第39話【勝ちに来ました】
石川県の金沢市総合体育館。今年の高校剣道日本一を決める、インターハイの会場だ。
「ここがインハイの会場か…」
「別に小田原アリーナだって、順番が巡ってきさえしたらインハイの会場になるぞ。ようは順番の問題」
地に足のついてないことをフワフワした顔で柴田が言っているので、思わず釘を、というか茶々を入れた。しかし今更なんだ。なんならお前は選抜だって出てたろ。
「去年、団体で行けなかったから感動するだろ」
「へーへー、そりゃすんませんでした。昨年は不甲斐なくって」
「そういうことを言いたいんじゃなくってさ」
このつまらないじゃれ合い、しかし予選で負けていたら、これが出来なかったと思うとなんだかな。
さて、今日の日程は午前中に関取やら検量、そしてアップが主だ。午後は開会式だけやって宿舎に引き上げ、夜にミーティングを行う。
相変わらず島原海南の軍隊式行進は引き締まるものがある。あそこは女子も背中が分厚くて、相当食事も稽古も量を積ませているのがうかがえる。うちはというと、誰が言い出したわけでもないが、それなりに歩調を合わせていて、少しはピシッと見えているだろう。
でっけえな。全チームがずらっと整列する中で頭が一つ飛び出ている。北海道代表の南和大札幌の2年生、内海耕だ。
「またデカくなってないか?」
柴田が狼狽える。確かに全中の準決勝でやったときより、確実に縦にも横にもサイズアップしている。この雨後の筍野郎。男子三日会わざれば増えるワカメかよ。
団体戦でうちが札幌と当たるとしたら準決勝か。




