第14話 神童先生、暗殺テンプレの罠
王様から「生徒ボコり禁止令」を受けて数週間。
ルーはなるべく静かに教師生活を続けていた。
だがある日。
「先生、少しお話があります」
声をかけてきたのは、見知らぬ転入生の少女だった。
長い黒髪に大きな瞳、儚げな雰囲気。いかにもヒロイン顔。
ルーの背筋が凍る。
やばい、テンプレ臭しかしない。
「こ、これはもしや……」
女子生徒と二人きりで呼び出されるイベント。
その瞬間、「ごふぁっ!!」
吐血。
「先生!? 大丈夫ですか?」
少女が心配そうに駆け寄る。
「くっ……! さらに追い討ちか!」
ルーは咄嗟に距離を取った。
次の瞬間、少女の袖から小さな刃が閃く。
「ごめんなさい、先生。恨まれてるんです……あなたはここで死んでください」
暗殺者だった。
さらに襲いかかる少女。
だが、戦場は学園内。
次々とテンプレ展開が炸裂する。
「先生、私……本当はあなたに……」
「ぶはぁぁぁぁっ!!」
「この決闘で、勝った方が相手の願いを叶えるんです!」
「ごふぉぉぉぉっ!!」
吐血の連続ダメージでHPはすでに真っ赤。
ルーは膝をつき、もはや立っているのもやっとだった。
「ここまで……か……」
だが視界の端に映るのは、校舎の外。
「……そうだ。外に出れば、俺は最強だ」
ルーは全身の力を振り絞り、窓を突き破って校庭へ飛び出した。
そして、そのまま学園の敷地を抜け街の外へ。
デバフが消え、体に魔力が満ちる。
「ふぅぅぅ……助かった……!」
目を見開く暗殺少女に、ルーは冷笑を浮かべる。
「さて……さっきまでの借り、返させてもらうぜ?」
次の瞬間。
火炎、雷撃、氷槍の三重奏が暗殺少女を襲う。
地面がえぐれ、爆風で少女は吹き飛んだ。
沈黙。
土煙の中で、少女は震える声を漏らす。
「な、なんて……強さ……」
ルーは口元を拭い、吐き捨てた。
「学園の中じゃ最弱。外じゃ最強。それが俺だ」




