第5話【感動の初関東】
関東大会1日目、個人戦は準々決勝戦までが消化される。
3年生の金本は1回戦で長い延長の末、習志野商業の児玉に敗れる。
対して渡会は2回戦こそ延長にもつれはしたものの、確実に勝利するため慎重に試合を運んだ結果の長丁場であり、そこからは危なげなく準決勝まで駒を進める。
一方で団体戦は3校総当たりのリーグ戦で1位になった16チームが翌日の決勝トーナメントに進出する。
光誠学園は東京の南和大羽村高校と山梨の巨摩商工高校のリーグに組み込まれた。
南和大羽村に対しては4-0、巨摩商工には4-1で勝ち、リーグ戦進出を決める。
関東直前の対外試合でも先輩たちはほぼ負けなし。1年生は「関東大会くらいなら」と気が緩んでいる。とくに調子こんだ尾道は
「飯野先輩やっちゃったな。明日は代えられるんだろうな」
と、暢気にスマホをいじりながら他人事のように言う。
飯野は普通に考えれば補欠にすら入れる実力はないが、今回はスタメンに入れられている。
実力で言えば6,7番手の選手を先鋒や次鋒で起用し、控えに本来の選手を置いて温存させることは強豪校ではよくある。
とりわけ勝っても次に繋がらない関東大会では3年生でぎりぎり試合に出られないものがこの役目を仰せつかるのだ。
飯野は2試合目の巨摩商工戦で負けてしまったため、明日はお役御免となるだろう。
そんなことより、と言っては飯野には失礼なんだろうが味方のボロ勝ちは置いておいて、他校の様子が気になる。
光誠の試合と被って見れなかった試合のうち、気になっているのがいくつかある。
そのうちの1つ、山内章領は群馬の吾妻北に敗れて予選リーグ突破ならず。
大した事ねえじゃんか。関東予選からの章領に抱いていたモヤモヤが晴れていった。
そんな1年の空気を試合場から察していたのだろうか。
「1年が一番緩んでてどうするんだ!」
試合場から引き揚げてきた矢野に一喝された。




