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グフフフ

「クラーマー様! 本当に! ありがとうございます! もうなんてお礼をしたらいいか小生、困っちゃう♪」


「いやいやいやいや♪ そんなに喜んでいただけると助けたワタクシの鼻も高いってもんです! ナハハハハハハハハハハハハハハハ♪」


「グフフフフフフフ♪」


 牢獄に不気味なオッサン二人の笑い声がこだました。

 ラーダとゾラはもうどうしていいか分からず、お互い抱き合って泣き始めている。

 ゲオルクはこの状況をどうしていいか分からなかった。

 しかしこのままオットーを釈放させれば、大司教の身が危ない! ゲオルクはそれを一番危惧していた。


 そう思ってる最中も、オットーの両手の鎖、両足の足かせも外されてしまった。両手両足が自由になったオットーは大喜びで大きく背伸びをすると「生き返るわホントに~~♪」と喜び口にした。

 クラーマーもその光景を「そうかそうか」と嬉しそうに見守っている。


 そして自由の身となったオットーは、クラーマーの両手を掴んでひざまづいた。


「クラーマー様! 本当に! 本当に! ありがとうございました! このお礼をどのようにお返ししたらよいか分かりかねますが、いつでも何なりとお申し付けくださいまし」


「いやいやいやいや! そんなワタクシのした事を気にしなくてもいいんですよお~♪ でもですねえ、少しご相談がありまして♪ 今からワタクシ、この者たちの尋問を始めようと思っているんですけど、どの人を最初にしたらいいか今現在ワタクシ迷ってましてねえ~。オットーさんなら誰から尋問を開始します?」


 このクラーマーの発言を聞いて、ラーダとゾラは震え上がった。ゲオルクは二人にたいして苦い顔を見せつけている。オットーは目を細めてニヤリとした。


「左様でございますかクラーマー様。でしたら小生が思うに、そこのまだ若いゾラから尋問をされてはいかがでしょう? 小生が思うに、本丸は後の方がいろいろと判明して、クラーマー様的にも真実にたどり着く過程が刺激あってよろしいかと♪ ええ♪」


「あ~。な~~~~るほど! そんなふうには考えていなかったですが、オットーさん。あなたの意見も最もだ! では最初はゾラ。あなたから尋問をいたしましょう」


 クラーマーの目はギンギンとみなぎり、口からはヨダレが出そうな勢いの、どうしようもないイヤらしく気持ち悪い顔になった。ゾラは身体中を震えてラーダにしがみ付いた。


「やだ! やだ! ラーダ怖い! 助けて! やだ!」

「そ、そうよ! ゾラはまだ十四の子供よ! いくら何でもこんな尋問を! しかも一人でだなんて!」


 ラーダも必死になってゾラをかばう。しかしクラーマーの目はギンギンである。


「な~~に。別に悪い事をする訳じゃないし、まあゾラさんが抵抗をしたら、こちらだってどんな事をするか分かりませんけどねえ~~」


 そう言いながらクラーマーは牢屋の鍵を開けはじめた。ゲオルクは注意深くオットーの様子を見た。


 オットーは今、服こそ着ているが丸腰。クラーマーの横には見張りが一人、右手に剣を構えている。そして部屋の奥にも見張りが一人こちらを監視している。クラーマーは両手で鍵を開けていて、腰には武器になりそうな物は着けていない……


