第15話:男子中学生の恋バナ
一年生のときには前の席だった大川と仲良くなった俺だったが、二年生では内田と竹下という奴らと仲良くなった。内田はけっこう背はあったのだが、猫背気味だったためにあまり格好良く見えない奴だった。一方、竹下は背は少し低めで少しひ弱に見えるために、やはり格好良くはなかった。
その内田と竹下と、ある週末に一緒に釣りに行くことになった。田舎の中学だけあって自然が豊富なのだ。所詮は中学生の釣りなので、適当に餌をつけて湖に投げたら、あとは雑談をするという、何をしに来ているのかわからない状態だったが。
一年生のときにどうだったとかクラス内の噂などいろいろな雑談をしたところで、恋バナの話になった。
「なあ内田、クラスでだれが一番好きなんだ?」
竹下がまずは内田に好きな女の子を聞いた。
「俺は高峰だな」
「あー、わかるかも。凄くエロい感じがするものな」
「俺はエロい女が好きなんだよなー」
高峰 佳代さんは長髪でスラッとした体型で、かわいいというよりは美人というタイプの女の子だ。クラスではすでに人気があったが、どうやら二人とも高峰さんは好きなタイプらしい。それにしてもエロいのが好きと正直に言えるところが男子中学生の恋バナらしくていいな。
「そういえば、高峰はたまにウインクを飛ばしているな」
「そうなんだよ、俺にも飛ばしてくれないかな」
高峰さんはウインクされて男の子が赤くなるのが面白いらしく、たまに近くの男の子の名前を読んではウインクを飛ばしていた。中学生ならではの無邪気な遊びなんだろうが、自分が美人ということをわかった上でやっているので、このタイプはたとえ美人であっても近づかない方がいいということを俺は知っている。もちろん前回の中学生のときはそんなことは知らなかったが、社会人になると美人ということをわかった上で依頼をしてくる女性が最もやりにくいことに気づくのだ。受けたくない依頼なのに、チーム内で必ずその依頼を受けてしまう奴がいるからである。
「向井も高峰いいだろ?」
「いや俺は勘弁だな」
「そうなのか?せっかくエロいのに」
将来、仕事で痛い目を見るから気をつけたほうがいいぞ。と言いたかったが耐えた。それにしても高峰さんは俺達三人にはウィンクを飛ばしてこなかったので男を見る目はあるみたいだな。
「俺は大久保だな。朝とか挨拶してくれるんだよ。」
こちらから聞く前に竹下が好きな子の名前を喋った。大久保 恵さんはまさにかわいいというのがぴったり合うような女の子で、クラスメイトに分け隔てなく挨拶するということもありクラスでも一番人気だった。ひょっとすると竹下は大久保推しであることを俺達に言いたかったから、最初に内田にこの話を振ったのかもしれない。
「大久保も確かに捨てがたいよな」
「だろー。あんなかわいい子と付き合えたらいいよな」
そうだな。付き合えたらいいな。でも俺の友達だからな。類は友を呼ぶというし、40歳まで独身にならないように気をつけろよ。と言いたかったが耐えた。
「ところで向井は誰が好きなんだ?」
竹下が今度は俺に話を振ってきた。誤魔化しても良かったのだが、ここは素直に答えておくことにした。
「俺は川岡だな」
「えっ、お前あんなのが好きなのか?」
「川岡ってかわいいか?体もデカいし」
内田と竹下の川岡さんの扱いがひどいが、まぁ中学時代の自分のお気に入りじゃない女の子の扱いなんてこんなものなのだろう。たぶん女の子側でも同じような恋バナをしていて、俺達の扱いはかなりひどいことになっているだろうし。
「たしかに可愛いという感じではないけど、泳いでいるときの川岡はかっこいいんだよ」
「そういえば、おまえらは同じ部だったな」
「それにしてもなー」
その後はまた別の話題になり、この場での恋バナは終わった。竹下としても競合相手がいるのか確認したかっただけなのかもしれない。でも大丈夫、三人とも大久保さんには相手にされていないよ。
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