六章 苦悩
「大丈夫かいオッフル」
そう聞いてきたのはアパルだ。今は兵舎だ。サクリを狙撃で撃ってしまい、トラウマになってしまったので1日休みをもらっている。
「大丈夫…とは言えないかな。サクリ撃っちゃったし」と返す。守りたい存在を自分の手で傷つけてしまった自負の念がオッフルの中で広がっていく。
「私はなんも気にしてないわ!訓練中の事故よ!」とサクリが言う。サクリはなんも気にしていない様子だ。
「気にしてないってお前、これが本番だったら」とオッフルが言いかけると「本番じゃないじゃない!本番に失敗しないための訓練なのよ!落ち込みすぎなのよオッフは!」とサクリに返された。
「サクリに言いたいこと言われちゃったね」とアパルが言う。
「お前ら、俺に甘すぎないか? 訓練とは言えサクリを撃ったんだぞ?!」とオッフルが言う。
「だから訓練中の事故って言ってるじゃない! あんま言ってるとプリマーヤ撃ち込むわよ!」と物騒なこと言うサクリ。こいつなりの優しさだろう。
「僕らはオッフルの優しさに助けられてきたんだ。だからオッフルの失敗には寛容なんだよ。」とアパルが言う。
そうよ!って照れくさそうに言うサクリ。こいつらは今までの俺の行いを見ているから、こう言ってくれてるのだろうかと思うオッフルだった。
「…ありがとう。正直めっちゃ引きずってるけど、落ち込むのはやめるよ」
「それでこそオッフよ!」と満足そうなサクリ。アパルも笑いながら頷いている。
俺は立ち上がって兵舎を出ようとする。
「どこいくのオッフル?」とアパルに問われる。
「狙撃の訓練。狙撃訓練所に行ってくる。」と返す。
部屋から俺は出た。
「大丈夫かな?」とアパルが心配そうに言う。
「大丈夫よ!何回撃たれても私が何回でも励ましてあげるわ!」と答えるサクリ。
☆
1人での狙撃訓練は順調だった。
的の真ん中は当てられないにしろ、的には当てれる。
【オッフルやん。やっほー】と声をかけられた。ディーテルだった。
【ディーテルじゃん。もう訓練終わりか?】とオッフルがディーテルに問いかける。
【さっき終わったで〜。あの後ずっと1人で訓練してるん?】とディーテルが返す。
【そうだよ。大切な人を自分で傷つけてしまったからな】と返すオッフル。
【相変わらず仲良いな〜】と言うディーテル。そんなに仲良く見えるんかな?まあ実際、仲はいいとは思う。
【ところでオッフルってサクリちゃん大好きでしょ〜】と突然爆弾発言をするディーテル。
【は?! そ、そんなんじゃねーし!】とお約束のセリフを吐くオッフル。
【うちにはバレバレやで〜。サクリちゃん守りたいからスナイパーやってるんやろ?】と聞くディーテル。
【……そうだよ。近くにいなくてもあいつを見ていられる。遠くに居ても守れるからスナイパーをやろうと思ったんだよ】とオッフルは返す。【でも、】と続け
【俺は自分で守りたい存在を傷つけた。俺には向いてないのかもしれないなって思い始めてるよ】と弱音を吐いた。
【スナイパーは訓練するだけ上手くなるで。怠けなければきっとサクリちゃんの力になれるよ】と言ってくれたディーテル。
【そうなんか?でも俺は……】とまた弱音を吐こうとしたところ、【また弱音吐こうとしたやろ〜】と言われてしまった。図星である。
【スナイパーの基本、教えたるから一緒に練習や!】と言うディーテル。
【うちは家が猟師やったから狙撃は得意やねん】とつづける。こんなディーテルさんだが、お家が猟師で精密狙撃の名手である。狙撃の訓練では1位で居続けている。
【周りが才能の塊すぎて怖いよ】と弱音を漏らす。
【才能は蕾と一緒や。努力しないと開花せんよ。ほら、練習するで〜】と返すディーテル。
オッフルはその言葉に妙に納得してしまう。才能は蕾か。確かにそうだな。
……お互いを開花させたら蕾の質によって差は生まれるだろうけど、どれだけ開花させるかは人次第だもんな……とか考えるオッフル。卑屈である。
その後はディーテルと一緒に射撃の訓練をして1日を終えた。
