外伝:武器たち、温泉を要求するの巻
(魔王ヴェルゼルグ、日常に追われるの裏側)
──第七武器庫、談話スペース(※通称・武器たちの溜まり場)。
長い戦いを終え、蓮と武器たちはひと息ついていた。
「ふぅ~、戦ったあとの体って、やっぱり重いわよね~」
アイリスが床にゴロンと寝転がり、ストレッチをしながらぽつり。
「マスターも疲れてるんじゃない?肩揉んであげよっか?」
「ちょ、ちょっと待ってくれ、いきなり肩は…!」
蓮が慌てて止めようとするが、
「ふふ、マスター……私たちの体も、そろそろ“お手入れ”じゃ済まないくらい、疲れが溜まってるの」
リリスが妖艶な笑みを浮かべ、膝に手を置いて寄り添う。
「お手入れって言っても……何ができるんだ?」
蓮が困惑して問い返すと、セレナが真剣な顔で手を挙げた。
「提案があるわ。
この武器庫に──温泉施設を作りましょう」
「温泉!?」
蓮が目を見開く。
「ええ。魔素の循環を整えるためには、リラックス効果の高い温泉が最適なの。
私たち、戦闘でかなり魔力消耗してるし、マスターも癒されるでしょう?」
「わ、私も賛成!お風呂でのんびりしたいなぁ!」
アイリスが元気に手を挙げ、
「……私も、月明かりの下で温泉に入りたい」とノワールが小さく呟く。
ソフィアも頷き、ミラは「温泉の効能については理論的にも有効性が高いとされている」と冷静に説明を始めた。
蓮は完全に押し切られた形で頭を抱えた。
「でも、そんなの作るなんて、どうやって許可を──」
「ふふっ、それならもう準備してあるわよ♡」
リリスが得意げに机の上に広げたのは──
『第七武器庫内 温泉施設設置要望書』
──「癒しと回復のための魔力温泉施設を設置する必要性について」──
──「魔素循環の改善、魔力波の安定化、精神衛生向上のための休憩施設」──
──「水着着用の義務化」──
──「追加設備として、露天風呂、サウナ、足湯コーナー、マッサージチェア完備を希望」──
「お、おいおいおい!?誰がこんな詳細な……!」
「もちろん、私たちで考えたの♡」
リリスが得意げに胸を張り、セレナが「温泉は全員の総意よ」と笑顔で補足する。
「これを、魔王様に提出するの!ね、マスターも一緒にサインして!」
アイリスがペンを差し出し、武器美女たちが期待の視線を一斉に向けてくる。
蓮は顔を真っ赤にしながら「え、えぇ……?」と手を伸ばし、結局サインしてしまうのだった。
──こうして、第七武器庫温泉施設要望書は完成し、
その数日後、魔王ヴェルゼルグの机の上に、幹部たちを青ざめさせる形で届けられるのであった。




