第七話 アレク国王の悩み
いつもより、長いです。ちょっと事件のことを書き込んだら、長くなりました。
読まれる際は、姿勢にご注意ください。読むあいだ、変な姿勢だと筋肉痛を起こします。
ちなみに、僕がなりました。(笑)
その年の秋、アレク国王に耳には、スカンジナ三領のめざましい開発の様子が、聞こえて来た。
ランドル宰相から、報告を聞いたアレク国王は、驚きの声を上げていた。
「なんと、コウジ卿が乗込んで行ったと申すか。」
「はい、左様にございます。コウジ卿は奥方様と二人の伴を連れ、スカンジナ三領に行き、今回の開発を指導したようにございます。」
「初めてだのう、コウジ卿がハーベスト領以外の地のために、尽力したのは。」
「農業学校の生徒との繋がりから、手を貸したようにございます。」
「儂も、旧帝国領に行かせた貴族達のことは、気になっておった。
元々食糧難の地、開発もままならぬと思うてな。」
「陛下、この度のことは、陛下のご命令ではございませんが、我が王国のために貢献したことは、確かでございます。
王家として、褒賞を与えるべきかと存じます。」
「爵位か、護国卿以上のものはないぞ。ましてや金品など、受け取らん。十分に持っておるでな。」
宰相と二人して、深いため息しか出ないアレク国王であった。
一方その頃、俺達は王都にいた。レイネと、スカンジナ地方への帰りには、王都で買い物をすると、約束をしていたからだ。
女性の買い物は、時間がかかる。あれこれ迷うのだ。しかし、その迷う時間を楽しんでいるらしい。
加えて今回は、王都が初めてのアイリスがいる。何かを見つけては、驚くリアクションが半端ではない。それがレイネを喜ばせる。悪循環である。
俺とロッドは、ため息をつきながら、二人の荷物持ちと化している。
「まあっ、このドレス、気品があって可愛らしくて、若奥様にぴったりじゃないですか。」
「アイリス、これはちょっと、可愛らし過ぎます。私はもう既婚者なのですから、もっと落ち着いたドレスでなくては。」
「では、私に買いましょう。」
「アイリスに着る機会なんてあるかしら?」
「あら若奥様、若奥様のお供をして、夜会や貴族のお茶会に出ることも、これからはありますわ。そんな時、侍女も田舎地味たドレスでは、若奥様が恥をかきます。」
「分かったわ。アイリスには、このドレスを。フィンレー男爵領で、がんばってくれたご褒美よ。」
「やったぁ、若奥様大好きっ。」
街の通りを歩いている時だった。
「ここは、お前らなんかが来るところじゃねえよ。とっとと失せろっ。」
そんな声に驚いて、声のした方を振り返ると、パン屋の店先に、幼い子の手を引いた少女がたたずんでいた。
「お願いします、パンを売ってください。この子がお腹を空かせているんです。」
「だめだと言ってるだろう。奴隷の子に売るパンはねぇ。」
俺は、近寄って声をかける、
「親父さん、じゃあ、俺に売ってくれよ。」
「売らないとは、言いませんがね。この小娘達にやるなら、止めといた方がいいですよ。
穢れに施しなんか、必要ねぇですから。」
「穢れとは、なんです?」
「知らねぇですか。犯罪奴隷の子供でさぁ。こいつらは、親の罪をつぐなう運命でさぁ。」
「親父さん、あんたが罪を犯したら、あんたの子供に責任があるのかい?」
「仕方ねぇんですよ。そうゆう国の決まりですから。」
「とにかく、俺にパンを売ってもらおうか。」
店先でいくつかのパンを買い、少女に渡す。
「これを食べさせてあげな。きみも食べるといい。」
「ありがとうございます。もう3日も何も食べてなくて。母の形見を売って、やっとお金を手に入れて。」
そこまで話して、少女の目からは涙がポロポロとこぼれた。
たまらず、レイネが聞く。
「親御さんは、どうしたの?」
「母は、一週間前に亡くなりました。父はいません。」