☆
翌日。基礎訓練が終わった後、模擬戦闘訓練がまた始まる。
【大丈夫かオッフルよ】とザイゲン教官が尋ねる。
【大丈夫です。……と言いたいですが、まだ完璧には吹っ切れてはいません。】と返すオッフル。
【正直でよろしい。まあ、無理はしすぎるな。困ったらいつでも呼ぶんだな】とザイゲンがいう。ザイゲンの人の良さが出てる。
オッフルは【はい!】と返してサクリとアパルの元へ行く。
☆
ネクサス隊VSディーテル隊VSカムラッド隊が始まる。
隊員全員が戦闘区域内にランダムに転送される。
オッフルはまず『ネクサスアビリティ』の『レーダー』を見る。
『ネクサスアビリティ』とは、隊で隊員が1つ同じアビリティを共有できるというものである。
『ネクサスアビリティ』には特徴があり、隊員が1人になると消失する。繋がりがあることで発動するアビリティである。
『レーダー』はネクサス体の存在を感知することができる。今の状況では相手の位置がわかるということである。
『レーダー』を見ると、オッフルの他に1人消えているのがわかる。おそらくディーテルだ。『ステルス』を使っているのだろう。
『ステルス』とは、『レーダー』に映らなくなるアビリティである。対人戦において必要不可欠であり、特にスナイパーがよく使うアビリティである。
スナイパーは居場所を知られたら不利。それを補うアビリティである。
ディーテル隊はスナイパー1人と攻撃手が1人、銃主が1人という編成だ。
カムラッド隊は弾を撃つ魔法使い2人とサポート役、剣士1人という数の優位を利用して多角的な攻撃を押し付ける編成になっている。
まずは狙撃ポイントへ移動を開始する。他のスナイパーと居場所が被らないよう、慎重に移動する。
『レーダー』を見る。俺は遠いがサクリとアパルは割と近くに転送されたみたいだ。味方の識別は『レーダー』で行うことができる。
【アパルとサクリはなるべく最短で合流しろ。俺は狙撃ポイントから援護する】と指示を出す。
【【了解!!】】と返事が返ってくる。
次の瞬間、ドスーンッという大きな音が聞こえた。おそらくカムラッドの弾だろう。
カムラッドはサクリを発見していた。
【プリマーヤ!】とカムラッドが叫ぶ。
刹那、大きめな珠を具現化させ、細かく割ってサクリに放つ。サクリは気づいたが即応するのが難しく、弾で応戦するのは無理と悟り『シールド』を展開する。
『シールド』とは魔力で丸形の障壁を具現化し、攻撃を防ぐアビリティだ。
全隊員が両手に1つずつセットしているほど最重要のアビリティである。弾を防いだり、小型の剣であれば防ぐことができる。
大きさによって耐久度が変化し、大きいほど脆くなる。
サクリは『シールド』を1枚を大きく使用していたが、傷1つない。魔力量が多い証拠である。
【来たわねカムラッド!勝負よ!】とサクリが言う。
【【プリマーヤ!!】】と両者が同時に叫ぶ。
サクリの弾はカムラッドの3倍以上の大きさがあった。
【デカすぎんだろ!!】と本音を漏らすカムラッド。
お互いの弾が相殺しあう。しかし、サクリの弾はカムラッドの3倍以上あるため、すべてを捌くことはできない。
『シールド』を小さめに2つ張り、耐えようとするカムラッド。
その直後、『シールド』が6枚追加された。
【?!】と驚くサクリ。
【お待たせカムラ】と陽気な声で話す彼女はアングリフ。
運動は基礎体力訓練6位と中々できるやつだが、一般教養は21位と残念である。双子でいいとこ悪いとこ取り合った感じだ。
【サンキューグリフ。助かったぜ】というカムラッド。
【……僕の存在忘れてますよね】というのはオンブラだ。
ご覧の通り影が薄い。が、基礎体力訓練は13位であり、一般教養は13位とまあ普通である。
【忘れてはいないぞ!ただ目に入ったのがグリフだったってだけだ】と言うカムラッド。カムラッドさんは妹思いの軽いシスコンである。恋愛感情はないが、心配性なのである。
そんなやり取りを見て嫉妬しているのがさゆりである。
