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タベテイイ?

 こうして殺人犯オットー・フォン・ニーマンはゲオルクによって捕まった。

 ゲオルクは用心のため、一度オットーを裸にさせて、隠し武器がないか調べた。

 すると案の定、短剣や、吹き矢、小型のスピアなど十個くらいの隠し武器がこれでもかとジャラジャラと出てきた。


「冗談みたいに武器を持ってんのな」


 ゲオルクは呆れたが、オットーは「ゲオルクに褒められた」となぜか得意げになって喜んだ。


 そして奥さんのアンナに大司教に伝えてもらい、複数の兵士が迎えに来て、オットーは無事に連れられていった。


 さて……


 ようやくひと段落つけたと思ったゲオルクはオロロックと一緒にパン屋に行き、ジプシーたち四人の安全を確認した。

 その時、クラーマーがまた現れた。


「見つけましたよゲオルクさんとジプシーたち!」

「あ」


 ゲオルクは少し焦った。これではパン屋に迷惑をかけてしまう。その時、クラーマーは初めてゾラのベルキのお子様二人が関与している事に気がついた。


「あ~! 君たち! そんなお嬢さんとボクちゃんがこんな事に巻き添えになるなんて、なんてヒドいんでしょう!」


 その時、クラーマーの目はゾラに釘付けになった。ゾラはそれを本能で感じ取り、ラーダの後ろに隠れた。


「ああ~……クラーマーさん? 今は大司教暗殺の計画をしていた犯人が捕まったんですから、こんな事をしている場合じゃないでしょう? そんな事、あなただって分かるはずだ」


「い~~~~や! それとこれは別です! 今回はそこのパン屋も協力したんですね? ではパン屋さんも共犯として捕まえないとですねえ」


「ああ~……そう来ると思ったよ。でもパン屋は僕が無理矢理協力させたんだ。だからパン屋は関係ない」


「ん~! なるほど! 今ゲオルクさん! あなた自供しましたね? このパン屋を強要したと!」


「ああ~……揚げ足取りばっかりだなあ、あなたは」


 ゲオルクが少しイラだって呆れていると、後ろからオロロックが姿を現した。


「アイツ、タベテイイ?」


 この言葉にクラーマーは腰を抜かした。


「あ! ああ! 今、ワタクシを食べたいと言った! ああ! ゲオルクさん! あなた、そのバケモンと意思疎通ができている!」


 腰を抜かして青ざめたクラーマーは、もう動く事も出来なくなった。


「ああ~……。これにはいろいろ事情がありましてなあ」


 と言いつつ、ゲオルクはなんと言っていいのか困っていると、城内中央の中央宮殿から数人の兵士と共に大司教と補佐司教とアンナが姿を現した。


 それを見るなりオロロックは目を細めて「アノヒトタチ、イタイネ~!」というと、一気に大空に消えてしまった。


「何だ今の?」

「さあ、何でしょうねえ」


 大司教と補佐司教はしばらく夜空を眺めていたが、何も見つからないと分かるやゲオルクの元に歩いてきた。

 ただ、その顔は苦い顔をしている。


「大司教?」


「うん。あのなノッポ。今日のあの男を捕まえたのはホントに助かった。でもな、お前には悪いんだけど、しばらく拘束させてくれ」


「ええ? 何で?」


「いやなノッポ。そこのクラーマーの裁判は、やっぱりしてもらわないと、それはそれで困るんだよ」


 それを聞いたクラーマーの顔は、一気にほころんだ。


「どーーーーですか? ゲオルクさん! 先程逃げた事を、今は後悔しているでしょう~~! さあ、そうと分かったら、あなたたち全員、素直にワタクシの指示に従いなさい!」


 それを聞いた瞬間、大司教がクラーマーの頭を叩いた。


「お前うるさいよ! ノッポはなあ! 連続殺人犯を捕まえてくれたんだよ! 拘束はするけど、罪人としては扱わない。だからここにいる全員をオレの客室で今日は寝てもらう!」


「ええ? そ、そんな馬鹿な……補佐司教?」


「クラーマーさん。そういう事です。今日はお引き取りください。夜もだいぶふけました」


 クラーマーは補佐司教のダメ押しをくらい、トボトボと力無く帰って行った。

 今の一連の流れを見たゲオルクとジプシーたちは、安堵の表情を見せたが、やっぱり不安も押し寄せた。


「ねえローアちゃん。私たち、ホントに大丈夫なのかしら?」

「まあ、オレが大司教の間は、あいつに好き勝手な事をさせねえよ。ただ、裁判の展開を上手く運ばないとな」

「ジプシーさん。そここそ神に祈るしかないですよ」


 思いのほか補佐司教もジプシーたちには優しく接して、ゲオルクは内心ホッとした。


「でだなあ、ゲオルク。お前には申し訳ないんだがな、アンナもいっしょに拘束させてくれ。あまりにもジプシーたちを助け過ぎたし、今回、お前をすごい助けただろ? 分かってくれ」


「ええ? あれくらいで?」


「スマンな」


 ゲオルクはアンナの顔を見た。アンナは覚悟をもう決めていたようで、ゲオルクの目を真っ直ぐに見て、頷いた。


 こうしてゲオルクとアンナ、ジプシーのラーダ、ゾラ、ベルキ、オジさんの四人は、城内、中央宮殿の客室で見張りがいる中、一夜を過ごす事になった。

ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます!

まだまだ続きますので、宜しかったら次回もお付き合い頂くと嬉しいですっっ。

今回もありがとうございました!!

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