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妹が「ずるい!」と言うので、二度目の人生は大公と結婚するのを諦めて辺境伯に嫁ぎます  作者: 江本マシメサ
第五章 新たな問題

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領民に魔技巧品を受け入れてもらえるには?

「ごめんなさい、こういうのはハルトヴィヒから聞くべきだったと思うのだけれど」

「あの人、たぶん話さないだろうから」


 村長や領民との関係についてもそうだった。ハルトヴィヒ様は話そうとせず、黙りこんでしまったのだ。


「ハルトヴィヒ様はきっと、さまざまなことを自らの中に止めて、自分だけが頑張ればいい、耐えればいいんだ、と考えるお方なのでしょうね」

「そう!! そうなの!!」

「よくわかったわね!!」


 ルカエルとミカエルが、瞳をカッと見開きながら頷いている。

 やはり、ハルトヴィヒ様はそれとなく感じていた通りのお方のようだ。


「私らがどうしたのかって聞いても、なんでもないって言うのよ!」

「いつも変にかっこつけちゃって、弱みを見せてくれないの!」


 身内に対してもその態度ならば、私には余計に弱みなんて見せないだろう。


「ハルトヴィヒに対して遠慮はいらないから」

「ぐいぐい踏み込むくらいじゃないと、きっと心をこじ開けることはできないと思う」


 私にできるだろうか、と思ったものの、やるしかないのだろう。

 ハルトヴィヒ様にばかり、辛いことを背負わせるわけにはいかない。

 私達は夫婦になるのだ。

 何事も、分かち合えるような関係でいなければ、夫婦でいる意味はない。

 そんな気持ちを言葉にすると、ルカエルとミカエルは安堵したような表情で私を見つめる。


「ハルトヴィヒと結婚する女性ひとが、アウレリア様でよかった」

「安心して、ハルトヴィヒを任せることができるわ」


 まだ何も成し遂げていないというのに、ここまで言ってもらえるなんて。

 彼らの期待に応えるためにも、慎重に計画を立てて実行に移さなければ。

 ルカエルとミカエルにも、話を聞いてもらおう。


「これから魔技巧品の普及に努めていきたいと考えているのですが、現状、領民達の理解は得られないような状況で――」


 何かいいアイデアはないか、聞いてみる。


「庭にある温泉施設を、村の近くに建てるのはどう?」

「魔技巧品の恩恵を感じられる施設だと思うけれど」

「温泉施設、ですか……」


 ルカエルが領内の地図を広げ、空いている土地を指で示す。


「ほら、この辺とか畑からも近いし」

「帰りに立ち寄って、入浴もできるから」

「そう、ですね……」


 ただ反対されている今の状況で、強引に計画を進めようとしたら、却って反感を買うのではないか。そんなふうに思ってしまう。


「たしかに、ある程度の強行突破みたいな方法は必要かと思うのですが」


 見向きもされず、最終的に施設が無駄になるような気がしてならない。


「何かいいきっかけがあれば、受け入れてもらえると思うんです」


 ただそれは、温泉施設ではない気がしてならない。


「まあ、たしかにそうかもしれないわ」

「他人に肌を見せるのも、抵抗ある人もいるでしょうしね」


 新しい、未知のものに出会ったとき、何をしたら信じるようになるのか。

 ルカエルとミカエルと一緒に考えてみる。


「やっぱり知らない人からの評判より、身内や親しい人の評判が信用できるわよね」

「たしかに! 村で魔技巧品に興味がありそうな人を集めて、試してもらうとか!」


 彼らの見解は的確だった。

 だが、魔技巧品に興味がありそうな人を調べる、という工程は時間のロスになる可能性も秘めている。誰もいない可能性だってあるのだ。

 もっと手っ取り早く、魔技巧品が普及できるような対策はないのか。

 テーブルに広げていた地図に目を落とす。

 そこでふと、領内にある施設に目が留まった。


「銀狼騎士隊……」


 ぽつりと口にした瞬間、ルカエルとミカエルが同時に叫んだ。


「そこだわ!!」


 なんでも銀狼騎士隊の人達は忙しく、設備などにこだわっている暇はないという。


「だから、銀狼騎士隊に温泉を作ってしまえばいいのよ!!」

「きっと気に入って、家族に語って聞かせるはずだわ!!」


 たしかにそうかもしれない。

 銀狼騎士隊の騎士舎に温泉を作る。いいアイデアだろう。

 さっそく、アンドリュースさんとアンナマリアさんに相談を持ちかけることにした。

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