第十話 夏祭り
書き始めたばかりで、まだ知名度が低いので、ご覧んなり、皆にも読ませたいと、思ってくれた方は、評価のポイント付けをお願いします!
この世界には、お祭りがない。露店の綿飴や金魚すくい、射的や輪投げ、食べ物の屋台。
俺の郷愁を誘う、それらを思い浮かべているうちに思い立った。
そうだ、夏祭りをやろう!
そう決めた俺は、まず、ハーベスト子爵の許可を貰いに、舘に赴き話したところ、「全て任せるから、盛大にやってくれ」と言われ、丸投げされてしまった。
ナターシャ夫人には、「まあ、すてき。期待しちゃいますわっ」の一言をいただき、ありがたくも、プレッシャーを授かってしまった。
次に、カルロ達、商人を束ねる商業ギルド、ボッシュ達、鍛冶師を束ねる鍛冶ギルドを訪れ、企画を説明したうえで、協力を求めたが。
なにやら判らないが、「代行様の考えることなら、凄いことに違いない」と、ものすごく乗り気になってくれた。
商業ギルドには、食べ物の屋台を。鍛冶ギルドには、射的や金魚すくいなどの遊具屋台を担当してもらうことにした。
俺は、祭りの中心には、盆踊りの櫓がいいと考え、ロッドの手伝って貰い、材木を組み立てて、やぐらを製作した。
ボッシュに、大太鼓の製作を頼み、出来上がると、孤児院の子供達に、叩かせて練習させた。子供達は、見たことのない大太鼓に、夢中だ。
音楽がないのと困るので、シスター達をはじめとした、孤児院の女の子達に歌を覚えて貰った。味をしめたのか、シスター達は、聖歌隊を作ると、張り切っている。
それから二週間後、前世では七夕の日に、夏祭りが開催された。
場所は、街の中心にある教会の敷地の広場、街中の人が集まり、広場の周囲に立ち並ぶ露店に群がり、金魚の代わりの《めだかすくい》や、ボッシュの力作である《綿あめ製造機》の前は、大混雑の行列である。
孤児院でも屋台を出した。年長組は、《焼きそば》の屋台、味付けはこの世界では珍しいソース味だから、ほかでは味わえない美味しさだ。
年少組は、《折り紙》の屋台。子供達が折った折鶴や亀、花や動物の色鮮やかな折り紙だ。
そして俺の屋台は、《べっ甲飴》、鉄板の上で、水飴をいろんな形に描いて固める。細い棒の柄を付けて、出来上がりだ。甘い飴に、皆の注目が集まる。
そして夕暮れ時、広場の周囲と中央にある櫓には、提灯が明々と灯り、孤児院合唱団の歌と太鼓が始まる。
『そよぐ、そよ風、牧場に街に~
吹けば、ちらちら灯がともる、赤くほんのり
がともる、
ほら灯がともる~
シャンコ、シャンコ、シャンコ
シャシャンがシャン
手拍子そろえて、シャシャンがシャン』
俺と年長組が踊ると、見よう見まねで、皆が踊りの輪に加わる。次第に大勢の輪となり、人々に、夏の夜のひとときの、くつろぎを与える。
そして、夏祭りは、この年から毎年行われることとなった。
ただ、祭りの名前が、『みなしご孤児院祭』となったのは、あまりに、俺がやりすぎたためだろうか。
でも、めげずに、来年からは、ゆかたとハッピを普及しようと、決意する俺であった。




