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第1話:タイムリープ

全26話で完結予定です。よろしくお願いします。

今日は俺の40歳の誕生日だ。その誕生日に何をしているかというと、居酒屋で一人で飲んでいる。独身のまま40歳を迎えてしまった俺を祝ってくれるような人はいないからだ。会社の同僚など飲み友達はもちろんいるが、この歳になって誕生日祝いで一緒に飲む気にはなれなかった。どうして誕生日に一人で飲むような状態になってしまったのだろうか?後悔のない人生を歩むぞ!と誓って、40歳まで頑張ってきた自分だが、振り返ってみると結局は後悔ばかりが残ってしまった。受験勉強も頑張ったし、社会人になってから仕事も頑張った。でも、恋愛についてはうまくいかないまま、ここまで来てしまった。モテないなりに婚活などに参加したりと何もしなかったわけではない。ではなぜ、こんなにうまくいかなかったのだろう?体型は普通だし、ちゃんとした仕事にもついているから収入もそれなりにはある。顔はごく普通ぐらいのレベルにはあると自分では信じている。

でも本当は理由については解っている。それは、恋愛についてどうしてもあと一歩を踏み出せなく、なんとなく壁を作ってしまうからだ。もっと普通に女性と話ができれば良いのだろうが、格好つけて学生時代から一歩引いた態度を続けてしまったのが良くなかったような気がする。最初のころから素直に接すれば良かったのに。

過去に戻ってやり直したら、もっとうまくできるのだろうか?大学生か高校生からやり直せたら?でも高校生になってくると恋愛に対する意識もかなり増していて彼氏や彼女になるためのハードルも高くなっている気がするし、自分自身すでに恋愛について拗らせてしまっていたような気がする。中学生なら?学生時代にあまり女の子と話すことがなかった俺だったが、中学二年生の二学期だけは別だった。そのときに隣になった女の子とは奇跡的に仲良くなっていろいろと話すことができたのだ。ただクラスメイトに冷やかされて距離をとってしまい、それっきりになってしまった。たぶん、この後ぐらいから女の子と普通に話すことができなくなってしまったような気がする。このときに違う態度を取れていたら、違う自分になれていたのだろうか?

30歳で童貞なら魔法使いになれるらしいけど、40歳で童貞なら何になれるのだろうか?中学時代に戻れるタイムリープのスキルが入手できたりしないだろうか?まぁ単にモテないおっさんが出来るだけだよな。そう思いつつ、一人で誕生日祝いのお酒を飲み続けた。


□▲□


すっかり夜遅くまで居酒屋で酒を飲んでしまった俺は、フラフラと歩きながら一人暮らしのアパートに向かって歩いていた。都内だと高いので川崎にある駅から徒歩15分のアパートに住んでいる。それにしても40歳の誕生日祝いということですっかり飲みすぎてしまった。一人で飲んでいると、飲みすぎても誰も止めてくれやしない。今は2月で外はすごく寒い。ふと夜空を見上げると雪が降ってきている。酔いつぶれていたのと、雪がとてもキレイだったので道端に座ってしばらく眺めることにした。そういえば、若い頃に雪降るクリスマスにデートを企画したな。結局は振られてしまったし、雪も降らなかったのでどうにもならなかったが。

目を閉じるとクラスメイトに冷やかされて距離をとってしまった時の記憶がよみがえってくる。いまから考えてみるとあれが俺にとっての初恋だったと思う。仲良くなっただけで恋ではないのか?とか単に少ないチャンスにすがっているだけでは?という声も聞こえてきそうだが、仲良くなったときに、相手の女の子の魅力をいくつも気づくことができた。それに社会人になってからの婚活でも、もし違うように行動していればもっといい結果になったのでは?という出会いもいくつかはあったが後悔が残るほどではなかった。

なぜあのときにあんな行動を取ってしまったのだろうか?もう一度やりなおせたら、どんなにいいことか。酔いつぶれて眠くなってきた俺は「サンタさん40歳の誕生日祝いはタイムリープがいいです」と願いながら意識を手放した。


□▲□


目が覚めると布団の中にいた。そういえば、昨晩は2月の寒い夜に路上で寝てしまったんだよな。危ない危ない。冬に酒を飲んで路上で寝てしまうと、場合によっては凍死することもあるとニュースでやっていたし、これからは気をつけるようにしよう。それにしてもいつの間に家に戻ってきたんだ?と思って周りを見わたすと何かがおかしい。いや正直に言えばすべてがおかしい。一人暮らしのアパートの部屋とは全く違う部屋だ。川崎のアパートの部屋は8畳ほどの広さがあって台所も付いていたが、今いる部屋は4畳半ぐらいしかない。部屋の半分ぐらいがベッドで占められていて奥に学習机がある。そうか、この部屋は実家の俺の部屋じゃないか!いつの間に実家に戻ってきたんだ?いくらなんでも昨晩、東京で飲んでいて今朝、田舎にある実家にいるのはおかしいだろう?それに実家から出た後は俺の部屋は物置部屋になっていたはず。


「祐介!今日から中学でしょ。早く起きて朝ごはんをたべなさい」


母親の声がするが、今日から中学?そんなわけないだろう。もう40歳だぞ。と思いつつ部屋をでて台所に行くとすっかり若返った母親がいた。どうなっているんだ?


「ご飯を食べる前に顔と手を洗ってらっしゃい」


頭を?で一杯にしながら洗面台に行ってみると、自分も思い切り若返っていた。これはタイムリープだ!

数多くの小説がある中から、この小説をお読み頂きありがとうございます。よろしければ評価、感想などを頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。

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