 こうしている間にクラーマーは不器用ながら、牢屋の鍵を開けた。


「さあゾラ。こっちに来るんだ」


 クラーマーはラーダからゾラを引き剥がそうとするが抵抗され、そこに兵士が牢屋の中に入って剣を向けて威嚇した。

 さすがにラーダもゾラも離れるしかなかった。

 ゲオルクはそれを見ることしかできない。


「さあいい子だ! ゾ、ラ、ちゃん~~~~~~っっ!」


 クラーマーはゾラの腕を掴むと、無理矢理引っ張り牢屋の外に出した。ゾラはその勢いで牢屋の外でひざから倒れ込んでしまった。


 その時、クラーマーも勢いがつき過ぎて体勢を崩して倒れそうになった。それをオットーが「大丈夫ですか?」と支えた。


「大丈夫大丈夫。ありがと、ちょっと調子に……」


 とクラーマーは話しながら気がついた。牢屋の鍵を何故かオットーが持っている。


「グフフフ♪ じゃあねん♪」


 オットーは思いっきりクラーマーを蹴って牢屋の中に戻すと、あっさり鍵をかけてしまった。

 クラーマーは蹴られた勢いで牢屋の中の見張りの兵士にぶつかり、その兵士もラーダにぶつかり、ラーダはゲオルクに支えられた。


「な、何をするんですオットーさん!」

「グフフフフフフフ♪ 上手く行ったわ~ん♪ これも全部、魔術師ゲオルク様のお申し付けなのよホント♪」

「ええ?」


 クラーマーはすぐに信じた顔を見せたため、「そんな訳ないだろう」とゲオルクが否定した。

 これに驚いた少し奥の見張り役は、慌てて剣を抜いてオットーに襲いかかった。

 しかしオットーは向かってくる兵士の剣をあっさり避けると、口から何かを吹いた。兵士の顔をそれが直撃し、兵士が目をつむった瞬間にオットーはその兵士から剣をもぎ取り、兵士の腹をひと突き! その場に兵士は倒れ込んだ。


「グフフフフフフフ! 今日はとっても小生、大活躍!」


 まだ血の付いている剣をブンブンと振り回してオットーは勝利の舞を踊っているよう。

 その踊っているすぐ近くで、ゾラは血まみれで倒れている兵士を見て、声も出ずに震えて、息も荒くなっている。


「いい? ゾラちゃん。小生といっしょに逃げるのよ♪ いいわねん♪」


 それを聞いたゾラは後ろに下がり、首を振った。


「やだ! 嫌だ!」


「もうそんな事言わないで! あなたには絶対的な才能があるんだからん」


 オットーはゾラの手を取ろうとしたが、渾身の力を込めてゾラはその手を振り払うと、牢獄の出入り口に向かって走り出した。

 するとそこに補佐司教が姿を現した。


「あ! 何? どうなってんのコレ?」


「逃げて! 司教さん!」


 ゾラは急いで補佐司教の腕を取って逃げようとした。まだ理解が落ち着いていない補佐司教はすぐに反応が出来ず走ろうとしない! 

 するとオットーが満面の笑みを浮かべて補佐司教目がけて突っ込んできた!


「キャーーーーーーーーーーーーー!」


 目の前で補佐司教はオットーに腹を貫かれ、その場にひざをついた。


「に、逃げなさい……」


 補佐司教はゾラにそう言うと、ゾラを追おうとしたオットーから離れないように剣に貫かれたまま、抱きついた!

 ゾラは涙を浮かべて頷くと、一目散に走って牢獄から出て行った。


「ダーーーー! もう、離れなさいってば! 小生、年配のオジさんには興味はないんですのよ~~っっ!」


 そう言うとオットーは貫いている剣を更に揺さぶった。その衝撃で補佐司教は意識を失い、オットーにしがみついていた両手はダラリと垂れて、オットーが離れるとその場で前から崩れた。


「ほ、補佐司教ーーーーーーーーーーッッ!」


 ゲオルクは思わず叫んだ。

 オットーはゲオルクのその声を聞くと、ゲオルクの方を見て満面の笑みをこぼした。


「そう? この人が補佐司教! この人も殺せるんなら殺せって言われてたのよん♪ 小生、運がいい~~! 完璧~~♪ あ、でもこれもこれも全部魔術師ゲオルク様の、申しつけなんですからね~ホントに♪」


 オットーは絶好調にはしゃぐと、倒れた補佐司教の首から十字架のネックレスを奪った。


「そうそうこれこれ♪ 吸血鬼には、十字架が効くって、クラーマーさんがおっしゃってましたよね~~♪」


 ゲオルクはクラーマーを睨みつけた。クラーマーはゲオルクには気づかず、ただショックを受けている。

 そして上機嫌のオットーは、鼻歌を歌いながら牢屋の中のゲオルク達を薄気味悪い目でまた眺めた。


「じゃあゲオルク様! 小生オットー・フォン・ニーマン三十五歳独身♪ 大司教ローアの成敗に出発します♪ グフフフフ♪ そう言えばさっき、クラーマーは大司教が客間で寝てるって言ってましたわよね~~ん♪ これはもう行くしかありませんわよね~だ♪ 小生ツイてるーーーー! 小生の行う事は、全部魔術師ゲオルク様のため~~♪ グフフフフフフフ♪ グフフフフフフフフフフフフフフフフ! フフ~~ンだあ♪」


 そう鼻歌を歌いながら、オットーは牢獄から出て行ってしまった。

ここまで読んで頂いて、本当にありがとうございます!

引き続き次回もお付き合い頂けると幸いですっっ。

では今回も本当にありがとうございました!!

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