第16話 王宮での事情聴取
数日後。
ルーは王城に呼び出された。謁見の間には国王レオポルト三世、宰相バルトロメウス、そして父セドリックと母エリザまで揃っていた。
「ルーファス、よく来てくれたな」
レオポルト三世の声は柔らかいが、空気は重い。
「……あの件、ですか」
「うむ。街の外で暗殺者に襲われたと報告を受けている。その少女はどこだ?」
背後の扉が開き、護衛騎士に付き添われて入ってきたのは、あの暗殺少女だった。
彼女は深く俯き、震える声で口を開いた。
「わ、私は……『ミラ』と申します……。組織に育てられ、貴族の依頼で先生を……殺すように命じられました」
王も宰相も険しい表情を浮かべる。
だが、ルーは一歩前に出て、必死に訴えた。
「ミラは利用されただけです! もう刃を握る理由なんてありません。……俺が責任を持ちます」
「責任……とは?」
宰相バルトロメウスが眉をひそめる。
ルーは深呼吸し、頭を下げた。
「俺の家で預かります。……家族として守ります」
場が静まり返った。
やがて、レオポルト三世が大きく息を吐き、口元に笑みを浮かべた。
「なるほど……お前らしいな、ルーファス。よかろう。王としては彼女を処刑すべきところだが……お前が預かるというなら、ひとまず信じよう」
「おお……!」
母エリザが胸を撫で下ろし、父セドリックも小さく頷いた。
ミラは涙を浮かべ、声を震わせながらルーに向き直る。
「……本当に、いいのですか? 私なんかを……」
「もう『なんか』じゃない。今日からお前は、俺の家族だ」
ここは学園ではない。
テンプレイベントでもない。
だからルーの体は反応しなかった。
吐血ゼロ。
(ふぅ……助かった……)
ルーは心の中で胸を撫で下ろした。
こうして暗殺少女ミラは、ルーの家で新たな人生を歩むことになったのだった。




