外伝:武器庫改修奮闘記 〜マスター、がんばる〜
──武器庫の中枢、心臓部。
蓮は、何枚もの魔法陣と設計図が浮かぶホログラムを前に、頭を抱えていた。
「はぁ……マジでこれ、どうやんだよ……」
文化祭開催に向けて、武器美女たちがノリノリで企画を立てる中、
肝心の「武器庫そのもの」が“人を呼べる空間”としては、全くの不適格だった。
「そもそも、ここって武器の封印・管理・メンテナンス専用で設計されてるから、
空間は魔力制御優先で、居住空間としては最低限しか整備されてないんだよな……」
壁面には、魔素供給ラインと制御結晶が縦横無尽に張り巡らされ、
床は硬質な黒曜石で、冷たく、殺風景。
光源は最小限で、ただの「保管庫」そのもの。
人が集まれる雰囲気ではない。
「この状態で“文化祭やろうぜ!”とか言われても……」
蓮は顔を覆い、天を仰いだ。
──だが、脳裏に浮かんだのは、
楽しそうに「文化祭!」と声を上げるアイリス、
「温泉も作って♡」と目を輝かせるリリス、
「みんなで楽しいこと、したいわね」と微笑むセレナたちの笑顔だった。
「……チクショウ、やるしかねぇな」
蓮は意を決し、システムへの魔力干渉を開始した。
武器庫改修、地獄の奮闘記
まず、既存の魔素循環システムを大幅に改造する必要があった。
「封印特化型」から「多目的空間型」に変更するには、膨大な再設計が必要。
魔力供給ラインの再配線→一部が暴走、爆発。
→アイリス「うわっ!?大丈夫!?」
→リリス「……マスター、無茶しないで」
空間拡張のために次元層を一部展開→重力バランスが崩壊し、床が浮き上がる。
→ソフィア「っ、マスター!危ない!」と盾で支えてくれる。
蓮、3日連続の徹夜作業でクマがひどい。
→セレナ「マスター、紅茶をどうぞ。頑張ってる姿、素敵よ」
ミラのアドバイスで次元安定化ルーンを追加→「理論上は安定するはずだけど、テストはしてないわ」
→「いや、してから言ってくれ!」と叫ぶも、結局実行して爆風に吹っ飛ぶ蓮。
そして、完成の瞬間──
何度も何度もエラーを繰り返し、
転送陣が暴走し、魔力の流れが崩れかけ、
「もう無理かも……」と蓮が座り込んだその時。
──ふわり、と空間が光に包まれた。
「え……?」
床は柔らかな魔力パネルに変わり、天井には淡い光が灯り、
無機質だった壁には、模様のような光の文様が浮かび上がる。
空間の空気が優しく循環し、外界と繋がる転送ゲートが安定して開き、
「これなら、人が入っても大丈夫だ」とシステムが告げた。
「……やった……やったぞ!」
蓮がガッツポーズをすると、武器たちが次々と駆け寄ってきた。
「マスター、すごい!ありがとう!」
「これで文化祭、できるのね……♡」
「マスター、無理しないでって言ったのに……でも、すっごく嬉しい」
「本当に、あなたって……私たちの自慢のマスターだわ」
蓮はみんなの笑顔に囲まれ、照れくさそうに頭をかきながら笑った。
「まったく……お前らのためだからな」
そう言いながら、心の奥底で「やって良かった」と思うのだった。




