第47話【再戦を望む】
「はい、こっちに目線くださーい!」
見事、選抜予選で優勝した光誠学園高校は春の全国大会の出場を決めた。
が、しかし…
「えーっと、外田選手?表情が硬いよ」
優勝校の記念撮影中も、俺は全く違うことを考えていた。
俺が倒したいと思い続ける一場が、俺の目の前で倒れたのだ。
試合の中盤、こっちからラッシュを仕掛けても、やつはお得意ののらりくらりの躱し術でスルスルとかわされる。ただ、確実に体勢を苦しくさせていると思った矢先に、ふざけた体勢でふざけた角度からふざけたメンを一場は放ってきた。否、放とうとした。
こちらとしては攻勢一方で展開していこうと考えていた場面での急展開に、まったく反応できず防御の姿勢が間に合いそうもなかった。
ところが、だ。
そのまま跳べば届くはずの一場の竹刀は、身体は、前ではなく下に向かって動いて…。
あっけなく地に沈んだ。
訳が分からないまま、やつが担架に運ばれていくのを見届ける。決勝を前に集中にかける俺に対して徳川はどう言葉をかけたのか、柴田は。
何も覚えていないが、まったく俺があてにならんと思ってか、先鋒から仕掛けにいった結果、決勝は4-1で勝利したようだ。
「ようだ」というのは気付いたら閉会式になっていたからで、雑誌の記者も多くが柴田に話を聞きに行っている。ボケっとしてる俺じゃ話にならんとふんだのだろう。他人事で優勝できるんだから、仲間のみんなには感謝しかない。
それにしても、気がかりなのは一場だ。どうやらアキレス腱が切れたらしい。そしたら次の関東予選に間に合うのだろうか。もしかして章領は選抜予選で引退なのか?部活動より学業優先の学校では、代替わりのタイミングが早いと聞いたことがあるのだが。いや、この前のインハイ予選では3年生が出ていたから、そんなことはないはず。
勝ち逃げは許すまい。いや、この際、負けてもいい。俺の高校剣道の成長過程を、集大成を一番に叩きつけるべき、受け止めさせるべき相手は一場なんだ。




