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魔女裁判?

 ホーエンザルツブルク城内の牢屋に捕えられたゲオルクとジプシーのラーダとオジさん。


 とりあえずまだ酒も抜けていないと思い、ゲオルクは横になったが、この牢屋の豚小屋のような臭いがあまりにキツく耐えれなくなり、すぐに体を起こした。


「んん~……っっ。ここは無実の人間にはたまらん場所ですな」


 その言葉にラーダは思わず笑みがこぼれた。オジさんも言葉こそ通じないが、何をしていたかは理解して微笑んだ。

 こうして場が和んだ所で、ゲオルクは今朝、何が起こったかをラーダに聞いた。


 日が昇ってお昼も近くになった頃、ザルツブルクの門からいきなりクラーマーたちがやってきた。

 クラーマーは、「おまえ達の中に、悪魔崇拝者がいるだろう? そして生贄として、大司教の部下を誘拐した者がいるはずだ! 名乗り出ないのであれば、こっちから強制的に捜させてもらう」と言い、いきなり片っ端からテントを開け始めたという。


「ああ~……するとホントに僕がいた……と」


「そう。その後はもう大変。あの男が鼻息を荒くして、『全員しょっぴけー!』って」


「ああ~……なるほど……。それであの態度~……」


 ゲオルクは呆れて言葉を失った。

 するとまもなく、大司教が慌てて三人の元にやってきた。


「おい! あいつ! おまえ達を魔女裁判ってヤツにかけるつもりらしいぞ!」


「ええ?」

「魔女裁判? 何それ?」


「魔術を使って人をおとしめたり、悪魔を呼んだりした行為と見なされた場合にな、重罪として処刑も考えられるとんでもない裁判なんだよ!」


「ちょ、うそでしょ~っっ!」


 ラーダはあまりの事に言葉を失った。オジさんは理解ができていないが、何かヤバい話をしているのは勘づいている様子。

 ゲオルクは、魔女裁判の存在は何となく聞いた事があり、クラーマーの言動からある程度覚悟していた。


 しかし自分たちには何の非もないのに、無理矢理に罪を押し付けるやり方に、非常に違和感を覚えた。

 それに非はないと言いながらも、事の発端となった吸血鬼の存在を知ってしまったし、そんな彼は大司教を守ってくれた。


 しかしその話を昨日の事も含めてどう説明すればいいのか? ゲオルクはかなり悩んでいた。しかしもう時間がない。


「おいノッポ」

「ああ、はい」


「さっきの情報……どこで仕入れた? お前、昨日の事をなんか隠してるだろ? オレにも言えない事か?」


 おお~! 大司教はいきなり確信をついてきたっっ!


 ゲオルクが困っているところに大司教の補佐司教クライブルクがやってきた。


「こんな所でコソコソと。私も混ぜてください」


「おおクライブルク。それでカスパールの件、どうだった?」


 ゲオルクは話が逸れて助かったと思ったのと同時に、それはぜひ聞きたい! しっかり前のめりになった。


「ええ。やっぱり背中から短剣でひと突きでやられたようです。不意を突かれたのでしょう。ハンスの奥方は正面から突かれた感じでしたし、部屋も荒れていましたので、あくまで憶測ですが、カスパール君がやられた後、奥方は抵抗しながら殺されたかと」


「ふ~~……そうか。不意を……」


 つまり、部屋で不意を突かれるような人間の犯行という事か……つまり知り合い? でもそんなヤツの中で、ワラキア語しか話せないような人間がいるだろうか? こんな狭い城内で? というか、カスパールって、ワラキア語、話せたっけ?


 ゲオルクの考えは壁にぶち当たった。


「補佐司教、何か犯人の残した痕跡とかはありませんでしたか?」


「ああ、ゲオルクちゃん。それは探したんだけどねえ、何も見つからなくてねえ。一部、暖炉に紙を燃やした後はあったけど、それも完全に灰になっててねえ」


「そうですか……」


 ソイツ、そういう仕事をやり慣れてるな。こりゃ困った。手がかりなしか……


 ゲオルクは黙り込んでしまった。


「それよりゲオルクちゃん。何したの?」


「ええ? ねえ~」


 ここを追求されるとさらに言葉が出ない。


「さっきねえ、クラーマーが、鼻歌歌いながら、これからの尋問の準備してたからね。そこのジプシーのお姉さんと後ろのオジさんも、ちょっと覚悟が必要かもね」


「え!」

「ええ~? 補佐司教っ。やめてくださいよお~」


 ラーダは怯えた顔を見せ、ゲオルクは無邪気に返答したが、たぶんホントだろうなと覚悟した。オジさんは何も変わらない。

 すると遠くから大きな声が聞こえてきた。


「あらあらあら♪  なんですか? みなさんお揃いで? 今、ワタクシはコヤツらの尋問の準備がようやく整ったので、ここに呼びにきたんですけどね♪」


 大笑いしながら兵士を数人したがえてやってきたのは超ご機嫌のクラーマー。

 それを見た瞬間に、大司教の顔は鬼の形相に変わった。


「お、おっと~大司教っっ。そんな顔をしないでくださいよっっ。あ! よろしければご一緒なさいますか? 尋問♪」


「おお~、参加してやろうじゃねえかあ~!」

「では私も」


 こうしてゲオルクら三人の尋問は、ドミニコ会異端審問官クラーマーを中心に、大司教と補佐司教が付き添いという大々的なものとなった。


 ゲオルクはこの段階で、かなりげんなりしていた。

ここまで読んで頂き、本当にありがとうございます!

まだまだ続きますので、宜しかったら次回も引き続き読んで頂けると幸いですっっ。

では今回も本当にありがとうございました!!

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