俺達は、宿へ二人を連れ帰り、事情を聞き出した。それによると、少女の名前はサナ、妹の名前はリミ。母親が仕事がなく、盗みを働いて、犯罪奴隷にされたとのこと。
その母親は、主人である商人から子供を庇って大怪我を負い、それが元で一週間前に亡くなったとのことだ。
宿の主人に聞いたところでは、犯罪奴隷の子供は、額に入れ墨を入れられ、穢れと呼ばれ、忌み嫌われるのだそうだ。
話しの途中から、涙を流していたロッドに、
俺は、その主人である商人を調べるよう、指示した。
レイネとアイリスには、二人の世話を任せ、俺は、王城へ向かった。
アレク国王に謁見を求めると、すぐさま許されて、謁見の間に通された。そこには、アレク国王とランドル宰相が待っていた。
「陛下、突然の訪問をお許しください。スカンジナ地方に行きました帰りで、王都で買い物をしておりました。」
「おお、スカンジナ三領での行いは、聞いておるぞ。何か褒賞を与えねばと宰相と話しておったところだ。
ところで、そちから会いに来るとは、何かあったか。」
「お尋ねしたいことがありまして、伺いました。」
「なんじゃ、申してみよ。」
「この国に、穢れと呼ばれる者達がいるのをご存知ですか?」
「うむ、確か犯罪奴隷の子供であるな。」
「なぜ、罪もない子供達を穢れとしているのですか?」
「コウジ卿、私から説明致します。犯罪奴隷の子供には、親の犯した罪を生涯償わせるのです。そのために、入れ墨を施し一目で分かるようにしております。」
「その罪とは、如何なる罪でしょうか?」
「罪は罪、区別はしておりません。」
「もし、宰相閣下がパンを盗んだとしたら、どうでしょうか?」
「儂は、パンなど盗むはずがないわい。」
「貧しい者達の中には、働きを失くし、食べる物に困り、パンを盗み捕まる者達もおります。その子らも穢れとされておりますが、如何なる罪でしょうか?」
「それは、やりすぎじゃのう。ランドル。」
「では、ランドル宰相閣下の子供達も穢れとなりますね。閣下は、やりすぎを容認し、何もしていない子供に、罪を着せた犯罪の首謀者ですよね。」
「犯罪奴隷の子供達を穢れとして、罪を着せることを直ちにやめよ。ランドル。
でなくば、コウジ卿の言うとおり、そちを罪も無き子らを罪人とした罪で、犯罪奴隷とする。もちろん、そちの子らは、穢れじゃ。」
「は、はいっ。直ちにに穢れを廃止します。」
さて次だ。宿に戻った俺は、ロッドから報告を聞く。商人名は、ドケチバルと言って、ケチで汚い商人で有名だそうだ。事の発端は、幼いリミが誤って、商品の皿を割ってしまったことだ。それに激怒したドケチバルがリミを剣で叩き、それを庇ってリミに覆い被さった母親が大怪我を負ったとのことだ。
俺は、ロッドと二人、ドケチバルの店にやって来た。
店の者にドケチバルを、呼ぶように言い、ドケチバルが現れると、ロッドに、店に並んでる商品をぶち壊すように命じた。
激昂したドケチバルに、リミの母親の命の値段に釣り合うまで、商品をぶち壊すと告げた。
掴み掛かって来るドケチバルの右腕を、刀て切り落とすと、顔面蒼白になった従業員達が警備隊を呼べとわめきたてる。
「俺の名は、コウジ·ハーベスト。手向かいする者は、ドケチバルに加担した者として、命はないぞ。」
そう告げると、誰も動かなくなった。そのあと、警備隊が来たが、ドケチバルの傷の手当てを厳禁し、牢にふち込むように命じた。
従業員達には、リミの母親を誰も助けなかった罪で、全員を犯罪奴隷とすることを告げた。
ドケチバルは、牢の中で出血多量で死んだ。
この事件は、あっと言う間に王都中に広まり、穢れを廃止した通知とともに、人々に周知されることとなった。
俺の評判は、弱い者を護ること神のごとく、悪行を許さなきこと悪魔のごとし。
そんな風評が広まったため、王都の一部の者達が震え上がったようである。
いつも読んでくださり、ありがとうございます。
今日から、更新時刻を早めました。午前11時です。よろしくお願いします。




