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藤原涼  作者: m@ho
12/13

ワクワクチンビル


 電話からメール着信音が聞こえた

タブレットを操作し、メール画面を開く

『お、夢稔だ』

「警備会社のデータから、カメラ映像はデータ差し替えはされていないことは分かった。」

「ありがとう。改竄されていなって事だね」

「いや、操作はされているようだ。一定時間静止画になっている。どう言う指示かは調べきれていないんだけど、カメラの状況モニターでは一部静止画しか映っていない事が分かっている」

「どこの部分のカメラ?」

「駐車場と階段の踊り場」

「時間は分かる?」

「画像解析しているので少し待って」

朝、涼の部屋にて。

夢稔から電話はかかってこなかった。

仕事と涼の依頼の両方で忙しくさせてしまっていると、少し申し訳なさで気になっていても涼から電話をする事が出来なかった。

電話が鳴って、喜んで電話の文字を見るが、表情は通常に戻った

「北沢警察の岡本です」「電話ありがとうございます」「アドレスの特定までは出来たんですが、人物の特定はこれからなので、一応ご報告します」 「話せる事まででいいのですが、教えていただけますか?」「羽田国際空港で置かれていたSimカードの利用までは分かりました。それ以上の捜査状況は話せないので申し訳ない

」「いえいえありがとうございます」

パソコンの検索サイトを開いた涼。「羽田空港 SIMカード」を入力した。

「何箇所もで販売してるな。」ふと岡本さんの言葉を思い出した。「置かれていた?自動販売機か。」携帯電話を取り出し、夢稔へメールする涼。〈ipアドレスからは、羽田国際空港の自動販売機で購入されたSIMのようだ〉

夢稔からの返信メールがすぐきた

〈了解〉短い返答。「夢稔、ごめん。忙しいんだろうに」思わず一人事を言った。

 涼は家を出て新橋駅に向かう。新橋からは京急浅草橋線で直通があり、結構便利なのである。

 赤い電車に乗ると京急蒲田を経由して直通で行ける。午前中の中途半端な時間なのか、人は少ない。30分ほどで第3ターミナルに到着した。

 改札を出ると到着フロアに出る。すぐのところに「SIM」の文字があった。スマホで写メを撮り、他を探す。3ヶ所の販売機の写メを撮って夢稔に送った。

 撮り終わって京急線の乗り場へ戻ろうとした時、急いでいる女性にぶつかった。

「あ、すみません。」「いえ、僕が悪いので、あっ。」

 ぶつかった女性は警官の岡本千尋であった。

「どうしたんですか?」

「聞いてから気になって、見にきちゃいました」少し恥ずかしそうな涼を見た岡本は「あ、なるほど。」と、納得したようだった。

「何かわかりましたか?」

「調査はこれからです」

「終わったら食事しませんか?」少しでも調査状況を聞けたらというつもりだったが、余計に警戒心を持たれたようだ。

怪訝な顔をする岡本に「あ、普通に親睦を深められればと思った思っただけで、深い意味はありませんよ」

 涼は気が焦って言い訳をするのであった。

 いいわけを聞いて余計に怪しむ岡本巡査部長

「わかっていますので大丈夫です。ここの確認結果を報告しに戻らないといけないので、残念です」残念そうに見えない岡本を見送った涼は浅草線へ戻るのであった。岡本巡査部長は振り返って苦笑して去っていった

羽田から品川経由で渋谷に向かう涼。通勤のピークが過ぎたからか、比較的空いている。

 渋谷から246を歩くが、さすがに渋谷は人が多い。携帯を見ながら歩く女性、よくぶつからないで歩けるもんだと思うが、小学校の校庭にあったとされる二の宮金次郎像の現代版とも言われる。昔は良しとされていたのに今では歩行の邪魔と言われている事を思うとスピードを求められる時代なのかと思う。

 ワクワクチンビルに入る。

「藤原涼と言いますが、社長に会いにきました」隣にいた若い営業マン風の男性驚いた感じであったが、歩きながら秘書室に電話したので、スムーズに案内された。

「おはようございます、夢稔社長。」おどけて言う涼に対し、「大株主殿どうしました?」切り返す夢稔。

笑いが社長室に響く「忙しい時に申し訳ないね夢稔」椅子にもたれかかる「このぐらいは大丈夫。新鮮で楽しいかな。」

「そう言ってもらうと少し気が楽になる」

「調べている途中なんだけど、防犯カメラの画像のカラクリが分かるかも」

「どう言う事?」

「ハッカーにはホワイトハッカーと言って、まあ、我々の事だけど、ハッキングを防ぐために脆弱性を確認するんだ。その為にハッカー攻撃のテストをするんだけど」

「ああ、ハッキングのテストね」

「ベネトレーションテストって言うんだけど、徳田さんの防犯カメラのメーカーがベネレーションテストを行ったという噂があるんだけど、メーカーに聞いてもやっていない事で、やってもいない事を説明出来ないと言われている。」

