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第二話 コウジの《貧困撲滅プラン》

「今のこの国は、貴族が治め、大半のことが、その裁量に任せられております。

 例えば、ある貴族領で、パンを盗みを働いた者は、鞭打ちの刑であり、またある貴族領では、奴隷に落としております。同じ国の中でありながら、貴族の裁量で異なる仕置きとされているのです。

 このようなことを無くすには、罪を裁くことを法律で定め、法律によって裁かなければなりません。


 ですが、そもそも、問題はそこではありません。

 貧しさから、生きるために、盗みを働かなければならないほど、追い詰められている人達がいる。

 この現実を、為政者は見つめ直さなければ、豊かな国など、遠い夢の物語というほかありません。

 

 皆さんに思ってほしいことは、一つだけです。

 この国の一番貧しい暮らしを、あなた方がしているとして、その解決を願うこと。

 そのことを、一つだけ思ってください。」



「コウジ宰相、お聞きしてもよろしいでしょうか?」 

 そう発言したのは、王国西部のラスカル伯爵だ。農業学校に来ていたティアラの父親だ。 

「構わないですよ。なんでも聞いてください。」

「コウジ宰相のお言葉、誠に感銘致しました。

 ですが、貧困の者達に対し、我々は、いったい何から始めればよろしいのでしょうか?」

「ラスカル伯爵、貴方の領地に、貧しい暮らしをしている者が、何人いるかご存知ですか。 

 いえ、商売をしている者が、農業、職人、そのほか、あらゆる仕事をしている者が何人いるかご存知ですか。

 貧しい者と一口に言っても、その理由は多種多様でしょう。

 まず、税を徴収するために必要なことだけ、把握している現状を改め、領民の実情を調べ直すことから始める必要があります。」


「コウジ宰相、私もよろしいですか?」

「どうぞ、りりエール子爵。」

「領民の実情を把握するとしたら、膨大な時間と人手が必要とされるのではないかと危惧するのですが。」

「やり方次第ですよ、子爵。誰が聞き取りをしても把握できるように、聞き出す項目を定めたアンケートをあらかじめ用意すれば、文官でなくともできることです。

 できるだけ、早く把握することこそ、貴方方の使命ではないですか。」


「コウジ宰相、儂にも発言をさせていただきたい。」

「どうぞ、ホーレーン侯爵〔旧辺境伯〕。」

「貧しい者達を把握したとして、いかような手段で、その者達を救おうとお考えか?」

「貧しい理由には、その人々に仕事がないか、仕事ができないか、或は、仕事があっても十分な収入がないかのいずれかと思います。

 まず、その人々の仕事を創ることから、始めなければなりません。

 例えば、誰も雇ってくれない境遇にあれば、食堂などの商売を勧め、資金を無償で貸付けてあげることが必要でしょう。

 病気などで、働くことができない境遇であれば、病気の治療と生活の世話を無償でする施設を作ることが必要です。

 また、その人達を頼りとする、子供や老人がいれば、孤児院や老人を保護する施設も必要です。

 極端に、収入が少なくて、貧しい人々には、転職や商売を勧めるようなことが必要になると思います。」


「そのための資金は、どうなされるので?」

「もちろん、国が出します。アレク国王陛下には、貧困が無くなるまで、貧しい暮らしをしていただく。

 国王陛下の暮らしを良くしたいなら、皆さんが、全力でがんばってください。」

 


「最後に一つ。北部のスカンジナ三領でのことは、噂で聞いているかと思います。

 どこまで、できるかわかりませんが、各領地の特性を見つける支援を、全力で、させていただきたいと考えております。」

  『『『『『おおっ。』』』』』


「皆の者。新しい宰相ともに、この国を豊かにすること。そのためには、儂もなんでもやるぞ。

 皆でちからを合わせて、やって行こうではないか。」

   『『『『『ははぁっ。』』』』』


 こうして、俺の《貧困撲滅プラン》がスタートした。

 リミとサナの母親のような人を、二度と生まないために。

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