第14話:二年生一学期
俺が通っていた中学は一学年で9クラスもあり、学年が上がったときのクラス替えで再び一緒になるというの数名ぐらいだった。つまりクラスメイトはほとんど総入れ替えになってしまうわけで、そんな中クラスが同じになるというのは相当に運がないとなれないということだ。一年生のときによく話をするようになった近藤さんや坂上さんとも別のクラスになり、ほとんど話をすることもなくなってしまった。学生時代はせっかく仲良くなったとしても、1年ごとにクラス替えという強制的な別れがやってくるわけだから、なかなか厳しい世界だなと思ってしまう。
この二年生のときに川岡さんと一緒のクラスになったというのは、相当な偶然ということになる。ひょっとすると神の思し召しだったのかもしれない。そのチャンスをみすみす捨ててしまったのが俺なんだが。
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一学期が始まって一ヶ月ぐらいが経過した。せっかく川岡さんと同じクラスになったのに、いまだにほとんど話ができていなかった。なにしろ席が遠くて話をしようとすると、わざわざ遠くの席まで行かなければならない。そんなことをしたら、おそらくクラスメイトからまた変な噂をされてしまうだろう。二学期には隣の席になるはずなので、一学期は無理をしないことにしておいた。
「向井これから部活だろ。一緒に行こうぜ」
同じ部活なら、一緒に部活に行こうと誘うという手もあるはずなのだが、同じクラスになった同じ水泳部の千田という男から誘われてしまうため、こちらの手も使えずにいた。なかなかうまく行かない。
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ある日の昼休みに俺のクラスに近藤さんがやってきた。
「向井君、ちょっといいかな?」
「いいよ。何か授業でわからないこととかあった?」
「ここじゃ、話しにくいから別の場所でもいい?」
「大丈夫だよ。それじゃ行こうか」
近藤さんと校舎の裏の方まで歩いていく。
「向井君、一年生のときには高跳びや勉強とかいろいろと教えてくれて本当にありがとう。凄く感謝しているし、あんなに上手に教えることができるなんて裏では相当な努力をしているんだろうなと思って。それで気がついたら好きになっていました。別クラスになってなかなか会えなくなってしまって、でもまた一年生のときのように会って話がしたいです。付き合ってください」
前回ではほとんど話をしていなかった近藤さんが、まさか好意を持っていてくれるなんてとても想像もしていなかった。近藤さんも勉強会に入ったりしてクラス上位まで成績を上げたり、すごくがんばっていた。走り高跳びの練習している姿もとてもかっこいい。でも俺は二学期には川岡さんと仲良くなるはずで、それを願ってタイムリープしてきた。ここで付き合うという回答をすることはできなかった。
「告白してくれてありがとう。凄く努力してきた近藤さんを見てきたし、高跳びをしている近藤さんはとてもかっこよかったけど、他に好きな女の子がいるんだ。ごめんなさい」
「そうなんだ、向井君の恋がうまく行くといいね」
「どうなるかわからないけど、俺もがんばるよ」
近藤さんは手を振りながら帰っていった。
俺は好きな子がいると答えたが、川岡さんとは二学期から仲良くなるはずで、本来であればこの時点ではまだ知らないはずである。おそらく前回の俺が、今回のように振る舞って告白を受けていたら、将来のことなんてわからないんだからOKしていたのではないだろうか。タイムリープして余計な知識があるばかりに、近藤さんに悲しい思いをさせてしまったと思うと、申し訳ない気持ちで一杯になるのであった。
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