う、うそだろ
ゲオルクはオットーとの勝負に勝った。しかし喜んでいる場合ではない。
「オロロック。オジさん。ここに大司教とアンナはいなかった?」
「イナカッターネ~」
オジさんは答えない。どうやらハンガリー語が本気で分からないようだ。
「ベルキは?」
オロロックはベルキがどこに行ったか分からないらしい。そこでオジさんに聞くと、どうやらゾラを探しにここを抜けて行ったらしい。
「ええ? そうなの?」
そこでオロロックは心配そうな顔で窓の外を両耳に手をそえて、見回してみた。するとすぐに何かを感じとった。
「ベルキノコエ……アッチ!」
「オジさん! オットーの見張り……いや、んん~……どうしよう」
ゲオルクはオットーをそのまま放っておく訳にはいかず、オジさんもどうしていいか分からない。
オットーはうつ伏せ状態でまだ金的で苦しんでいるが、左手にはまだナイフが握られている。
ゲオルクはまだ何か企んでいる気がしてならなかった。
「おいオットー! おまえもう勝負はついたんだから、その剣を離して観念しなさいよ」
「ゔゔ~痛い~~っっ」
とオットーは顔を上げた瞬間、ゲオルクに向かってナイフを右手で投げてきた。ゲオルクはとっさに避けたが、そのナイフはオジさんに向かって飛んでいった。するとオロロックが瞬時にそのナイフを受け止め、逆にすごい速度でナイフを投げ返した。
「あ!」
ナイフはオットーの眉間にすごい速度で思いっきり刺さり、その衝撃で顔がパーン! と破裂した!
「わあ! う、うそだろ?」
ゲオルクは驚いてテーブルに手をついた。
オロロックも「やり過ぎた」という顔をしたが、ハンガリー語が出てこなかったようだった。
「チョット、チィ、ノム」
「は、はいどうぞ」
オロロックは顔のなくなったオットーの割れた肉片に噛みつくと、グイグイ血を飲んだ。その時、客間のドアが開いてラーダが姿を現した。
「キャーーー! 何これ! 気持ち悪いっっ! ウェエェっっ!」
ラーダはあまりの気持ち悪さに一度部屋を出て行ってしまった。それに気がついたオロロックは、慌てて窓から姿を消した。
「あ! アイツ僕を置いてったっっ」
ゲオルクは苦い顔でドアの外のラーダを呼んだ。するとそこには兵士も数人。そして彼らも含め、ラーダが部屋に入るとあまりの気持ち悪い死体に顔が青ざめた。
「な、何? これ、どういう事? ゲオルクさんがやったの?」
「ああ~……オロロックがねえ……。それ、オットーだから」
「そ、そ、そうなんだ……」
もう気持ちの余裕がないラーダは答えるので精一杯。急いでオジさんの所に駆け寄ると、傷口を見て「早く薬を塗らないとっっ」と焦り始めた。
それを見届けたゲオルクは「後は頼んだよ」と客間のドアから出て廊下に出た。
するとそこには、何人も兵士が倒れており、他の兵士や修道士たちがそれぞれ安否の確認を行なっていた。
あ~……やっぱり殺してよかったかも……
ゲオルクはそう思いつつ、今はベルキを探すのが先とばかり、疲れた体にムチを打って急いで中央宮殿の外まで出た。
するとすぐにオロロックがやってきた。
「どうした? ベルキは?」
「この中……」
「あ」
そこは城内礼拝堂だった。
ここまで読んで頂いて、本当にありがとうございます!
もう少し、もう少しお付き合い頂けると幸いですっっ。
では今回も本当にありがとうございました!!




