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快晴の青空の下

 快晴の青空の下、ジプシーの馬車から引きずり出されたゲオルクは、まだ事態を把握できていなかった。


「な、何? どういう事?」


「ゲオルクさん。昨日の事を覚えていないんですね? あなたは昨晩、自宅アパートの前で叫び声を出した後、失踪してしまったんです。あなたの叫び声を聞いた奥さまやパン屋の主人が慌てて夜中に飛び出して家の周りを探したんですけど見つからず、今朝になって正式に失踪事件として大司教の指揮の元、ザルツブルクの街中を捜索してたんですよ」


「ええ~~?」


「でもなんでジプシーたちが、あなたを誘拐したのか、サッパリ分かりませんねえ。しかもここに連行してきた方法も分からない。まるで魔術のようだ! この方法も取り調べでハッキリさせますけどね! ゲオルクさん、何か覚えていないですか?」


 ゲオルクはその大きな身体をようやく起こし、周りを見回した。今もなお、ここにいたジプシーたち全員が連行されている最中だった。


「お、おい! クラーマー! そこのジプシーたちは関係ない! 僕はここで酒を飲んでいただけだ! 離してやりなさい!」


「ええええ~? ここで酒を? ではどうやって街の外に出たんですか?」


「え? ああ~……それは~……」


 ゲオルクは話しているうちにだんだんと酔いが覚めてきた。でも昨日の話をしても信じられないだろうし、そもそもあれは夢だったんじゃないか? と今でも少し疑っていた。


 それにもし、昨日の出来事が本当だとしても、吸血鬼オロロックの事を話すのは得策ではないと、本能で感じた。


「あれえ~? どうしたんですゲオルクさん? あ、まさかあなたもこのジプシーたちとグル? いや、でもそれはおかしいか……じゃあ魔術で何かされたんじゃないですか? 今だって足がおぼつかないっっ」


「いや、だから朝まで酒を飲んでただけで~……」


 ゲオルクはこれ以上、言葉が出てこない。頭が回っていなかった。


「酒? そんなバカな~! アパートの前で叫び声を出して失踪して、ジプシーたちと酒? いやいやいや、さっきからゲオルクさん、言っている事がムチャクチャですよ! 何か怪しい。よし、みんな、ゲオルクさんも城に連行しろ!」


「ええええ~~~~?」


 この時、ゲオルクが腰の短剣に手をかけそうになった。しかし、ここで抵抗するのは事態を悪化させてしまう事も瞬時に判断し、やめた。


 こうしてゲオルクは背中にお縄を括り付けられて、いざ城に連行となった。

 しかしその時にとんでもないニュースが入ってきた。


「ク、クラーマーさん! カスパールとハンスの奥さんが死体で発見されました!」


「ええええっっ!」


 カスパールが死体で発見?


 ゲオルクは言葉を失った。


「え? ちょ、ちょっとゲオルクさん待ってて。 き、君、それは本当なのか?」


「はい! 大司教がゲオルクさんの捜索を城内でされていた時に、ハンスの家の鍵が開いている事に気づいた兵士が中に入ったところ、二人とも床に倒れており、どうやら剣で突かれて殺されたとの事です!」


 な、なんてこった……カスパールが……カスパールが……殺された? ウソだろ……あいつだって剣の腕はそれなりに立つのに? ウソだろ?


 ゲオルクはかなり打ちのめされたが、その逃亡犯は、まだ街に潜伏しているのは間違いないともすぐに睨んだ。

 しかしクラーマーは事情が分からず、混乱の極みである。


「ああ~っっ! この場合、どうしたらいいのか~~っっ。ゲオルクさんは魔術でどうかしてるし、城内で殺人は起きるし~~っっ」


「クラーマー! 僕を大司教の所へ連れて行ってくれ! このままじゃ大司教にも何があるか……」


「ま、待ってくださいゲオルクさん! あなたは今、捕まったばかりです。昨夜失踪したのにこんなトコにいた人間を、そうやすやすと大司教の前になんか、連れて行ける訳がないでしょう! そりゃカスパールが死んで、気持ちはとても分かりますけど……」


「分かるんなら、この縄を解いて大司教の元に行かせてくれ! 頼む!」


「い~~~~や! ダメです。あなたはこの異端審問官クラーマーの指示に従ってもらいます。まあ、見ててください。さあ、ゲオルクさんを連行するんだ!」


 こうしてゲオルクはなす術がないまま、ホーエンザルツブルク城に連行される事になった。

ここまで読んで頂き、本当にありがとうございます!

この後もまだまだ続きますので、引き続き読んで頂けると幸いですっっ。

では今回も本当にありがとうございました!!

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