第2話 幼少期編
俺の名前はルーファス・グレイ、家族や使用人からはもちろんルーと呼ばれている。
俺はオルデン王国の男爵家。グレイ家の長男として生まれた。父は堅実な外交官、セドリック・グレイ。母は優雅で聡明なエリザ・グレイ。二人とも俺の自由奔放さに少し困惑気味だ。
幼いころから魔法の才能がずば抜けていたため、周囲からは「神童」と呼ばれる。
しかし、ルー本人としては「いや、ただ遊んでるだけなんだけど……」という心境である。
ある日、屋敷の庭で水魔法の練習をしていた。
手のひらから小さな水の球を作り、草花の上でくるくると回す。
初めて成功した瞬間、胸の奥が熱くなり、思わず声を上げて笑った。
「やった! できた!! 俺、天才かも!!」
庭師や侍女たちは、ルーの魔法を見て口々に「やはり神童……」と称賛する。
しかし、本人は魔法が面白すぎて大はしゃぎするだけ。
学園? 何それ? 俺の頭にはない。
屋敷の中でも、ルーは魔法で小さなイタズラを繰り返していた。
風を起こして巻き髪をふわっとさせたり、水の小球でお菓子を転がしたり。
周囲は驚きつつも「まあ、神童だから……」と諦めていた。
これが、ルーの幼少期。
才能だけが際立つ神童だが、本人はいたって自由気まま。
この頃から、周囲の期待に応えず、自分の好きなことだけを追求する「異世界引きこもり素質」が芽生え始めていたのだった。




