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妹が「ずるい!」と言うので、二度目の人生は大公と結婚するのを諦めて辺境伯に嫁ぎます  作者: 江本マシメサ
第三章 リンブルフ辺境伯領へ

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ハルトヴィヒの帰還

 夜――ハルトヴィヒ様が魔物討伐から帰ってきたという知らせをレニから受ける。

 まーちゃんと一緒に、エントランスまで急いだ。

 ハルトヴィヒ様はちょうど外套を脱ぎ、アンドリュースさんに手渡しているところだった。

 私がやってきたことに気付くと、パッと笑みを零す。


「アウレリア、ただいま!」

「ハルトヴィヒ様、おかえりなさいませ」


 エントランスの螺旋階段を駆け下り、ハルトヴィヒ様を迎える。


「ご無事で帰られたことを、嬉しく思います」

「うん、ありがとう」


 ハルトヴィヒ様は不思議そうな顔で私を見つめる。


「あの、ハルトヴィヒ様、どうかなさったのですか?」

「いや、俺、本当にアウレリアを花嫁として迎えたんだなと思って」


 帰ってすぐに魔物討伐に出かけたので、私をリンブルフ辺境伯領に連れてきたことは夢だったのではないか。なんて思っていたのだとか。


「このとおり、現実ですよ」

「うん、そうだったみたい」


 まーちゃんもハルトヴィヒ様を迎える。


『おかえり~』

「まーちゃん、ただいま! いい子にしてた?」

『このとおり、まーちゃん、とってもいい子だったよ』

「そっか。偉い偉い」

『えへへ』


 アンドリュースさんが私の成果を報告してくれた。


「ハルトヴィヒがいない間にいろいろあってね。一番の大事件は、アウレリアさんが水源を掘り当てて、水道を作ったことかな」

「水道!? 水源を掘り当てた?」

「水源はまーちゃんが発見して、掘ってくれました」

「すごいじゃん、まーちゃん!」

『えへへ、まーちゃん、とっても頑張ったよお』


 水道を見てみたいと言うので、ハルトヴィヒ様にお披露目することとなった。


「こちらです」


 見た目はなんの変哲もない浴槽だが、呪文を唱えたら一瞬で湯を張ることができる。

 

「――水よ流れよ、ウォーター・サプライ!」


 呪文を唱えたら、浴槽がお湯で満たされた。


「わあ、すごい! これ、温泉だ!」

「そうなんです」


 まーちゃんは奇跡的に、温泉を掘り当てたのだ。


「よろしければ、ハルトヴィヒ様の部屋の浴槽にも、このように温泉が届くようにいたしましょうか?」

「え、いいの?」

「ええ、もちろん」

「だったら、お願いしようかな」


 そんなわけで、ハルトヴィヒ様の部屋にある浴槽にも水を引くこととなった。


「先ほどの呪文を唱えましたら、湯を張ることができますので」

「誰でもできるんだ」

「はい。魔石頼りの魔法ですので」

「すばらしい、便利だ!」


 試しにハルトヴィヒ様は呪文を唱える。すると同じように、浴槽に温泉が満たされた。


「本当にできたよ!」

「お上手です」


 温泉に入って魔物討伐の疲れを取ってほしい。

 今から入浴すると言うので、ハルトヴィヒ様と別れることとなった。


『まーちゃん、すごく褒められた』

「ええ、お手柄でしたね」


 もっとさまざまな場所に水道を引きたいところだが、水属性の魔石をもっと集めないといけない。

 王都の屋敷みたいに建物単位で水道を通すのであれば、魔技巧品を用いて一括管理するのも一つの手だろう。

 この辺については、ハルトヴィヒ様と話し合う必要がありそうだ。


 夕食の時間となり、一家が一同に揃う。

 ただ、ルカエルとミカエルだけはメイドとして私の傍に侍っていた。

 その様子を見たハルトヴィヒ様が驚くこととなる。


「え、ルカにミカ、そんな格好をしてどうしたの?」

「アウレリア様にお仕えすることになったの」

「見てのとおり、メイドよ」

「えー、嘘だあ!」


 ルカエルとミカエルは嘘ではない、本気だと訴える。


「その、ハルトヴィヒ様、ルカさんとミカさんは、わたくしのメイドとして、頑張っていますよ」

「えー、そうなんだ。どうしていきなり? なんか目論みとかあるんじゃないの?」


 ハルトヴィヒ様の鋭い指摘に、ルカエルとミカエルは言葉を返す。


「頑張っているのに酷い!」

「真面目にメイドをしているんだから!」

「ふーん、そうなんだ」


 ハルトヴィヒ様は「何か失礼なことをするようだったら、すぐに俺に報告してね」なんて言ってくれる。


「それはそうとアウレリア、温泉最高だったよ!」


 鑑定魔法で温泉の効果を調べたところ、疲労回復や美肌効果、殺菌作用などがあり、疲れた体に最適なのだ。


「なんか傷とかも痛くなくなって、びっくりしたよ」

「殺菌作用が働いたようですね」

「しかもなんだかずっと体がぽかぽかして、心地いいんだ」

「そちらは保温効果ですね」

「うーーん、最高すぎる」


 温泉はリンブルフ辺境伯領の大地が育てた宝物だったのだろう。

 お気に召していただけて、何よりだと思ったのだった。

 

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