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臭っっ!

 ジプシーのテント群から離れて、元来た道を戻り、聖ペーター僧院教会の裏にまで戻ってきたゲオルクと大司教。


「あ~~~~っっ! 疲れたっっ! オレも歳だなっっ! 足がもう痛いのなんのってっっ! 教会で休もう! なっっ! ノッポ!」

「ええ~? そのまま城に帰らずに? ……まあいいですけどねえ~」


 大司教はかなりヘトヘトだか、ゲオルクもビッコを引いている右脚がかなり限界に近づいていたので、あまり抵抗はしなかった。

 しかしここで二人は気がついた。


「なんか、コゲ臭くないか?」

「んん~……なんですかねえ?」


 二人はそのコゲ臭い中、地下墓地から教会の裏に出た。

 すると肉でも燃やしたような悪臭が二人を襲った。


「く、臭っっ!」

「は、早く中に入りましょう!」


 ヘトヘトだったはずの二人だか、そんな事は忘れてしまうくらいの早足で、そのまま聖ペーター僧院教会の中に入った。


 真夜中の教会の中。一般市民は一人もおらず、中は静まり返っていて、所々にあるローソクの火のゆらめきが教会内をより幻想的だった。

 しかしそれよりも、二人はあの変死体の腐敗臭が教会全体に広がっている事に驚いた。


「わ! こっちはこっちでたまらんな! もう捨てちゃわないとまずい!」

「そ、そうですなっっ。これほどとはっっ」


 二人は大慌てで教会の換気をと入口などを開け始めた。

 すると、奥の遺体安置室から聖ペーター僧院教会の僧院長ルパート・コイツルが現れた。


「どうなされました? 大司教?」

「いや、あの死体、捨てちまわないと! こん中スゲーー臭いぞ!」

「え! まだ臭いますか? 死体は先程、墓地の方に運んで焼いたんですがっっ」


「ええ? 焼いた?」

「ああ! さっきのはそれか!」


 二人は驚きつつも、この悪臭では仕方ないとも思った。


 とりあえず二人と僧院長は、教会内の窓やドアを全て開け放つと、二人は近くの長椅子に座り込んだ。

 そして僧院長は気を利かせてワインを持ってきてくれた。


「あ、すまんすまん! いや~……あれほどまでキツい臭いだったとはっっ! 僧院長! すまんかった!」

「いえいえ、ふだんご遺体は全てこちらで処理をしているので、それは問題ないですよ。ただ、あんな悪臭は初めてでしたねえ」

「いただきます」


 二人は疲れ切った体にワインを流し込んだ。ゲオルクにはワインは少し強すぎたが、それでも喉が渇ききっていたから、とてもありがたかった。


「それでどうされました? こんな夜更けに」


 落ち着いた二人の雰囲気を察して、僧院長は質問してきた。


「いやな、その死体を見にきたんだけどよ」


 まだ大司教はヘトヘトである。


「ああ~……その後、誰かその死体を見に来ませんでしたか? カスパールとか?」


 代わりにゲオルクが話した。


「ああ、その事だがね。カスパールが門番とかやってた……ハンス? そう。ハンスの奥さんを連れてきて、身元の確認をしていたよ。私はてっきり二人は知ってるかと思ってたんだが、知らなかったんだねえ」


「カスパール来たか! じゃああの死体はやっぱりハンスだったのか……」

「カスパール、しんどいでしょうなあ……」

「もう今日はそっとしといて、明日。明日、カスパールに事情を聞いてみっか。きっとハンスの家でいろいろ調べただろう」

「そうですな。われわれも一度寝た方がいいですよ」


 そういう事で、二人は城に戻る事にして、長椅子から起き上がった。

 その時、小声で僧院長が二人に警告をしてきた。


「今回の件、クラーマーにも調べさせていますね。彼、少し前まで、無我夢中で本をあさってましたよ。あの男はとても危険です。きっと無駄に話を大きくしますよ」


 二人は顔を見合わせると、僧院長に「気をつけます」と言い、その場を後にした。


 城への道中、ゲオルクは気になった事を聞いた。


「ずいぶんと早く教会も退散しましたが、どうされました? 急ぎのようでも?」


 大司教はゆっくりとした足取りで坂道を登りなら、渋い顔をゲオルクに見せた。


「オレを誰かが殺そうとしてるんだと」

「ええ?」


 大司教はその一言以上、何も言わなかった。


 だいぶ参ってるな……


 そう察したゲオルクはそれ以上の追及はしなかった。

今回もここまで読んで頂き、本当にありがとうございました!

まだまだ続きますので、よろしければ次回も引き続きよろしくお願いいたしますっっ。

では本当にありがとうございました!!

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