彼女は基礎体力訓練は17位であり、一般教養は10位とそこそこである。
とまあそんなやりとりをしている最中、【プリマーヤ!】と叫ぶサクリ。話を待っている筋合いはない。
【俺が両手で弾打つからお前らは俺を守ってくれ!】とカムラッドが言う。
【【【了解!】】】とカムラッド隊の3人は応える。
【【プリマーヤ!!】】とサクリとカムラッドが叫ぶ。
次の瞬間、オンブラがアパルに斬られる。
【?!】とカムラッド隊が動揺する。
アパルはステルスを装備して背後から接近していたようだ。
オンブラは石板の前に転送された。
一方、オッフルは狙撃ポイントについていた。
狙撃ポイントから戦場を俯瞰すると、サクリの後ろからゲリンゼルが、ステルスを使用して1人迫っていた。サクリは気づいていない様子だ。
オッフルは狙いを定めて引き金を…
引こうとしたが、引けない。呼吸が乱れる。昨日のトラウマが蘇る。
そうしてるうちに、サクリが落とされていた。
また俺のせいでサクリが落とされた。
また俺のせいでサクリが。
これが本番ならサクリは。
オッフルは負のループに陥り始めた。
戦況はネクサス隊2人、ディーテル隊3人、カムラッド隊3人である。
ディーテル隊のゲリンゼルとカムラッド隊3人は交戦中。
ディーテル隊の残りのメンバーは居場所不明という状況である。ステルスで身を隠している。
アパルはステルスを使用してディーテルを探す動きだ。
おそらくディーテルがカムラッド隊をマークしているはずだ。
戦場の4人に隠密奇襲を仕掛けても反撃よ狙撃で落とされる可能性は高い。
ディーテルはアパルの動きを予測している。おそらく自分が狙われることを理解しているのだろう。
(うちが狙われるとして、猶予はどれくらいあるかやな)とディーテルは考える。
アパルとの距離は100メートルちょいと言ったところか。
お互いレーダーには写っていないため、移動も待機も運が絡む。
ディーテルは狙撃をしていないので居場所は割れていない。ディーテルの方が有利な駆け引きである。
(この距離ならさっさと1発撃って居場所を変えるのが良さそうやな)と判断するディーテル。
(問題はどっちを落とすかやな。)
迷うディーテル。カムラッド、アングリフ、さゆりは片手を常に開けて狙撃を警戒している。
[ケヴェアおるか?]と魔法通信で話しかけるディーテル。
魔法通信。特定の相手と離れた位置から会話が可能になる、ネクサス体に標準搭載されているアビリティである。
[おりますよ〜なんすか?]と応える彼女はケヴェアだ。
スナイペル隊の攻撃手だ。
といっても2丁拳銃の近距離銃手である。今はステルスで身を潜めている。
[今からカムラッド撃つから合図したらケヴェアも撃ってーや]と支持するディーテル。
片手で攻撃して狙撃を釣ろうとしている弾を撃つカムラッドを落とせば銃の間合いで剣に勝てる。
確実にカムラッドを落とす腹づもりだろう。
[了解。撃ったらそっち行って護衛でええですか?]と聞くケヴェア。
[ええで。アパルから離れた位置で合流や]とディーテルが返す。
策は決まった。
[ゲリンゼルは引き気味に立ち回りや。今から援護するから、そのあと合流や]とディーテルが指示を出す。
[了解!]とゲリンゼルが返した。
ゲリンゼルは基本は両手に小型剣を持った2刀流スタイルである。
しかし、彼は『ステルス』を使用した暗躍を得意としている。
【クルヴァ!】と叫ぶカムラッド。左手を開けて右手で撃つ。スナイパー対策だろう。
弧を描くように大量の弾がゲリンゼルめがけて飛んでいく。
ゲリンゼルは『シールド』で防ぎつつ、アングリフの大剣と鍔迫り合う。
アングリフは大剣を豪快に使う、『破壊手』と呼ばれるポジションで戦っている。
一撃が重く、ゲリンゼルの小型剣が折れる。ゲリンゼルは何とか剣を避けて、バックステップをとる。
アングリフはゲリンゼルに気を取られている。
その瞬間、ディーテルが狙撃する。
カムラッドは、左手の『シールド』で防ぐ。
