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妹が「ずるい!」と言うので、二度目の人生は大公と結婚するのを諦めて辺境伯に嫁ぎます  作者: 江本マシメサ
第四章 ドワーフ族の里へ

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ドワーフ族の隠れ里

 少し進んだだけで魔物に遭遇、戦闘開始となる。

 私はハルトヴィヒ様やブリーゼ様、まーちゃんに守られながら魔石工房マジリトス・ワークショップを用いて、魔石と魔物の素材を手にしていた。


「アウレリア、大丈夫?」

「みなさまのおかげでなんとか」

「ここから先も魔物は出現するゆえ、一瞬たりとも油断するんじゃないぞ」

「はい、ブリーゼ様」


 明らかに私は足手まといだ。けれどもそういう扱いをせず、連れてきてくれた。

 ハルトヴィヒ様とブリーゼ様に感謝するのは言うまでもない。

 それから私を守ってくれる上に、魔石や素材集めを手伝ってくれるまーちゃんにも。


「ドワーフ族の隠れ里まであと少しだ。なんとしても耐えろ」

「はい!」


 ブリーゼ様の導きで歩くこと一時間半――ドワーフ族の隠れ里に到着した。

 が、そこは木々が生い茂り、これ以上進む先がない行き止まりだった。


「ブリーゼ、ここがその、ドワーフ族の隠れ里の入り口なのかな?」

「そうだ。ここはこうして開く」


 ブリーゼ様が何もないところに一枚の葉っぱを投げ込むと、目の前の景色がぐらりと歪む。


 目の前に広がるのは、ドーム状の家が並ぶ自然豊かな里。

 どうやらここがドワーフ族の隠れ里らしい。


「本当に隠れて存在する里なんだ」

「ああ、そうだ」


 なんでもドワーフ族が作る葉っぱ型の通行証がないと、里に出入りできないようだ。

 外では子ども達が遊んでいた。

 自動でぽんぽん跳ねながら転がる球を追いかけている。

 普通の球でないことは一目瞭然だった。


「ドワーフ族の子どもは、遊びにも魔技巧品を使うんだなあ」

「そのようだな」


 私達みたいな人間が珍しいのだろう。ドワーフ族の子どもはやってきた私達をじーっと見つめていたかと思うと、目が合えば「わあ!」と声をあげて隠れてしまった。

 なんとも微笑ましい光景である。

 里の中心には、薪が高く積み上がっていた。


「ブリーゼ様、こちらはなんでしょう?」

「鍛冶祭の儀式に使う焚き火かもしれない」


 ドワーフ族の鍛冶祭とは火の神に感謝し、物作りが上手くいくように祈る祭りだという。 年に一度開催されるようで、ブリーゼ様は「タイミングが悪かったな」とぼやくように言った。


「鍛冶祭の期間中は、よそ者を里に入れないようにしているとか、なんとか言っていたような気がする」

「ねえ、ブリーゼ様、それって俺らはここにいてはいけないのでは?」

「まあ……そうだな」


 ブリーゼ様は空を見上げ、遠い目をしていた。


「ちょっと、ぼんやりしていないで、早くここから脱出しないと」

「まあまあまあ、話がわかる者がいるかもしれないだろうが」

「話が通じないドワーフ族に会う確率も高いんだって!」


 そんな話をしていると、背後から声がかかった。


「お前ら、そんなところで何をしている!?」


 振り返った先にいたのは、長く立派な髭をたくわえた、ずんぐりむっくりした体つきのドワーフ族。

 熟達した職人のような雰囲気から、老齢のドワーフ族であることは間違いない。


「今が鍛冶祭の期間中だと知っていて、のこのこやってきたわけではないよな!?」


 わかっていたものの、歓迎ムードなどいっさいなし。

 それどころか危機的状況にある。


「エルフ族の小娘と、リンブルフ辺境伯領の若造ではないか!」

『まーちゃんもいるよ!』

「まーちゃん?」


 喋る巨大カワウソの登場に、怒る勢いが削がれたようだ。

 けれどもそれは一瞬のこと。


「そ、それからそこの女は――!?」

「お初にお目にかかります。わたくしはアルテンブルク侯爵の娘、アウレリアと申します」

「お、おお、そうであったか……」

今日こんにちが鍛冶祭の期間中だと把握しておらず、大変な失礼を働きました。心より謝罪いたします」

「ま、まあ、わかればいいのだが……」


 少しだけだが怒りは収まったか。

 ブリーゼ様が間に割って入り挨拶する。


「いやはや、久しいな長老よ。百年ぶりくらいだろうか」

「何を能天気に――!? もとはと言えば、お前がこの人間共を勝手に連れてくるのが悪いのではないか!!」


 結果、火に油を注ぐような状況となる。

 ここまで怒っている状態では、話を聞いてもらうどころではないだろう。


「ブリーゼ様、ここはいったん、下がったほうがよろしいかと」

「まあ、ふむ、そのようだな」


 ハルトヴィヒ様が丁重に謝罪すると、ほんの少しだけ怒りが収まったようだ。


「去れ! このワシが我慢している間ににな!」


 そんな言葉と共に、私達はドワーフ族の隠れ里から去ることとなった。

 森に出ると、魔物が私達を待ち構えるように待っていた。


「うわあ、出たと思ったらこれだよ」

「来るぞ!!」


 額から角が突き出た狼系の魔物、ホーン・ウルフである。

 皆で力を合わせ、なんとか魔石化させることに成功した。

 素材は狼の毛皮と角、それから牙に爪。

 立派な物で、高価で売れるとブリーゼ様が教えてくれた。


「でもまあこの先、魔技巧品をいろいろ作るのであれば、素材も取っておいたほうがいいだろう」

「そうですね。ありがとうございます」


 なんとか森を抜け、出発地点に戻ってくることができたのだった。

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