第10話 神童先生、保健室送り
教師生活にも少しずつ慣れ始めたルーファス・グレイ。十二歳の神童先生。
授業は順調、生徒たちの評判も上々。
だが、学園に潜む“テンプレイベント”の罠は、着々と彼を追い詰めていた。
その日、昼休み。
「せ、先生! これ……よかったら!」
元気な女子生徒が、布で包まれた弁当を差し出してきた。
中にはハート型の卵焼き、ウィンナー、彩り豊かな野菜。見るからに「お弁当イベント」。
ルーの顔色が一気に変わる。
「ぐぶっ……! げほっ、げほっ……!」
机に手をつき、喉の奥から真っ赤な液体が噴き出した。
「せ、先生ぇぇ!?」「血ぃ!?」「誰か呼んでこい!」
生徒たちが大騒ぎする中、ルーはフラフラと立ち上がる。
「ち、違う……これは……テンプレ……の……代償……」
そのまま力尽き、床に倒れ込んだ。
そして数分後。
「落ち着いてください、もう大丈夫です」
ルーは保健室のベッドで目を覚ました。
隣では白衣姿の保健教師が心配そうに覗き込んでいる。
「先生……急に血を吐いて……持病でも?」
「……あ、あぁ……ちょっと、学園アレルギーが……」言えるわけがない。
「学園ものテンプレで吐血する体質」など、誰が信じるだろうか。
ルーはため息をつき、天井を睨んだ。
このままじゃ、命がいくつあっても足りない。




