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第54話【お前を潰せば俺が一番】

 今ここで決まる、今年の高校剣道日本一。決勝戦。両者さらさらと開始線まで歩み寄って蹲踞。審判の始めの声とともに立ち上がって、最後の試合が始まった。


「ホアァアアー!」

「いやっさあああ!」

 両者立ち上がりは手元を上げて間合いを詰める。そして鍔迫り合いに。


 内海はもともとデカかったが、いま目の前にいるコイツは体の厚みの質が段違いだ。その肉体はハリボテではないようで、打突にも確かな力強さがある。軽くなりがちなコテメンのコテも必殺級の威力。しかも、こちらに技を捌かれていても上半身が泳がない。いやいや、これは相当地道に稽古を積んで、鍛え上げてきたんだな。構えも重厚だし、菱田みたいな変剣や一場のような技巧派も面白いが、この自力でひねり潰す王道、俺が一番好きなタイプだ。


 パワーは向こうが上。バネは勝てても、届く範囲は腕の長さで負ける。速さは若干こちらに分があるか。勝機はどこにあるのか。今回はまずそこからだ。事前に決めていたことは、とにかく内海の間合いに入ってひたすら耐えて勝機を見出すこと。しかし、いたずらに時間の経過を待って、祈るように勝ちを拾いに行くわけではない。向こうのリーチにビビッて、様子をうかがっても何にもなるまい。楽な方に逃げるのではなく、互いに厳しい状況を作り出す。これを徹底するのだ。


 そうは言ったものの、やはり辛い。そもそも間合いに入るのが難しい。強引に深く入ろうにも、一場にやられたように入り際でメンを打ってこられたら、ひとたまりもないだろう。そうなると、内海に攻められても中心を譲らずに下がらないで耐える。これでしか詰まった間合いを作る方法がない。ひたすら手元が浮きそうになるのを我慢して、こっちはいつでも返し技を出せるという雰囲気を出すだけだ。


「テェ!コテッ、メンコテァ!」

 内海は図体の割に手先が柔らかく、流れるような連打を繰り出してくる。ああクソッ。下がらない、なるべく体の前で技を捌く。

 苦しい展開が続いたが、こちらの構えが効いてきたようだ。徐々に向こうからの手数も減っている。


「時間です!」

「止め!」

 何とか制限時間内に簡単には打って出れないようにはできたぞ。

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