第八話 コウジの残した宿題
コウジ達が去った数ヵ月後、ヒーロー男爵領にウルト、ボルグ、ルイーズが集まり、コウジが三人に残した宿題について、話し合った。
「まず会場となる場所よね。杜のくまさん鉄道で、遠方からもお客様を集めるとしたら、駅の近くは外せないわ。」
「ボルグのとこは、広い会場は無理だな。そうなると、ルイーズのところかうちだが。」
「ウルトのところの方がいいわ。だって雪が多いんですもの。雪が少ないと始まらないわ。」
「そうだね、僕もウルトのヒーロー男爵領でやるのが適していると思う。」
「よし、会場は決まりと。次に、作る人を集めるのは、どうするんだ?」
「うん、ギルドや村落単位で参加を依頼しようと思うがどうだ?」
「そうすると、三領合わせれば、20以上にはなるわね。」
「すくなくね。倍の数はほしいよ。」
「1団体で、二基造ってもらえばなんとかなるか。」
「メインのは、どうするのよ。」
「俺達三人で、やるのさ。だって見本を示さなきゃだめだろ。」
三人が、話しあっていたのは、コウジが帰る前に、残していった宿題の話だ。
『お前達三人に、宿題を出しておくよ。
この冬に祭りをやるんだ。雪で雪像を造り、皆に見物させる。
見物客には、屋台を出して、温かい食べ物を提供するようにするんだ。
雪像造りに参加した人達には、毎回、温かいお汁粉を出してあげなさい。
そうしてこれは、毎年続けて、スカンジナの名物イベントに育てるんだよ。』
そして、スカンジナ地方に冬がやって来た。
いよいよ、雪像造りの開始だ。
「まず、雪を積んで雪像の大きさにするんだ。それから、雪像の大雑把な形に削る。細かい仕上げは、そのあとだ。」
「ねぇ、ボク達、何を造るの?」
「そこに、絵があるだろ。そいつを造る。」「なんだぁ、牧場かぁ、可愛くないじゃん。」
「なんだあ、こんなでかいキノコを造るのかよぉ。こんなキノコなんてないぜ。」
「いいんだよ。好きに造っていいんだから。」
「おお、でかいなあ。ウルトさん何を造るつもりだ?」
「ハーベスト領にあるドリームランドのお城だよ。設計図をボッシュさんから借りたんただ。」
「そうか、お城かぁ。お姫様は、いるのかな?」
「わ·た·し·ルイーズ姫しかないでしょう。ほほほっ。」
「ウルトっ、ルイーズ姫とか、いらないから。
それよか、ミス女王コンテストとか、やったらどうだ?」
「うん、いいな、それ。選ばれたら、モテるぞ、その娘。」
「まあ、あなた達。発想がいやらしいわよっ。」
「今日の雪像造りの時間は、終了よ。皆、こっち来て、お汁粉を食べてっ。」
「「「わーい、お汁粉だあ。」」」
「さあ、食べて暖まって、帰りなさいっ。」
『本日は、晴天に恵まれた中、たくさんのご来場をいただきありがとうございます。
只今より、第一回《スカンジナ冬祭り》を開催致します。街の皆が造った雪像と、特産品で料理した屋台をお楽しみください。
なお、明日は正午より、ミス冬祭り女王コンテストを行いますので、皆さん奮って投票にご参加ください。』
「わーい、でっかいお城だね。」
「中から登って滑り台ができるよ。」
「すげー、この雪像、俺達が乗って来た機関車そっくりにできてるぜっ。」
「まあ、大きなキノコの雪像ね。あら可愛い猫さんもいるわ。」
「プッ、可笑しいわ。この雪像のくまさん、頭でっかちなのよ。」
「この雪像は、牛舎ね。牛があんまり似てないわ。」
「うわぁ、竜の雪像、すごく良くできてるわね。」
「ねぇママっ、あの屋台のトウモロコシが食べたいっ。」
「この屋台の牛汁、とても美味しい。牛肉の油が味の秘密かしら。」
「なあに? おでんというの? 大根が、味が染みてて、すごく美味しいの。」
「かぼちゃの煮付けがほかほかで、たまらないよ。」
「ホットミルクは、あったまるわぁ。」
会場の本部席には、三人の男爵が揃い、冬祭りの賑わいに、皆大満足だった。
「こんなに領外から、観光客が来るとは思いませんでしたな。」
「ルイーズがあっちこっちで、物産展をやって冬祭りの宣伝をしておりましたからね。」
「宿がいっぱいで、公民館と農学校を臨時の宿泊所にしましたが、それでも足りずに領民の家にも多勢泊まっているようです。」
「コウジ卿から、三人への宿題ということでしたが、こんな大成功になるとは。」
「あの方は、とんでもない救世主ですな。」
「我々の大恩人ですよ。返し切れない恩を受けましたよ。」




