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妹が「ずるい!」と言うので、二度目の人生は大公と結婚するのを諦めて辺境伯に嫁ぎます  作者: 江本マシメサ
第三章 リンブルフ辺境伯領へ

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水源を探せ!

 ひとまずレニに声をかけてから、外に出る。

 レニは部屋でまーちゃんのブラッシングをしていた。

 その様子を目撃したルカエルとミカエルは、顔を引きつらせながら発言する。


「巨大カワウソのくせに、メイド付きだなんて……」

「いいご身分だわ……」


 レニのブラッシングが気持ちよかったのだろう。

 まーちゃんはうっとりした表情を浮かべていた。


「レニさん、少し外へ散策に行ってきますので、こちらに待機して、どなたかいらっしゃったら知らせにきてください」

「はい、承知しました」


 外に出ると聞いて、寝かかっていたまーちゃんが起き上がる。


『まーちゃんも、お外行く!』

「ええ、一緒に行きましょう」


 ルカエルとミカエルは不満げな様子でいたが、まーちゃんが純粋な瞳を向けつつ『よろしくね』と言うと、「まあいいけど」「少しだけね」と許すような反応を見せていた。


「アウレリア様、外は冷えますのでこちらを」


 レニはそう言って、私の肩に外套をかけてくれた。


「ルカさん、ミカさん、あなた達は大丈夫ですか?」

「私達はリンブルフ辺境伯領育ちよ」

「今日の寒さなんて、別になんてことないんだから」


 薄いメイド服で大丈夫なのか心配したが、問題ないらしい。


『まーちゃん、寒くないかなあ』

「あなたは毛皮があるでしょうに」

「厚い脂肪もあるでしょう」

『えー! まーちゃんの毛、こんなに短い、短毛なんだよお! それに脂肪なんてないから!』


 まるまるポヨポヨな体をしているまーちゃんの訴えに、疑惑の視線が集まる。

 会話を耳にしていたレニが、まーちゃんの首にハンカチを巻いてくれた。


『わあ、ありがとう! 温かいかも!』

「そんなハンカチ一枚で」

「気持ちの問題じゃないの」


 喜ぶまーちゃんに、ルカエルとミカエルのぼやきは届いていないようだった。


「では、支度が調ったようなので、行きましょうか」

「はあい」

「わかったわ」


 レニを残し、私はルカエルとミカエル、まーちゃんを引き連れて外に出た。

 今日は曇りだからだろうか。外は屋敷内よりもずっと冷え込んでいて、冷たい風がヒューヒュー吹いている。

 これから冬を迎えたとき、どれだけ寒くなるのか。

 想像も付かない。

 そんな中、まーちゃんは楽しそうに闊歩していた。


『わあ、外、広いねえ』

「当たり前よ」

「広くなかったら、問題だわ」


 わくわくの足取りで進みながら発せられるまーちゃんの発言に、いちいち辛辣な言葉を返すルカエルとミカエルである。

 まーちゃんは欠片も気にしておらず、るんるんな様子だった。

 井戸がある辺りまで案内してもらった。

 お風呂も、飲料水も、顔を洗い歯を磨く水もここから運ばれているようだ。


「ここからお屋敷の二階に運ぶとなれば、大変ですね」

「そうなのよ」

「何往復もするのですって」


 ルカエルとミカエルは洗濯をしに、ここで水を汲んで洗い場まで運んだという。


「水道が成功したら、洗濯の洗い場とも繋がなければいけないですね」

「そうしてくれたら、洗濯メイド達も助かるわ」

「本当に」


 まずは水源を探そう。

 そう思って取りだしたのは、アクアマリンの宝石がついたペンダント。



「それが探す道具?」

「魔技巧品なの?」

「いいえ、ただのペンダントです」


 アクアマリンには水属性が付与されているので、地下深くにある水に反応するはずだ。  

「ダウジングといって、ある意味占いみたいなものなのですが、ペンダントに魔力を通して捜し物をするんです」


 水源があれば、ペンダントのアクアマリンが揺れるはず。


「そんなので見つかるのね」

「いんちきみたいだわ」


 私もそう思う。けれども魔法使いではない私が、水源を探すにはダウジングに頼る他ない。

 そんなわけで、水源探しを開始した。

 ペンダントのチェーンを手首に巻き付け、アクアマリンをゆっくり垂らす。

 慎重に歩みを進めていく。

 私のあとに続くルカエルとミカエルが「怪しいわ」「怪しい」なんて言ってくれる。

 唯一、まーちゃんだけは『水源、見つかるかなあ!』と前向きな気持ちで付き合ってくれた。


 井戸の周辺をぐるぐる回ること一時間。

 ルカエルとミカエルはすっかり飽きてしまい、地面に座り込んでいる。

 相変わらず、まーちゃんだけはダウジングに付き合ってくれた。


「ねえ、まだやるの?」

「飽きたんだけれど」

「もう少し待っていてください」


 なんて話していたら、まーちゃんが地中をくんくんし始めた。


「まーちゃん、どうかしたのですか?」

『なんか、水の匂いがする!』


 そう言って、まーちゃんは地面の匂いを嗅ぎ続けていた。

 念のため、アクアマリンを垂らしてみると、わずかに反応があった。


「水源があるかもしれません」 

『だったらまーちゃん、ここを掘ってみるね』


 コロカジールから貰った爪先を鋭くする能力を発動させ、地面をザクザク掘っていく。

 あっという間に、八十インチほど掘ってしまった。


『わっ!!』


 まーちゃんが声をあげたので覗き込むと、底にじんわりと水が滲み出ていた。

 間違いなく、この場に水源はあったのだ。

 

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