その反対側からケヴェアが2丁拳銃でカムラッドを撃ち落とす。
拳銃……『ハンドガン』は魔法の弾を射出する武器のアビリティである。
魔法使いとの違いは、『魔法の珠を分割せずに弾を射出する』点だろう。
魔法使いは珠を自由に分割するので、魔法使いに比べると自由度は低い。
しかし、射出までの工程が短い分、扱いやすいのが特徴だ。それ故、『ハンドガン』を好んで使用するものも多い。
カムラッドはネクサス体が解除された。
次の瞬間、ディーテルが狙撃された。
ディーテルは驚いた様子だったが、【やるやんオッフル】と呟いてネクサス体が解除された。
すぐさま移動するオッフル。戦力は集中しているため追いつかれる心配は少ないはずだ。
戦場はディーテル隊のケヴェア、ゲリンゼルとカムラッド隊のアングリフとさゆり、ネクサス隊のアパルとオッフルが残っている。
ケヴェア、ゲリンゼルとアングリフ、さゆりが睨み合う。
アパルはステルスを使用して奇襲狙いだ。
オッフルは狙撃ポイントを変え、戦場を俯瞰する。
戦場ではケヴェアとさゆりが射程の有利を利用して立ち回っていた。
さゆりは魔法使いだ。『杖』を持っており、『杖』を持つ者は魔力量が+2増量される。魔法使いにとって大切な武器のアビリティである。
さゆりは細かく珠を分割し、散弾のように弾を放出してディーテル隊の動きを制限していた。
それを『シールド』と『ハンドガン』の弾で応戦するケヴェア。
魔法使いは珠を再度創り出すのに時間がかかる。その隙を狙って、ケヴェアが2丁拳銃で牽制する。
ステルスで身を隠すアパルはタイミングを窺っていた。
[オッフル、ケヴェアを狙える?一緒にケヴェアを落としたい]とアパルが提案する。
[分かった。ただ、撃てる確証がないから狙撃を期待しないで欲しい]と応える。
そう、オッフルはサクリを守る際、引き金を引けなかった。
だからおれはアパルを援護する際も躊躇うのではないか。
そう思っているのだ。
[これは訓練だよ。撃てなくても責めないし、撃てたら儲けものさ。気にせず行こう。]とフォローをもらった。
[そうよ!あんたはクヨクヨしすぎなのよ!]と魔法通信にサクリが割り込んできた。
本来、戦闘体は再構築されないので訓練で落とされた隊員は魔法通信で話してはいけない。
にもかかわらず、サクリは話してしまった。ザイゲンが怒っているのが通信越しで分かった。
しかし、それで覚悟は決まった。
[やるぞ]そう言って狙いを定める。
狙いはケヴェアだ。
引き金に指を添える。指が鉛のように重く感じる。
呼吸が乱れる。過呼吸のようになり、意識を保つのに必死だった。
そうしているうちにアパルがケヴェアとゲリンゼルの背後をとっている。
引き金を引くだけだが、引き金を引こうとするたびサクリを撃ったのを思い出す。
さっきディーテルを撃ったのを思い出せ!と自分に喝を入れるオッフル。
アパルがケヴェアに斬りかかる。ケヴェアが寸前で察知し、重心をずらして左手が斬られる。
ケヴェアは左手を失ったが、それでもまだ脅威である。
アパルに斬りかかるアングリフ。片手側の剣で受け流す。
アパルがアングリフをもう片方の手で突く。
アングリフは銃身をずらしてかわす。
しかしアングリフは斬られていた。
『プレテンション』。魔力で付け焼き刃を作るオプションアビリティである。
ある程度自由に刃を創ることができ、横をかすめた剣を『プレテンション』で横に伸ばし、アングリフの心臓部を刺していた。
心臓部を刺されたアングリフは落ちてネクサス体が解除される。
後ろから『クルヴァ』が飛んでくる。
アパルは『シールド』でこれを防ぐ。
しかし、2方向から更に追い討ちをかけるディーテル隊。
『クルヴァ』をうまく使い全方向から時間差で攻撃する。
距離を詰められないアパルは落とされてしまう。
また俺は何もできなかった。汗が止まらず、呼吸が乱れるオッフル。
アパルが落ちたことでネクサスアビリティの『レーダー』が消えた。
目視で位置は割れているが、指が動かない。
