第一話 シルバニア王家
新章、始めまさた。今後は、一日一回、昼の12時の更新の予定です。よろしく。
ここは、ハーベスト子爵領ほか、54の貴族領を束ねる《ウインランド王国》の王城である。
その広間の一室では、ハーベスト領から戻った、ランドル宰相が居並ぶ大臣達を前に、アレク王に報告を行っていた。
「陛下、当初のハーベスト子爵からの知らせのとおり、マルカス伯爵は、ハーベスト子爵を、金鉱からの横領を行っていたとして、捕縛するつもりでありました。
さらには、その際に、抵抗したのでやむを得ず、討ち取ったとする報告書を作っておりました。」
「やはり、誠であったか。」
アレク王は、そう言って、深いため息を吐いた。
「マルカス伯爵は、帳簿の精査、金鉱の実地調査も行わず、着いたその日に子爵を捕縛しようとしたようです。
ところが、コウジ代行に反論され、強引に押切ろうとして、逆に捕縛されたようです。」
「査察は、ほとんど形式的なものであり、マルカスが、ハーベスト領の発展を見たいというので、任せたが、余が浅はかであった。」
「コウジ代行には、会うこと叶いませんでした。
この度の王城の不始末、禍根を持たれたようにございます。
しかしながら、ハーベスト子爵からは、これまでどおり、国の一員として協力を惜しまないと謝罪に対する返答を貰っております。」
「そうか、なんとか最悪の結果は、避けられようだな。」
その会話に、口をはさむ者がいた。財務大臣のベッカム公爵である。
「陛下、おそれながら申し上げます。
いくらマルカス伯爵が、無謀なことをしたからと言って、国から独立するなどというのは、驕りたかぶっております。
このまま、捨て置くことは、王城の権威に疵が付くかと存じます。」
「ほお、そちは、いかがせよと申すか?」
「ハーベスト子爵領の金鉱を取り上げ、王城の直轄領とすべきかと。」
「ふむ、そちは、命を二つ持っておるのか?」
「それは、どういう意味でございましょうか?」
「よいか、今回のマルカスが、しでかした子爵領の乗っ取りに対し、それが王城の指図ならば、独立も辞さないと言ったのだぞ。
それなのに、金鉱を取り上げてどうする?
最初から、王城の企みとなるではないか。
それにな、それならば、戦争を仕掛けよと言うたのだぞ。
なにも備えなく、そんなことを言うコウジ代行と思うか?
ハーベストの姫を拐おうとした、ブログリューは、一瞬で舘を吹き飛ばされて、命を失ったが、そのようなこと、そちには、できるか?
そちがこの場で言うたこと。いずれ、コウジ代行の耳に入るであろうな。かの者は、理不尽や私利私欲を、決して許さぬぞ。
ベッカム、そちはこの場で財務大臣の任を解く。そうしなければ、余の命が、危うくなるからな。
皆に言うておく。人の処罰を申すときは、命を賭して申せ。」
そして、その場は、凍りついたような静けさに包まれたのだった。




