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バカは死ななきゃ治らねー

 オットーの供述により、黒魔術とハゲのモンスター使いとして目の前の貴族たちに認識されてしまったゲオルク。

 これに輪をかけるようにクラーマーが賛同した意見を言った事で、裁判は大荒れ、大司教は慌てて一度閉廷した。


 デタラメな供述をしたオットーは、両手に鎖、両足に足かせをつけたまま退廷し、ゲオルクとアンナは大広間の奥の待機室に移動した。

 そこには大司教、補佐司教や他の司教たちも揃っていた。

 部屋には人数分のイスがあるが、全員とても落ち着く感じでもなく、全員が立って話を続けた。


「おいノッポ。どうする? あんなデタラメな供述に貴族のみんなは心動かされちゃったぞ」

「まあ~……困りましたなあ」

「ゲオルクちゃん。そんな呑気な事言ってる場合?」

「いえね。あ~……確かにそうなんですけど、僕が懸念してるのはですなあ。あの男はまだ大司教の暗殺を諦めてないんじゃないかという事なんですよねえ」

「ええ?」


 不安でいっぱいのアンナの肩を抱きながら、ゲオルクは大司教たちに告げた。


「僕が思うに、あの男、ペテンを働いてこの場を混乱させて僕を大司教から遠ざけたところで大司教を殺そうと……そう思ってるんじゃないかと」


「ええ? 怖い事言うなよっっ」


「いや、ホントに諦めてる人間が、あんなペテンを働きますかねえ?」


 ゲオルクはそう言うと、アンナと共にイスに座った。少し落ち着きを取り戻したアンナは、「じゃああんた、黒魔術とか、ホントにしてないんだよね?」としつこく聞いてきた。その都度ゲオルクは「やってません」とアンナを安心させる言葉をかけた。


「しかしゲオルクちゃん。クラーマーのあの発言を、どうひっくり返すのよ?」


「まあ~……どうしましょね?」


 補佐司教の質問に、ゲオルクは苦笑した。それを見たアンナは「よく笑えるわね!」と肩を叩く。

 ようやくゲオルクの隣に座った大司教も「これからどうしよ?」と頭を抱えた。


「ね、ねえ? 大司教? あのクラーマーって人。ジプシーのみんなを連行しちゃわないかしら?」


 アンナはふとした疑問をぶつけた。ゲオルクも大司教も補佐司教も(有り得る……)とすぐに思った。


「お、おい! 一回客間のラーダたち、無事か見てきてくれ!」


 大司教は心配になり部屋の隅にいた兵士に命令した。


「……というか、クラーマーは今どこにいるんでしょうねえ?」


 今度は補佐司教がふと疑問を言った。大司教も「あれ? アイツどこだ?」とまた席を立ち、大広間を見たりして、「アイツいないぞ」と、少し焦り始めた。


「んん~……まさかオットーのところで話をしてたりしないですかねえ?」


 ゲオルクのその一言に大司教はハッとした。


「牢獄に行くぞ!」


 大司教は兵士を連れて部屋を出て行こうとした。するとそこにクラーマーが満面の笑みで部屋に入ってきた。


「あれあれあれあれ? みなさん今からどちらへ行こうと? ワタクシ、今からしばらく尋問の準備をしますので、今日はこれにてと思ってあいさつに来たんですけどねえ♪」


 この上機嫌なクラーマーに怒り心頭な大司教は頭を思いっきり叩いた。


「あ! ああ! な、何でワタクシの大事な頭をまた!」


「大事な頭じゃねえよ! このバカヤロー! テメーどっちの味方なんだ? あんな訳の分からない助け舟出しやがって! テメーのおかげでゲオルクは貴族たちから白い目で見られちまうし、オットーを処刑できにくくなっちまったじゃねーか!」


「ええ? だってゲオルクに憑いてるあのハゲのモンスターを私も見たのは本当の事ですから! それにあの無実の男の処刑を考えておられたんですかあ? 大司教どうかしています。ワタクシ、先程、彼と話してきたんですけど、本当に誠実な人間で、今回の件をいろいろと話してくれました。あ、ゲオルクさん、待っててくださいよ~。あなたに罪を償わさせますからね」


 これを聞いた大司教はさらに怒り心頭。ゲオルクの腰の剣を抜こうとした。


「大司教、それはダメダメダメダメっっ」

「離せコノヤロー! バカは死ななきゃ治らねーっつーだろ!」


 これを見たクラーマーは慌てて部屋を退散した。

 そのクラーマーと入れ違いで先程ラーダの様子を見に行った兵士が戻ってきた。


「だ、大司教! あの女性のジプシー二名なんですが……クラーマーによって連行されています」

「何だと~~!」


 大司教はもう暴れそうである。代わりに補佐司教が質問した。


「男性もいたでしょ? 二人。それは?」

「その二人は釈放となったようです。何でもここの言葉が通じないから、関係ないだろうと……」


「クラーマーーーーーーっっ!」


 大司教はクラーマーを追っかけて部屋を出て行った。

 ゲオルクは頭を抱え、アンナはまた泣きそうな顔になった。

ここまで読んで頂いて、本当にありがとうございます!

何気にお話は後半に突入しておりますので、宜しかったら次回もお付き合い頂けると幸いですっっ。

では今回も本当にありがとうございました!!

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