫画を読んだりプラモデルを作ったり、そんな感じで遊んでいたんじゃないかと思う。二回目の今回はというと、学校のプールにきて一人で練習していた。令和の時代だと管理者がいないところで生徒だけで泳いでいたらいろいろと問題になると思うが、当時はプールの管理もそこまで厳しくなく、日曜日に来て勝手に泳ぐことができたのだ。水泳部での存在感を高めるには練習して速く泳げるようになるしかない。とすれば、皆が練習していない日曜日にやるしかないということだ。

第2話までお読みいただきありがとうございます。よろしければ評価、感想などを頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。

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