第22話【夏の風物詩、玉竜旗】
迎えた玉竜旗本番。関東大会優勝でシードに組み込まれた光誠学園は二日目、2回戦からの登場になった。そして先鋒の俺は二日目の2回戦を5人抜いた。
ただこの5勝はすべて1本勝ち。立切稽古で学んだことは、連戦は疲れるということ。いや、小学生みたいな感想だとは言われたくない。実際、今日相手だった学校はそこまで強くない学校だったが、5人を相手にするとそこそこ消耗した。
稽古で何となく抜き勝負の消耗について検討がついてきたので、少し剣道を変えた。今まではとにかく手を出して詰めていって、相手が苦しくなったところを叩き潰すことを理想に掲げていた。それに対して今心掛けているのは相手に打ちを出させることだ。打たせて打たせて手が尽きたところを仕留める。それで消耗を極力なくそうと考えている。
この発想は一場との対戦で考え付いたものだ。あの試合、俺は一場の実力を見誤って積極的、いや考えが足りないまま技を繰り出し、それが決まらなくて焦って雑になったところを打ち砕かれた。まあやつは俺を引き出していたとは思わないが、とりあえずすっ飛んで行って当たらないのが続く苦しみは味わわせてくれた。
この戦法が上手くいき3,4回戦も一人で片付けて15人抜き。最終日にもこの勢いで20人抜きをしてやろうと思ったら、最初の5回戦で九州大会3位の伊万里学園の先鋒にあっけなく引き分けた。チームは勝ったがここで俺はお役御免。
結局光誠学園は準決勝まで進んで、最後は島原海南に敗れた。
試合が終わってから聞いたが槙野はインハイ予選のときの左脚の故障が完治していなかったらしい。それを微塵も感じさせない試合運び、さすがの根性だ。故障でケガする輩を見ていると、スポーツ推薦がごちゃごちゃケガで動けないとか言っとる場合かとは常々思う。 その点で槙野は気持ちのいい男だ。




