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第19話【試験官ベイビー】

 徳田に喝を入れられて気合十分で稽古に打ち込もうとしたが、その前に大きな関門が立ちふさがっている。期末試験だ。7月1日から始まって9日まで続く試験で赤点をとると夏休みに補習に出席しなければならない。


 補習の期間は幸い大会には被っていないのだが、大会前の大事な期間に稽古には遅刻することになる。そうなると徳田は不届き者に対して、思う存分に教鞭ならぬ竹刀を振るって指導を施すであろうことは想像に難くない。


 そして今、試験前最後の英語の授業中せっせと机に向かって何をしているか。担当教師の毛利が配った試験の問題の答えを必死に暗記している。


「お前たちに本当に試験をしたら補習期間に校舎がごったがえるから」


 そういって問題用紙を配ると毛利は自分の役目は終わったとばかりに教卓でスポーツ新聞を広げる。 まだ手を付けていない週刊誌の方は、表紙に「編集部が徹底調査!47都道府県別よがり声」という1流報道雑誌らしい非常に社会の真理に深く切り込んだ特集に関する文字が躍っている。


「おい、前半の答え探すから外田は残りやってくれよ」


 という具合で吉田と協力して試験対策を終えた。これは他のすべての教科でも行った。



 そして試験明け。さすがに答案用紙1枚分の答えを丸暗記して、それを4割書ければ赤点が回避できるのだ。これをパスできないのは猿と尾道と夛田くらいなもんだ。


 こういうバカを相手にするとき、剣道は便利だ。教師が相手がいくらバカでも殴ると問題になるが、掛かり稽古なら何をやっても問題にはならない。


 しかしケガを防ぐために防具があるのに、そこをかいくぐってのスコップ突きをする。なんか法の抜け穴をかいくぐるというか、なんかもう、いろいろ剣道というもののアレさが一番詰まってる気がする。


 まあ、地中に埋まったハードルを掘り起こしてくぐったバカ2人には足りないぐらいの処置かもしれないが。


 ついでに内部進学の片倉は全教科アンチョコなしでほぼ満点。しかも上のクラスだから我らがR組とは問題のレベルが違う。スゲーな、俺らと同じキツイ稽古してんのに勉強してて。がんばれ国公立大学医学部志望。俺はもちろん私大の剣道部志望であるのであるのだ。

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