今度はアパルが俺のせいでやられた。
これが本番やったら……。と考え込んでしまうオッフル。
数の有利でさゆりが落とされたところで、【そこまで!】とザイゲンが宣言する。
【ディーテル隊の勝利で終了だ。各自集合せよ!】と更に言う。
オッフルはまた足を引っ張ったというしこりを残し、訓練を終えた。
☆
ネクサス隊は、戦闘後の反省会をしていた。
【私がすぐ落とされちゃったわ!ほんとにごめんなさい!】とサクリがすごく申し訳なさそうに謝る。
【俺が狙撃できなかったのが悪いよ。サクリは悪くない。】とフォローするオッフル。実際、俺が狙撃してれば解決した問題である。
【狙撃を頼りにして防御をおろそかにするわけにはいかないわ! もっと周囲に気を配るわ!】と前向きなサクリ。こいつはオッフルの失敗を何も気にしてないらしい。
【僕も最後、狙撃に頼りすぎてたかな。もう少し考えないとね。】と反省するアパル。
【いや、お前は俺に頼んでたんだからそれ前提で動くのは悪くないだろ】とフォローするオッフル。実際そうである。
【撃てないことも考慮して動くべきだったと思う。オッフルが抱えてる悩みも一緒に解決しないとね】と言うアパル。みんな俺に甘すぎる。
【…本当にごめん。俺は2人を助けられる位置にいて助けられなかった。】と頭を下げる。
【でもディーテル撃てたじゃない! 成長よ!】と言ってくれるサクリ。こいつほんとに惚れるぞ。惚れてるけど。
【もしかして僕たちを撃つかもしれないってトラウマがあるから撃てないのかもね】とアパルが分析する。
確かに、ディーテルを撃った時、サクリもアパルも近くにいなかった。
狙撃対象に2人が近くにいなければ撃てるのかもしれない。と考えたオッフル。
【でもスナイパーって仲間の援護が主だろ?2人が敵の近くにいない時しか撃てなかったら問題だろ】とオッフルが言う。
【どうかな?隠密行動で1人をマークしたり、俯瞰して状況を教えるのもスナイパーの役割なんじゃないかな】とアパルが言う。
アパルのいうことも一理あるなと思う。
【でも、俺はお前らを守りたい。だから提案なんだけど】とオッフルは告げる。2人は俺の提案を聞いて
【いいんじゃないかしら!】
【うん。オッフルがそうしたいなら僕らはかまわないよ。試してみよう!】
と2人して提案を呑んでくれた。
☆
その日の訓練が終わり、スナイパーの射撃訓練場で1人で練習するオッフル。射撃はだいぶ上手くなってきた。
【あれ?オッフルやんやっほ〜】と先日に続きディーテルが絡んできた。
【よーディーテル。お前も練習か?】とオッフルは返す。
【せやで〜今日は誰かさんにやられたしもっと練習せなあかんな〜おもてな】とオッフルに言うディーテル。
【俺だってやるときはやるんですよディーテルさん】と少し得意気にオッフルは返す。そう、やるときはやるのです。
【ほんまやられたわ〜。でもトラウマ完全克服ってわけではなさそうやな〜】と鋭いところをディーテルはついてきた。
【そうなんだよな。俺味方撃っちゃうってトラウマがすごくてさ……】とオッフルが打ち明ける。
【そう言うトラウマは簡単には治らんからなぁ。気長に治すのがええんちゃうか】とディーテルが言う。
【そうかもなぁ。でも、とりあえず俺やりたいこと思いついたからそれをやってみようと思うんだ】とオッフルは打ち明けた。
【やりたいこと?何するんや?】と興味津々なディーテル。
【内緒。そのうちわかるよ。】と俺は返す。
【内緒か〜ほな、楽しみにしとるで〜】とディーテルは陽気に返す。深入りしすぎないところがディーテルのいいところである。
【それと、ディーテルにしか頼めない重要な頼みがあるんだけど……】とオッフルがディーテルに告げる。ディーテルは頭に?を浮かべている。
【お前のスナイパーとしての実力を見て、今の俺じゃ絶対に敵わないと思った。だから……】とオッフルが一呼吸し、【俺にスナイパーのすべてを叩き込んでくれないか】とディーテルに頭を下げてお願いした。




