表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/11

すごい一日だった……

 吸血鬼オロロックの話にかなり驚いているゲオルク。


 つまりあの夜、誰かに見られている感覚があったのは間違いがなかったのだ。それを考えた時、ゲオルクは目の前のハゲ頭が自分を助けてくれたかもしれないと思うと、少し複雑な気分になった。

 何せそのハゲは人の血を糧とする吸血鬼。

 ゲオルクはまた手に持っている酒をグイっと飲み干した。

 ラーダに目を移してみると、数時間前に大司教に占いをした事もあり、その話には驚いて、少し震えている。

 そんなラーダを見たおかげかゲオルクは少し冷静を取り戻したが、ある重要な事にも気がついた。


 ハンスは僕たちを殺そうとした?


 そこに気がついた時、ゲオルクはまた吐きそうな気分になった。


 毎日、大司教の護衛として仕えているカスパールの兄のハンスが、その大司教を殺そうと画策していた。

 カスパールはこれを知っていたのか?

 それとも知らない?


「ど、どうしたの? ゲオルクさんっ!」


 あまりに顔色が悪くなったゲオルクをラーダが心配した。


「ああ! い、いや、大丈夫。大丈夫じゃないけど……」


 そこでふと、また一つの疑問が湧いた。


「オロロックさん。二人、二人いたんだよねえ? もう一人は?」


 少し心細い顔のラーダがオジさんに話し、オジさんがオロロックに話すと、こう返答が来た。


「なんでも、その男の血を夢中で飲んでたら、すっかり逃げられたんだってっっ」


 おいおいおい~~っっ。


 ゲオルクは頭を抱えた。ラーダもこの返答には呆れたようだった。オジさんは平常心のようだ。

 ゲオルクは考えた。


 つまりまだ一人は逃亡中って訳だ。じゃあどこかに潜んでいるにしてもワラキアの言葉は通じない……ワラキアの言葉?


「な、なあオロロックさん。そいつが吸血鬼って事は、ないんだよねえ?」


 ゲオルクの質問にラーダは驚いたが、オジさんに通訳してもらった。

 ただ、それはあり得ないという回答だった。


「そ、そうか……。ああ~……つまり今、潜伏しているのは、ワラキア出身の男だと思っていれば、いいんだな。それで~……その男は、たぶん、ザルツブルクの言葉は話せない。ここまで絞れれば、案外早くその男を捕まえれるかもしれない」


「へえ~~! ゲオルクさん、酔っ払ってるのに、頭、冴えてんのねえ~」


「いやいやいや、それほどではありませんよ~」


 などと話をしていたら、外は少し明るくなってきたのにゲオルクは気がついた。


「あ、もう朝か」


「ゲオルクさん、朝日が登ったら帰る?」


「ああ~……今は無理。ちゃんと歩けない。申し訳ないんだけど、ここで少し寝かせてもらってもいいですかなあ?」


 そんな話をゲオルクとラーダがしている間に、オロロックとオジさんはゴソゴソと床を動かし始めて、寝る支度を始めていた。そしてオジさんにラーダがゲオルクの事を頼むと、快く承諾してくれた。


「よかったらこの馬車で寝てっていいって」


「あ、ホントに? それはありがたい」


 とありがたかったはいいが、このデカい図体が横になるだけの場所がこの荷物だらけの馬車の中で確保できるのか? とゲオルクは疑問が湧いた。

 そして、そんな寝支度をしていた時、ふと根本的な疑問が湧いたので、それをぶつけてみた。


「なんで僕たちを助けた?」


 吸血鬼の答えはこうだった。


「また騒動に巻き込まれたくなかった」


 その答えを聞いて、ゲオルクは思わず微笑んだ。


 結局、騒動に巻き込まれてるけどな。


 ゲオルクはそう思った。


 こうしてラーダは自分のテントに戻り、馬車の床下にオロロック、その上のベッドにオジさん、そしてオジさんが用意? してくれた普段はベルキが寝ているであろう荷物だらけの狭い空間にゲオルクは横になった。


 無理矢理足をくの字にしないと横になるのはキツかったが、まるで見た事のない文化の荷物だらけのこの空間で、ゲオルクは酔いが回りながらも今日一日の事を考えた。


 なんかすごい一日だった……


 そう思ったのも束の間、すっかり酔いの回ったゲオルクは、あっという間に寝てしまった。


 ***


「あ! いたぞ!」

「よし! 捕まえろ!」


 ぐっすり寝ていたゲオルクだったが、その怒号で目を開けた。


 んん~……なんか気のせいか……妙に騒がしいな。日も上ったみたいたしな……しかし酒が残っていて、まだ眠いからもうちょっと……


 ゲオルクは再び夢の世界に入ろうとしたその時、思いっきり両手両足を掴まれて日差しの眩しい馬車の外に引っ張り出された!


「な、何? ええ~~~~~~っっ?」


 無理矢理目を覚まさせられたゲオルクは、慌てて周りを見回した。

 そこには快晴の青空の下、なぜか多くのザルツブルクの兵士たちがジプシーたちを連行している。

 いっしょの馬車で寝ていたオジさんはもうおらず、連行されたらしい。


「ええ~! 何? 君たちは?」


 ゲオルクが困惑していると、そこにクラーマーがしてやったりの顔で現れた。


「大丈夫ですか? ゲオルクさん! 異端審問官のワタクシが来たからにはもう心配ありません! あなたを誘拐したこのジプシーたちはこれから裁判にかけますので、安心してご帰宅ください! あ、歩けますか?」


 ゲオルクは思った。


 ああ~~……こりゃ話がややこしくなるわあ~……

ここまで読んで頂き、本当にありがとうございます!

そろそろお話が動いてきますので、引き続き読んで頂けると幸いですっっ。

では今回も本当にありがとうございました!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