第四話 それぞれの戦い1 [ボッシュと鍛冶ギルド]
金鉱の乗っ取り事件があって以来、儂は、コウジ代行に、五つの緊急の依頼を頼まれた。
一つは、高度数アルコールの《火炎瓶》。
高度数アルコールは、鍛冶ギルドの蒸留設備を使って作らせたが、おかげで焼酎の生産を中止せねばならず、禁酒を強いられた。
非常に辛いが、領民を守る武器が緊急を要すると言われれば、仕方ない。
だけど、重要なことだから、もう一度言う。『非常~に、つらい。』
二つ目は、《火縄銃》という鉄の筒から、鉄の玉を火薬で飛ばす武器だ。
銃身とかいう、鉄の筒は、鍛冶師の腕の見せどころだ。
鍛冶ギルドの腕利き達が競って、何回も作り直したから、結構上等な出来映えだぜ。
火薬は、硝石と炭と硫黄を調合して作るが、その割合は、コウジ代行から聞いた。
代行は、鍛冶師でもないのに、なんで知ってるか知らねぇが、とにかくなんでも知ってる。
三つ目は、《投擲機》。火炎瓶を飛ばすやつだ。
〘てこ〙の原理を応用して、飛ばすんだとか。
てこの応用とか、普通は考えつかないぜ。
設計図を渡されたから、木工だし、ギルドの若い連中に任せた。
四つ目は、《ゴーグル》という名の風除けメガネ。
なんでも、空を飛ぶ時に、強い風が目に当たるから、必要なんだと。
これは、苦労したぜ。まず、素材の〘ゴム〙ってのを見つけることから始まり、ガラスを曲面に加工するのが大変で、失敗の連続だった。
おまけに、あとから、薄く黒く色を付け、しかも見えるようにしろ、とか注文が多過ぎるぜ。
五つ目は、《ハンググライダー》という、人を乗せて、空を飛ぶ凧だ。
これだけは、以前から代行に話しを聞いて、儂が作ってみたいと、研究してたんで、なんとか作るには作ったんだが、重心とかいう調整に、えらく手間取って遅くなっちまったがな。
ギルド長のバルドが、みんなを集めて言った。
「みんなよく聞け、、これから俺達が作るものは、このハーベスト領の命運がかかっているんだ。
一刻も早く作り、一刻も早く兵士達に渡せねぇと、、帝国の奴らに、このハーベスト領がめちゃくちゃにされちまう。
俺達が、安心して豊かに暮らせるこのハーベスト領がだ。
それだけじゃねぇ。弱ぇ女や子供達が、、
あ、もちろん男もだが、大勢、、殺されちまうんだ。」
「だから頼む、、みんなを守るために、皆のちからを貸してくれぇ~。」
『おおっ、やってやろうじゃねぇか。』
『ギルドの総力を挙げて、やるぞっ。』
『ハーベストは、俺達が守るっ。』
そうして、儂らの心は、ひとつに纏まった。
誰もが、、みんなを、、守るために。




