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妹が「ずるい!」と言うので、二度目の人生は大公と結婚するのを諦めて辺境伯に嫁ぎます  作者: 江本マシメサ
第五章 新たな問題

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話し合い

「領民に求人を出す、かあ……」


 アンドリュースさんは後頭部を掻き、なんとも言えない様子でいた。

 アンナマリアさんも同様に。

 ハルトヴィヒ様は「うーーーーん」と声をあげ、困っているようだった。

 彼らが言いたいことはわかる。


「領民の方々は騎士隊の活動をよく思っていないので、求人を出しても応募がないかもしれない、というのは承知の上です」

「そう、そうなんだよ……」


 この前の魔技巧品の説明会を振り返ると、協力してくれるとは思わない。


「しかしながら、子ども達は騎士である父親に会いたがっているようでした」

「うん、そうだね」


 騎士は基本的に常駐していて、交代任務で働いている。

 週に一度休日があるようだが、体を休めることに使っているようで、村に戻ってくる者はほとんどいないようだ。


「帰っても家族から騎士を止めろだの、家を空けて役に立たないだの、いろいろ言われるのが嫌で、休日は騎士舎で過ごす者も多いみたい」


 家族を思って魔物討伐に出ているのに、それが報われないとなると、帰るのも億劫おっくうになるのだろう。


「わたくし、考えたんです。銀狼騎士隊の敷地内で、住み込みで働けばいいと」


 騎士隊に住居を構えたら、騎士も家族のもとに帰ることができる。

 家族の時間を過ごすことができるのだ。

 私の提案を聞いたハルトヴィヒ様は、パッと表情を明るくする。


「さすがアウレリアだ! 住み込みで働いてもらうなんて、まったく思いつかなかった!」


 ただ最大の問題はどこに住むのか、である。

 騎士舎は人が住めるような状況でないし、本格的に改装するのであれば、騎士も住めなくなるだろうから。


 アンドリュースさんが問題について述べる。


「簡易的な家を建ててもらえばいいのだろうが、ドワーフ族は改装作業で忙しいだろうし……」

「村の職人に頼むしかないのよね」


 職人は頑固な者が多く、応じてくれるだろうか、とアンドリュースさんとアンナマリアさんが遠い目で話していた。


「それに関しては、ブリーゼ様を頼ろうと思っています」

「ブリーゼというのは、ハルトヴィヒが懇意にしている商人だったか」

「そうそう。ブリーゼに家を発注するの?」

「ええ。以前、ブリーゼ様が使っていた、〝野営邸〟です」

「ああ、そういえば、あったね!!」


 魔技巧品の〝野営邸〟は、一瞬で住宅を建てることができる。


「まあでも、けっこう高価だけどね」


 ブリーゼ様は一軒につき、金貨五十枚と話していた。

 貴重な魔技巧品のようだったが、量産に成功したと言っていたので、もう少し安く販売されるかもしれない。


「そっか、野営邸があれば、騎士達の仮住まいになるし、家族の時間も作ることができる。いいこと尽くめなんだ」

「野営邸を購入する資金は、わたくしが――」

「大丈夫、大丈夫! 野営邸を購入する資金くらいはあるから」


 ブリーゼ様に連絡して、野営邸をいくつか購入するという。


「ひとまず十個あれば、足りるかな」


 十人の人手があれば、清掃も行き届くだろう。


「ハルトヴィヒ様、採用はわたくしに任せていただけますか?」

「え、いいの?」

「はい」


 アンドリュースさんやアンナマリアさんも、私がやったほうがいいと言ってくれた。


「領主一家は嫌われているからね」

「お恥ずかしい話なんだけれど」

「ううう、耳が痛いい……」


 上手くいくかわからないが、一度やってみよう。

 任せてくれたハルトヴィヒ様に感謝しなければ。


 ◇◇◇


 翌日、私はレニとまーちゃんを連れて村に向かった。

 まずは村長に挨拶をしなければと思い、レニの案内で訪問する。

 けれども不在で、家はもぬけの殻だった。

 一応、ハルトヴィヒ様が村長に手紙を送り、清掃員を募集する旨は伝えてあった。そのため、村長に直接お伺いを立てる必要はないと言われていたのだ。

 けれども一度挨拶をしたほうがいいと思い、こうしてやってきたわけだが……。


「いないのであれば、仕方がないですよね」

「ええ」


 挨拶は諦めて、村の掲示板に求人募集の紙を貼りつける。

 あとは雑貨店や食堂にもお願いしようか。

 なんて考えていたら、先日会った子ども達がやってくる。


「領主様の花嫁さんだー!」

「今日もきれいねえ」

「ふふ、ありがとうございます」


 子ども達は掲示板の裏から出てきたまーちゃんを見て、驚きの声をあげる。


「わあ、なんだこれ!」

「でっかいネズミなの?」

『まーちゃんは、オオカワウソ妖精だよお』

「喋った!」

「まーちゃんだって!」


 あっという間にまーちゃんと子ども達は打ち解け、遊び始めた。

 なんとも微笑ましい光景だった。

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