第6話 王都の平和と学園の影
冒険者カードを手にしたルーファス・グレイ。通称ルーは、王都周辺で次々と魔物を狩っていた。
スライム、ゴブリン、さらにはオーク。どの魔物も幼い神童の前では敵ではない。
「ふふふ、これでまた一つ平和になったな!」
ルーは楽しそうに魔法を操り、町へ戻っては薬草や魔物素材をギルドに納品した。
やがて人々は口々にこう噂するようになった。
「最近、王都の周りがすごく安全になったらしいぞ」
「どうやら、男爵家の坊っちゃんが魔物を退治してるとか……」
その噂はついに王宮に届き、ルーは玉座の前に立つことになった。
荘厳な王の間で、オルデン王国国王・レオポルト三世が玉座に座し、ルーを見下ろす。
「ルーファス・グレイ、わずか十歳にしてこれほどの功績……見事である」
レオポルト三世は満足そうに笑い、勲章のようなものまで授けようとした。
だが、その言葉の最後に恐怖が潜んでいた。
「これほどの才を持つならば十二歳から学園に入学するのは楽しみであろう」
その瞬間、ルーは玉座の前に突っ伏した。
「やめてください陛下ぁぁぁ!! 学園だけは、学園だけはご勘弁をぉぉ!!!」
必死に土下座する十歳の少年。
レオポルト三世は唖然とし、廷臣たちはざわめき、父セドリックと母エリザは頭を抱えた。
「……どうしてうちの子は、こうなのかしら」
「いや、天才であることは間違いないんだが……」
こうして、王に褒められた神童ルーは、またしても「学園だけはイヤだ」と全力で抵抗するのであった。




