七章 ブリーフィング
あれから1ヶ月が過ぎた。模擬戦闘訓練では各分隊が戦い方を確立し、それぞれ独立した戦い方をするように成長していた。
今日もいつもの基礎訓練を終え、これから模擬戦闘訓練が始まる。模擬戦闘訓練は訓練兵の間では好評である。
【今日も模擬戦闘訓練だな!】とカムラッドが楽しそうに話す。
【相変わらず元気ね!】とカムラッドに声をかけたのはサクリである。
【お前も元気だろ!】とカムラッドが返す。全くもってその通りである。
【……あなたたちは元気すぎるんですよ】とジーニアスが呆れながら声をかけた。
【本当、みんな元気でいいね】とフリューゲルが微笑みながら続けた。
フリューゲルはこの1ヶ月でみんなとすっかり打ち解けていた。フリューゲル隊のみんなの努力の賜物だろう。
【シャル、起きなさい。そろそろ始まるわよ】とラピスラズがシャレルを起こす。
【もうちょっと……】とシャレルがゴネる。
シャレルは訓練の合間に睡眠をとっている。
【毎回眠って、そんなに変わるの?】とサクリが気になって質問した。
【……良い悪いのムラがなくなる気がするのよ。ふぁ〜】とあくびをしながら返事をするシャレル。眠たそうである。
【やっと起きた!】とヒューレンが言った。それだけ眠っていたのだろう。
【平和だねぇ】とアパルが呟く。オッフルも【そうだな】と返す。
あれから大きな侵攻もなく、将来のために備えている。
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ザイゲン教官に呼ばれ、模擬戦闘訓練を行う洞窟に移動した。さっきまでの雰囲気とは一変、皆が緊張感を抱いている。
【まずはネクサス隊、ジーニアス隊、レクエルド隊の三つ巴で戦ってもらう。準備をしなさい】とザイゲン教官が言う。呼ばれた隊の皆は元気よく返事をした。
【試合前のブリーフィング始めようぜ】とオッフルがサクリとアパルに集まるように声をかけた。2人はオッフルの元へ向かった。
【ジーニアス隊はジーニアスが『太刀』使いの攻撃手、ニアが『西洋剣』と『小型剣』を使い分ける攻撃手、アステールが『杖』を持った魔法使いだ】と言い、続ける。
【バランスが取れていて、それぞれ判断力が高い。そしてジーニアスが強すぎて止められない。それに、一人ひとり行動することもあるから注意が必要だ】と続けた。
【全員戦闘でのIQが高いから、指示がなくてもある程度考えて行動ができるもんね】とアパルがフォローする。
実際にジーニアス隊の強みはそこである。
【ジーニアス隊は私の弾で牽制するのがいいかしら!】とサクリが提案する。
【そうだな。2人が攻撃手だし、行動を制限するのが合理的かもな】とオッフルは返した。
【対してレクエルド隊はエルド……レクエルドが魔法使い、アウローラも魔法使い、リフレインが剣と魔法を使う万能手、ハハムがスナイパーの4人チームだ】と説明するオッフル。
【ジーニアス隊は前衛が多いけど、レクエルド隊は後衛が多いわね!】とサクリが言う。
【そうだ。近接戦に持っていくのは苦労するだろう】とオッフルが言う。
魔法使いは寄られたら弱いが、寄らせなければ強い。スナイパーも同じである。
【まあ、僕も『ステルス』で近づけば近接戦に持っていけるかな?】とアパルが呟く。
『ステルス』で近づいてしまえば、アパルには敵わないだろう。
【だな。俺も協力するよ】とオッフルが返す。
【両チームに対抗するには、ベースはサクリの弾だ。負担をかけるけど、大丈夫か?】とオッフルはサクリに問いかける。
【任せなさい! あんたたちも頑張るのよ!】とサクリが元気よく返した。
3人は緊張がほぐれて笑ってしまった。
ネクサス隊のブリーフィングはこれにて終了である。
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一方、ジーニアス隊のブリーフィング。
【まず、サクリを真っ先に落としましょう】と提案するのはニアだ。ニアは頭がキレる。負け筋を即座に判断したのだろう。
【私も、サクリちゃんはやばいと思うから、できるだけ早く落としたいかな】とアステールも同意する。
【……そうね、あの魔力量でドカドカ弾を撃たれるだけで負けるわ。最優先はサクリね】とジーニアスが言う。
やはり、ジーニアス目線でもサクリは脅威なのだろう。
【となると、めんどくさいのはレクエルド隊かしら】とアステールが質問する。
【……いや、多分レクエルド隊もサクリを狙うはずよ。本当にめんどくさいのはオッフルね】とジーニアスが宣言した。
【オッフル、最近戦い方変えたもんね。でも、ジニーなら問題ないんじゃない?】とニアが問う。
【どうかしら。オッフルと1vs1なら負けないけど、サクリの弾に対応しながらアパルのことも考えると、厳しいのが答えね】と弱気な答えを返すジーニアス。
オッフル単体は大きな脅威とは考えていないが、チーム単位だと1番めんどくさいと思っているのだろう。
【まあ、臨機応変に行きましょう。ネクサス隊はサクリを即落とす。レクエルド隊は寄ればリフレインしか対応できないはずよ。どちらも『ステルス』で近づきましょう】と作戦をまとめて言うジーニアス。頭がいいのがわかる。
【承知】【わかった!】とニアとアステールは納得したみたいだ。
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レクエルド隊のブリーフィング。
【ジーニアスが脅威だから、先に落とすべきよ】とアウローラは言う。
【……それには同感するがよ、サクリの方脅威だから先に落とそうって話だろ!】と反論するレクエルド。
チーム内で意見が割れているようだ。
【意見をまとめないとまともに戦えないぞ】とリフレインが言う。事実である。
【……じゃあ私とハハムでサクリを、アウローラとリフレインでジーニアスを落とせばいいか?】とレクエルドが折衷案を提示する。
【俺は構わない】とハハムが言う。リフレインも【同じく】と言う。
【……そうね、それでやってみましょう】とアウローラは折衷案を受け入れたようだ。