「やっていないって事?」

「いや、防犯上非公式だからやってても簡単には教えてくれない。ただ、仲間内では攻撃テストをした人がいるという噂がある」

「依頼メールが残っていればいいのにね」

「うん、依頼内容が個人情報の習得だから間違いないと思う。」

「依頼者がハッカーだとややこしいね」

「普通のホワイトハッカーなら依頼者も調べるから、開発側の発注と思う。内部犯行ってこともあり得るけどね」

「そのテストで個人情報を獲得したとして、防犯カメラの映像とはどう繋がる?」

「保安用のIdとパスワードが流出してたら、全てがコントロール出来るし、痕跡も消せる。」

「それは最悪だね」「これ以上は警察の領域かな」「警備会社のウイルス対策は別会社?」

「うちじゃないからライバルなのには違いない」

「岡本巡査に聞いて見るね。」「美人警官だね。楽しみだ。」

「連絡取れたらメールするね」「よろしく」

 社長室を出る涼。秘書の人も昼時だからか忙しそうだ。1階で携帯を返してもらい、タクシーアプリでタクシーを呼ぶ。さすがに昼時の渋谷だ。2分でタクシーが来る。

 「藤原です」「お待たせしました。北沢警察でよろしいでしょうか」

 「はい、お願いします」「246から梅ヶ丘通り経由で向かいます」「はい」

 覚悟をしていても昼過ぎの246は慢性な渋滞で時間がかかる。警察署に到着したが、警察も混雑している。

 前回訪問時に会った女性制服警官に声をかけた。「すみません、藤原と言いますが、岡本巡査をお願いします」「はい、少しお待ちください」

「お待たせしました。ああ、藤原さんですね。」

 岡本巡査の顔模様が移り変わったのを見た涼は笑い出した。

 「失礼ですね」少し怒り気味になる。

 「すみません。いやあ、警官と思えないほど顔に出ますね」手厳しい言葉に納得した顔に変わる。続ける涼「お忙しい中すみません。織田家の防犯システム会社がハッキングテストしてたみたいで、お調べ願えないかと。」

 「テストとどう言う関連が?」「テスト内容によっては今回の映像ループと関連するかと」「我々は映像に不審点はないと言う見解なのですが」「一部は映像がループされているようです」「専門家同士で話してもらった方が良いと思いますので、私までメールいただけますでしょうか。専門家に転送します。他になければ失礼します」メモにメールアドレスを記載された巡査は一礼して去っていった。

 「嫌われたかな」

 帰りのタクシーの中で夢稔にメールする涼だが、夢稔からは、「駆け引き上手になったな涼」とメールが入る「駆け引きとは?」悩む顔の涼。

「自然におかっちのメールアドレス聞いたんでしょう?」

「会社のアドレスだし、おかっちは夢稔の方が良いみたいですよ?」

「おお、マジか」夢稔が楽しそうなのが少し嬉しかった。

「モテるだろうに彼女は作らないのか?」疑問をぶつけてみた。

「仕事が忙しすぎたからねえ。上場でひと段落かな。会社らしくできたし。今となると社長という事を知って会う人しかいないし。皆んなお金目当てな感じがして警戒感マックスなんだよね。」

「確かに難しいな。おかっちに女性の友達を呼んでもらって4人で食事でもどうだ?」「いいけどね。通常は自分より綺麗な人は連れてこないから。」

「彼女にそんな偏見はないと思うが」

「確かに。じゃあ、僕から動画のコメントと一緒に誘っとくね。」

「任せた。僕から送ると下心見え見えと言われそうだし。」「それは誰が送っても同じでしょう」表参道で降りて電車に乗り換えた。

日本橋の自宅に戻った時に夢稔からのメールが入ってきた。

「急だが、明日になった。」「おいおい、俺の予定を聞かないで。」「いや、予定ないだろう?」「確かに。ないが。。」

なんか悔しく思う涼であった。


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