第二話 戦場の花びら
俺の三年目は、農業の改良普及に取り組み、ハーベスト領内だけでなく、近隣の所領にも、三圃式農業を広めた。
おかげで天候にも恵まれたが、麦も野菜類も大豊作となった。
ところが、隣国のドロシア帝国では、干ばつに会い、食糧問題が生じたため、秋になって収穫を始めようという時期に、戦争を仕掛けてきた。
王国は、貴族達の足並みが揃わず、各個撃破されて、帝国軍が、次第にハーベスト領に迫ってきた。
ハーベスト子爵領の北隣、グラント男爵領の最北の村、ナーキスの村では、領民達が慌ただしく避難を、始めていた。
父親を戦場に駆り出され、去年、母を亡くした少女ラナは、四人の幼い弟や妹を連れて、ハーベスト領の叔母を頼って、村を出た。
しかし、幼い子供ばかりであり、その歩みは遅く、次第に避難民の集団から遅れ、ついに彼女らだけとなってしまった。
それでも、一番したの妹を抱き、二番目に幼い弟の手を引きながら、必死に歩いた。
あと少しでハーベスト領というところまで、たどり着いたとき、ついに迫ってきた帝国軍に見つかってしまった。
もうだめだ、逃げきれない。だが、それでも弟妹を守るため、足元の石を拾うと、両手に持ち、剣を振りかざしてくる兵士の顔目掛けて、投げつけた。
一人目の兵士は、こぶし大の石を額に受け、もんどりうって離れたが、二人目の兵士がすぐに襲い掛かって来る。
弟が投げつけた石に気を取られた兵士の顔に、再びぶつける。
だけど、きりがない。弟妹を守りきれない。
そう思った時だった。突然の轟音が鳴り響き、帝国の兵士達がバタバタと倒れる。
そして、駆け寄ってきた味方の兵士達に抱えられて、戦場の後方へと避難でき、私達は助かった。
そして、声を掛けてきた人から、
「よくがんばったね、きみの最後まで諦めない勇気が、弟や妹さんを守ったんだよ。」
と、言われ、
私は、やっと緊張が解けて、わんわん泣いてしまった。
弟や妹が無事で、ほんとうによかった。




