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だからだよ!

 ラーダとゾラはクラーマーの勝手な連行で、城内の牢獄に入れさせられてしまった。

 しかしそこに慌ててやってきた大司教が解放し、二人は今度は男子禁制のノンベルク修道院に避難された。


 その話を待機室に帰ってきた大司教から聞いたゲオルクとアンナは、とりあえずホッと胸をなで下ろし、裁判が閉廷となったので、二人はまた中央宮殿の客間に戻された。


 ゲオルクは裁判中はこんな豪華な生活で、これも悪くないなと冗談を言ったが、


「でも私たちも、外に出るのも何か怖くない?」


 アンナは貴族たちから何かされるんじゃないかと不安な様子。


「まあ~……今はどうしようもないですなあ」


 ゲオルクもそう言うしかない。ただ、ゲオルクには心配な事があった。

 クラーマーはオットーと話をしたと言っていた。あのクラーマーの性格。


 オットーにいらない情報まで流してしまったんじゃなかろうか?


 ゲオルクはそう懸念していた。そんな時、また大司教と補佐司教が客間を訪れた。

 その時、大司教はやっぱり片手にワインのボトル、片手に木のコップを持参してきた。

 今度は補佐司教も木のコップを持っている。

 ゲオルクとアンナは思わず笑ってしまい、昨夜同様に宴が始まった。


「なあノッポ。オレ、このままだとヤバいよなあ?」

「ええ、オットーはまだ狙ってると思いますなあ」

「とりあえず、牢獄の兵士の数は増やしときましたけどねえ。ゲオルクちゃん。他に何か出来る事ある?」

「ん~……クラーマー……アイツが変な事をしないように監視しとくのがいいかと」


 など、オットーの事を話していたが、アンナはそれよりも気がかりな事があった。


「ねえ大司教? ラーダさんとゾラちゃん。これからどうなんの?」

「ああ、それな! それそれ! ノッポ! 相談がある。もうあの二人、ザルツブルクにはおれんだろ? どうにか脱出させてやれねえか?」

「ええ?」


 ゲオルクは考えた。


 確かにもうザルツブルクで商売するのは難しいだろう。何せラーダは人気のある占い師。これがクラーマーが魔女裁判を行った場合、もし無実と証明されても人気に傷がつくどころか、『魔女』のレッテルを貼られて無事に過ごせるかも分からない。もう別の街に移った方が、彼女のため……


「でもいいんですか大司教? ラーダの事、お気に入りだったじゃないですか?」


「だからだよ! ラーダには長生きしてほしいんだ。こんなトコで魔女裁判で処刑にでもなったら、オレは悔やんでも悔やみきれねえっっ」


「大司教って優しいのね」


「奥様がいるのにねえ」


「アイツは家で、ドーンと構えてくれてれば、それでいいんだ! カミさんとラーダは別!」


 大司教の都合の良さに、みんな笑った。

 そしてひと息つくと、ゲオルクは冷静になって考えた。


 もし……ザルツブルクから二人を脱出させるんなら、やはりオロロックに手伝ってもらうしか無理だ。そして夜、暗闇の中でないと、クラーマーや貴族たちの目にふれてしまう……あれ? そう言えば……


「大司教。ベルキとオジさん……あの男性のジプシー二人は解放されたって言ってましたよねえ?」


「ああ、クラーマーが勝手に解放した。まあいいけどな」


「じゃあ彼らは川の向こうに戻ったと思っていいですよね?」


「ああ、何だ? 二人の脱出の手助けをしてもらうか?」


「ええ。明日の朝には動けるように、ラーダとゾラの荷物をまとめてもらうように……」


「うん。ゲオルクちゃん。今から下にそれを言って来るわ」


 それまで話を聞いていた補佐司教が部屋を後にした。


「これでラーダさんとゾラちゃん。大丈夫?」

「んん~……だといいけどねえ……」


 ゲオルクは今晩も大変になりそうだと、まだ明るい窓の外を見ながら少しゲンナリした。

ここまで読んで頂いて、本当にありがとうございます!

こんな感じでまだ続きますので、宜しかったら次回もお付き合いのほど、よろしくお願いいたしますっっ。

では今回も本当にありがとうございました!!

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