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第20話【お前は一体】

 さて、徳田による動物どもの折檻が済んだ頃、玉竜旗まで残りわずかとなった今、俺たちが何をしているのかというとストーブを焚いていた。


「なんでこの部は扇風機がないのに夏にストーブを出してるんだ…」


 稽古が始まる前から、二重に着込んだ胴着に汗をにじませつつ、思っていたことをつい口にしてしまった。


「これ追い込みのとき倒れたふりしてぶっ壊さない?」


 甘ったれの新浦が妙案を出してきた。マジでこんな暑さ対策を今時やってる学校はうちくらいなんじゃないだろうか。夏の試合会場は暑いから、もっと熱い中で稽古したらいいじゃんって。章領の細い連中がやったら死ぬんじゃねえか?


「メンッ、メンッ」


 ええい、クソ、なにが章領だ。変なことを考えちまった。素振りの最中に雑念は余計だ。


「外田、1本ずつ丁寧にやれよ。振りが流れてるよ。惰性でやるな!」


「はい!」


 ほら。早速、矢野に怒られちまった。


 だが、あの悪夢のインハイ予選準決勝。ビデオで見たが俺は一場には見事に打たれた。もう一度やって負けるイメージはわかないが、あの試合、あの日に限っては負けていた。


 確かにパッと見たとこだと、メンをとられるまで俺が一方的に打ち込んでいるように見える。しかしあれで一場は極力足を使って捌こうという意識がみられるし、完全に中心をとられることだけはなかった。それで焦って引き出されたという見方ができる。完全に俺の方が地力は上だが、なるほど、あんなやつもいるんだなと負け方を覚える気にはなるくらいの試合内容だった。


 二度とやりたくないと思っていたが、今では何かの機会があれば手合わせをお願いしたいと思う。まあ実際会ったらキレるかもしれんが。なんてったって、あいつのやる気のない声と面構え。俺をおちょっくってるようにしか思えなかったぞ。考えれば考えるほど不思議なやつだ。

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